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追憶の紋章 【Last】 追憶の紋章 -04-

Category : 追憶の紋章【Last】
もし、もしあの時。
私が「竜騎士になりたい」とそう言っていたのなら。
私の願いを叶える…そう契約を交わした魔法使いであるユイなら。
あるいはもしかして…。

そういえばもう一つ。あの夜、ユイに聞かれたことがある。

- ならお隣の国を無くしちゃおうか?

私がミオを連れさってしまったせいで、王子との婚約を反故にしてしまった。
そのせいで隣国との間に戦争が起こらないか。
後になってそれに気付いた私が気に病んでいると、ユイがおもむろにそう聞いてきたのだ。
彼女のあまりにもあっけらかんとしたその言い方に、私はつい笑ってしまった。
笑うばかりの私を、ユイはきょとんとした顔で見ていたっけ。

「とにかく婚約の件を、なんとか無かったことに出来たらなあー」
ユイの言葉を本気にせず、私はそんな事を言ったような気がする。
ユイが忘却の呪いによってミオの…「王女」の存在を隣国から消し去った。
それは私の願いを、聞き届けてくれたに違いなかった。
隣国の王女の事を知る全ての人から、記憶を奪ったユイ。
それ程巨大な魔力を有する彼女なら、あの時私の答え次第によっては…。

ふと軽く吹いてきた少し冷たい風が、私の頬に触れた。
過去に捕われ、少し固くなっていた体から力が徐々に抜けていく。
目の前の焚火の火は、風を受けて少し揺れていた。
「まさかね…」
私は一度軽く頭を左右に振った。
ついさっきまで深く過去に心を捕われていた私だったけれど。
僅かに吹いた冷たい風が「今」この時に、私の心を戻してくれたような気がする。

風を受けた炎がまたパチパチと音を立てて、勢い良く燃え始めた。
オレンジ色のそれを見ながら、私はふっと一つ小さな息を吐いた。
「ユイ…」
口に出した懐かしい名前。私と契約を交わした魔法使い。
「別にさ、私はお前の正体が何かなんてどうでもいいんだ」
そう言いながら、私は小さな枝を焚火に放り投げた。
「だって私が、…私やミオが今はこうしてここで元気に暮らしていられるのは、ユイのお陰なんだから」

ミオを連れ、追手から逃れる間に交わしたユイとの会話の端々に。
五年以上たった今になって、いろいろ気付かされることはあるけれど。
とにかくユイが何者であっても、私はちっとも構わない。

彼女は私の仲間だ。

その気持ちはきっとずっと変わらないだろう。
だからユイが人間だろうがそうでなかろうが、それが何だと言うのだ。
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テーマ : 二次創作:小説
ジャンル : 小説・文学

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