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スカイハイ【Last】 - 05 -

Category : スカイハイ【Last】
「ちょ、ちょっと遅くなったかな。早くいかないと電車に間に合わないぞ、律」
恥ずかしいのを誤魔化すためか。どこかわざとらしく澪はそう言うと、私の手を引っ張ってまた歩き出そうとしたけれど、私は逆に澪の手を引っ張っり、強引に彼女を抱きよせた。
「みーおー!!!」
もうね、もうね…辛抱たまりませーん!

「きゃ!ちょ!り、律、何を!」
澪が叫び声を上げるのも無理はない。
なんせ道端で強引に抱きしめちゃってますから。
「澪、好き!愛してる!」
いや、わかってる、わかってますよ。今私たちがどこにいるのか。
それはわかってるんだけどー。
「澪はすごいよ、本当にすごい」
「な、何を言ってるんだ、てか、律、は、離せ!」
澪は当然抵抗するけど(そりゃそうだ)、私はお構いなしに彼女を抱きしめた。

だってそうだろ。私に羽があるなんて、飛んでいいんだ、なんて。
なんだよ、それ。そのファンタジー思考。ほんと、澪てば乙女!
でも、でもさ!
「さすが大卒、この文学少女!」
「はぁ?何言ってるだ!?」
とにかく離せー、と暴れる澪をさらに抱きしめる。

ごめん、澪。でも、嬉しいんだ。すごく嬉しい。
ただただ自分は根性のない、ちゃらいだけの情けない奴なんだ、てそう思ってたから。
ふわふわ浮いていてもいいんだ。地に足つけなくても、逆に飛んでいってもいいんだって。
そんな風に考えた事、一度だってなかったから。

それにたとえふわふわ飛んでいったとしてもさ。
「澪が待っててくれるだろう」
ほんの少し、彼女を抱きしめる腕の力を緩めて、私は囁くようにそう聞いてみる。
澪は一旦ジタバタと暴れるのを止めたかと思うと、また私から視線を逸らした。
「…さっきもそう言ったろ」
照れているのか、彼女の頬がまた少し紅くなる。
「ありがとう、澪」

ありがとう、ありがとう。

この心からの感謝の気持ちをどう伝えたらいいだろう。
うん、それはやっぱり、あれだな。

テーマ : 二次創作:小説
ジャンル : 小説・文学

スカイハイ【Last】 - 04 -

Category : スカイハイ【Last】
「それさ。以前聞いた時にも、私思ってたんだけど」
「え」
「律は別に、ただふわふわ浮いているんじゃなかったんだと思うよ」
「へ?」
話ながらクスクスと笑う澪を見ながら、私は間抜けな声を上げてしまう。

「どうして気付かないの」
そう言いながら、澪は私の手を取った。
いつもは澪が恥ずかしがるので、外で手を繋ぐなんてほとんどしないんだけど。
その澪から手を繋いできたのでちょっと驚いた。

「み、澪しゃん」
「律はただ浮いていたんじゃないよ」
私の僅かな動揺などお構いなく、澪は手を繋ぎながら話を続ける。
「空に向かって飛ぶ練習をしていただけだよ」
「…え」
澪の言葉に、私は思わず足を止めてしまう。
「羽を広げて、飛ぶ練習をしていただけ」
澪も同じように足を止めると、顔を上げて空を眺めている。

「飛ぶ?」
「そう。でもちょっぴり怖がりのその鳥さんは、最初は飛ぶのが怖かったわけ」
そう言いながら、空に向けていた彼女の瞳は私の方へと向けられる。
「鳥は元々空を飛ぶものだろ。なのに無理に地上にいようとするから」
「…」
「本当は飛べるのに飛べなくて、それで不安になったり落ち着かなかっただけ」
それが真実だとばかりに、澪の声は静かな自信に溢れていた。

「でも今は違うだろ、律。バンドの皆だっているし、さわ子さんも、ファンの皆も」
それに、その、私も…。
そこまで言うと、澪は少し照れたのか視線を私から逸らした。
「澪?」
「わ、私で良ければいつだって側にいるから、だから!」

