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追憶の紋章 【17】 貴女の側で羽を休めて -07-

Category : 追憶の紋章【17】
「結局母は、先々代の王でもある我が祖父からの強引な政略結婚の末に、隣国の王室とも繋がりがある貴族であった我が父、先王陛下と一緒になったが」
「…」
陛下の話を、伯爵は黙って聞いていた。
「赤枝の騎士に肩入れするは、己の過去を思い出したゆえか、伯よ!」
やや興奮した様子の陛下にそう言われても。
やはり伯爵からは、少しも動じた様子は見えなかった。

「まったく、たわいもないお話でございますなー、陛下」
ふーと、一つ小さな溜息を吐きながら、伯爵は頭を軽く左右に振る。
「…根も葉もない噂と申すか」
「左様でございます。しかもそんなカビの這えたような古い話、陛下が噂の張本人とお疑いになっている私ですら、まったく覚えておりませんぞ」
先程まで牢に入っていたせいか、少し乱れた口髭をゆっくりと撫でながら、伯爵は苦笑交じりにそう言った。

「…どうだかな、知れたものでないわ」
そう言うと陛下は乱暴な手つきで、グラスにワインを注ぐと一気にそれを飲み干した。
「確かに今更の話ではあるがな、…しかし」
しかしその噂のせいで、父は余を疑っていたのではないか?
余はずっとそんな気がしていたのだ。実際父は弟よりずっと私に厳しかった。
それに、それに余自身もずっともしかしてと…。

「戯言を申されますな!」
酒臭い息を吐き、苦渋の表情を浮かべながら話す陛下の言葉を、伯爵は大声で遮った。
今日はすでに二度目の、伯爵の叱咤に近い大声。
「貴方様は偉大なる先王陛下のお世継ぎにして、今は国王陛下であらせられるぞ」
二度とそのような事を申してはなりません。
伯爵は陛下に鋭い目を向けながら、断固たる口調でそう言った。

「…それに先王陛下は貴方様を疑っていたなど、あり得ぬ事です」
陛下は貴方に期待していたのです。
貴方に対する期待が強いからこそ、つい厳しく指導してしまったのでしょう。
…先王が統治していた時期。
近衛隊長として王国の騎士を統率していた伯爵。
王と共に一緒に戦場に出て戦ったこともある伯爵の言葉は、けっして軽くはない。

「王妃も。先王陛下を深く敬い愛されていた…」
「…」
「貴方はお二人の間に産まれた御長男、正統な王でありますぞ」
なのに昔のつまらぬ噂に振り回されるとは、一国の王らしからぬ振る舞いですぞ。
「…陛下、私はいつまでも陛下の忠実な臣下の一人でございます」
そう言って、伯爵は深く頭を下げた。

「もう、よいわ…」
余は今日は疲れた。全ては明日だ。
そう言うと、陛下は私たちに背を向けて椅子に座り直した。
話は終わったという事だ。
「…失礼します、陛下」
伯爵と共に私は一礼した後、私たちは静かに王の私室を後にした。
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