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追憶の紋章 【17】 貴女の側で羽を休めて -09-

Category : 追憶の紋章【17】
「へー、そう。じゃあまあ、二人の事はそれでいいとして」
…で、ムギはこれからどうするの?
私の話を満足した様子で聞き終えた後、サワコさんがそう言った。
「私、ですか…」
サワコさんにそう聞かれて、私は少し迷った。

「本来なら石を、師の許へと返しに行かなければいけません」
「ん?でもお師匠さんて、もう亡くなったんでしょう」
「ええ。ですが師の意思を受け継ぐ人に、取り戻した石を渡す手筈になっているんです」
「へー。で、それを返したらどうかなるの?」
確かにそれによって、古い魔法の契約は果たされるだろう。
だが契約した魔法使いが亡くなった今、それに何か意味があるのかと言いたげなサワコさん。
でも実は結構深い意味がある。

「…石を返す際に、私が望めば私は人間に戻れます」
「え?」
「永劫の時から離れ、限られた時間の中で生きるように」
エルフの秘術を受ける前の、それが最後の契約内容。
師はいつも私を魔女にしてしまったことを悔いていたようだったけど。
私自身は、魔女になったことに決して後悔などはしていない。
お陰で私は子供の頃からの願い通り、たくさんの世界を見て回れたのだから。

…そうだ。
きっと私はあの時、夢中になって読んでいた物語の一つに、うっかり入ってしまったんだ。
不思議な物語の世界の中を、私は長年に渡って夢中になって駆け巡った。
最初は師と、後は一人で。

「焦ることはない。いつか労せずして石は貴女の元に戻る。必ずその時が来る」
いつか必ず石を取り戻さないといけない。
師と長い旅をしながら、私は時折そう思い、それについて考えを巡らせていた。
だがそんな私に、師は穏やかな笑顔を見せながらいつもそう言っていた。

もう師は亡くなってしまったけれど、その時は確かに来た。
ミオちゃんがリッちゃんに渡した青い輝石。
リッちゃんからそれを預かったユイちゃんが、アズサちゃんに託した。
そしてアズサちゃんから、私は石を受け取った。
師の言った通り、石そのものは何の労力もかけず私の手の中へと戻ってきた。
もちろん石だけ取り戻せても、意味はない事を私は知っていたけれど。
だけど本当の意味でも、私はとうとう石を取り戻したのだ。

…そろそろ、私は本の世界から抜け出さないといけない。
目的を果たした今、私自身の手で静かに最後のページを閉じてしまわないと。
今こそ師と…いや、お爺さんと交わした契約を終わらせましょう。
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テーマ : 二次創作:小説
ジャンル : 小説・文学

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