飛ぶのに疲れたら、私の側に帰ってきて。

「待っていてあげるから」
はにかむように笑いながらそう言った澪の頬は少し紅い。
私の手を握る澪の手は、恥ずかしさのせいかさっきよりぎゅっと力が込められていた。
でもその僅かな痛みすら、今の私には心地よかった。

テーマ : 二次創作:小説
ジャンル : 小説・文学

スカイハイ【Last】 - 03 -

Category : スカイハイ【Last】
夢を叶える為に、東京に出てきた事を後悔した事なんて一度もない。
毎日忙しすぎてヘトヘトになったり、逆に暇過ぎて不安でイライラしたり。そんな日々の中でちょっとメンバー同士で揉めたりなんかもしたことあるけど、それでも何があっても「まあ、大丈夫でしょ」みたいな、どこか楽観的な気分で皆と一緒に四人で飲みながら笑ったりもした。
充実した日々だった。だったのに。

「なんとなく現実感がなくて。足が宙に浮いた感じ、ていうのかな?」
体の中に何か無理にでも重いものを入れないと、そのままふわふわ飛んでいきそうだった。
それが、そう、それが正直嫌だった。怖かった。
どうしてだろう、と。自分の好きな道を進んでいるのに、なぜだろう。いつも不思議だった。
バンドを成功させる為に頑張っている皆に対して、なんだか申し訳ない気持ちすら持っていた。

私は結局弱い人間なんだと思う。
どんなに虚勢を張って大丈夫と言い張っても、本当は一人が怖いのだ。
バンドだって、皆が一緒に居てくれたからここまで来れた。
一人だったら絶対東京まで来てバンドを続けてプロになろう、なんて思わなかったに違いない。
情けないけど、それはきっと事実だ。

「本当は怖がりで、一人だとなーんにも出来ないんだ」
ある意味、本当の強さを持っているのは澪の方だ。
以前はずっと、澪は怖がりで誰よりも人見知りで女の子で。
その事でたまにからかったりしたけど、私が守ってあげなきゃ…なんて偉そうに思ってた。

でも違った。それは間違いだった。
澪はたった一人で東京に出てきた。そして私に会いに来てくれた。
自分一人で決断したそれは、相当勇気のいる行動だったと思う。
私にはきっとそんな事出来なかったに違いない。やれやれ、どっちが本当の怖がりなんだか。
今となっては恥ずかしい限りだけど。

「でも今はさ、今なら…」
メンバーの皆と、澪が側に居てくれたら。
「私は何でも出来るような気がする」
両足を大地につけて、しっかりと頑張っていけるような…。
「律」
「ん?」
「前にも一度だけ、それを言ってた事あったよね」
「それ?」
「ふわふわ浮いているみたい、て」
そうだったかな。言ったかもしれない。

テーマ : 二次創作:小説
ジャンル : 小説・文学

スカイハイ【Last】 - 02 -

Category : スカイハイ【Last】
食事を終えると慌ただしく着替えると、二人一緒に家を出た。
駅に行くまでの道すがら、澪は今日のスケジュールや他の細々とした事を話している。
「なぁ、澪」
「今日はさわ子さんが久しぶりに一緒に、ん、何?」
「あのさ、やっぱりもう一緒に暮らそうよ」
澪の話を聞きながらも、私はふと思いついたように言ってみた。

「…今、仕事の話してたんだけど」
「わかってるよ。でもどうせ事務所についてもまた話すだろ、皆にも」
「まあ」
「だから事務所に着く前にさ。なぁ、澪」
今朝も恋人同士の甘ったるい朝の風景みたいなのを堪能していたわけですが。
実は私は澪と一緒に暮らしているわけではない。
澪は私の住むマンションから30分くらい離れた所で一人暮らしだ。

