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風邪とライブと昔の君 【前編】- 06 -

Category : SS( 風邪とライブと… 【前編】 )
私は軽く周りを見渡した。
誰も彼の様子がおかしいとは思っていないようで、皆楽しそうにライブを観てる。

私の気のせいかな…。
何となく私は彼の様子に違和感を抱きつつも、ライブは順調に進んでいく。
新曲を加えライブは大いに盛り上がっていた。

***

その後、時間が来たメンバーたちは挨拶をしながら、一旦奥へと引っ込んでしまった。
もちろんすぐに鳴り響くアンコールの声。
その声に応えてメンバーたちは、また元気にステージに飛び出してきた。

「あ、やっぱり…」
私の小さく呟いた声は、会場を包む大きな歓声で掻き消されて、隣に居る真鍋君にも聞こえなかったようだ。周囲が盛り上がる中、私はじっと彼を見詰めていた。
あきらかに体調が悪そうだった。必死に笑って隠しているつもりみたいだけど。
なぜ?どうしたんだろう、顔が少し紅いかも。風邪でも引いたのかな、…風邪?

「あ!」
「…え?何か言った?」
「あ、ううん、別に」
今度は私の声が聞こえた真鍋君は、すぐにこちらを向いてそう聞いてきたけれど、私は慌てて誤魔化した。少し顔を俯かせる私を、気遣うように一言、二言声を掛けてくれる真鍋君には申し訳ないけれど。今の私は、この間の雨の日の事で頭が一杯なっていた。

そうだ、きっと風邪を引いているんだ。
あの日濡れたから、それでもしかして彼は風邪を引いてしまったんじゃあ…。
私はもう一度よく彼を見てみる。力強くドラムを叩き、周囲には笑ってみせる彼。
でも本当はしんどいんだ。だって時折苦しそうな顔をしてる。

…ああ、昔もこんなことがあったような気がする。

私が上級生の男の子にからかわれていたのを、助けようとしてくれた時。
体格差がある上級生に何度投げられても、彼はすぐに立ち上がって向かっていった。
先生が来た時には服は泥だらけ、膝も擦りむいてちょっと血が出ていたけれど、彼は私の前ではずっと笑ってた。私の前では一言だって「痛い」とか弱音は吐かなかった。

ずっと泣いていたのは私の方だ。そんな私に彼は「大丈夫だよ!」て言い続けて。
彼が…「りっちゃん」が実はその時足をひどく捻挫していて、病院に行ったことを後から聞いた私は、ひどく申し訳ない気分になってまた泣いちゃったっけ。
「大丈夫」と言うりっちゃんが、一瞬とても辛そうな顔したのを、私は見ていたというのに…。

今もそうだ。きっととってもしんどいけれど、それを隠して必死に演奏してるんだ。
もう私の耳には周りの歓声も、演奏すら聞こえてこなくなっていた。
ただひたすら苦しい表情を隠してスティックをふるう彼の姿を、私はハラハラしながら見ているのが精一杯だった。
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テーマ : 二次創作:小説
ジャンル : 小説・文学

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