「な、澪」
「駄目だよ」
「なんで」
「だって一応社内恋愛禁止だし」
「社外はいい、てさわちゃんも言ってたじゃん」
「でも、そのけじめみたいなのが」
「昨日だってうちに泊っていってるし。てか、最近はほとんど、どっちかの家に泊ってるじゃん」
「ま、まぁ、そうだけど」
「いいじゃん、私も澪も仕事は真面目にやってるし」
「う、うーん」
以前から何度もこの話をしているのだけど、澪はどうにも承諾を渋っていた。
もう一年以上もたってるわけだし、そろそろいいんじゃないかなぁ。
まぁ、社員としての澪の立場もわからなくもないけどさ。

「でもやっぱりまだちょっと」
ある程度予想していた通りの澪の返答に、私は少しだけ溜息を吐いた。
「ごめん」
「いいよ」
私自身、それ程事を急いでいる訳じゃない。
もちろん澪とは一日でも早く一緒に暮らしたいんだけどねー。
ま、今でも一緒に暮らしているのと大差ない生活だし、もう少し待ってみましょうか。

「でも考えておいて欲しい」
「うん」
「…あのさ、澪、私はさ」
「ん?」
「澪が来てくれるまで、ずっとここでなんとなくふわふわ浮いてるような気がしてたんだ」

テーマ : 二次創作:小説
ジャンル : 小説・文学

スカイハイ【Last】 - 01 -

Category : スカイハイ【Last】
さて、それからどうなったかと言いますと。

「律!ほら、起きろ!」
「うーん…、もうちょい。あと五分」
「ベタな寝起きネタは止めろ。ほら、もう遅れちゃうだろう」
「眠いよー」
「いいから、起きろ!」
「澪ー、起きるから、ご褒美にチューし…ゴホォ!!」
「さっさと起きないともう一発入れるから」
「りょ、了解」
頭をさすりながら、私は渋々と起き出した。

「昨夜は可愛かったのに、今朝のこの変わりようときたら…」
「何か言った」
ギラリと鋭い目を向ける澪。
「い、いえ、なんでも。起きます、起きます」
誤魔化しながら、私は慌てて起き上がる。おお、コワ。

「もう、本当に毎朝大変なんだから」
そう小声でブツブツ文句を言いながら、澪はキッチンに入っていった。
キッチンの方からいいにおいがしてくる。朝食を作ってくれているのだろう。
ヘヘヘ。頭痛いけど、なんか幸せ。

「ほら、律」
顔を洗って部屋に戻ると、ちょうど焼けたトーストを手渡される。
「おー、サンキュ。はむ」
うん、サクサクとしててうまい。
トースト以外にも、目玉焼きやサラダがテーブルに並べられていた。
いやー、澪と再会してから、食生活が断然良くなったよなー。
前は朝なんか何も食べないか、てっとり早く栄養補給出来るゼリーくらいだったしなぁ。

「お、サラダもうまい」
「そう?なら、良かったけど」
料理は律の方が上手だから、毎回ちょっと緊張するよ。
少しはにかむようにそう言いながら、コーヒーを入れてくれる澪は可愛い。
エプロン姿も可愛い、好き、愛してます。

「へへ。夜は今日は私が腕を奮うぜー」
「え、そう?嬉しいけど、でもそんな時間あるかな」
「今日は大丈夫だろ、多分そんなに遅くはならないよ」
「うーん、そうかなぁ。まぁ、そう願うけど」
「優秀なマネージャーさん、スケジュール管理頼みますよ」
「わかってますよ、リーダーさん。そっちこそしっかり頼みますよ」
はーい、と能天気に答えながら、私は目玉焼きを口に放り込んだ。

テーマ : 二次創作:小説
ジャンル : 小説・文学

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書き人知らず知らず

Author:書き人知らず知らず
ようこそお越しいただきました。
こちらはけいおん二次創作SSサイトです。

ジャンルは『けいおん!』律澪
律澪はジャスティス。
いい言葉ですね。

百合的要素を含みますので嫌いな方や都合の悪い方は見ないことをお勧めします。

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当サイトはまんがタイムきらら原作、アニメ「けいおん!」中心の非公式サイトです。
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