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追憶の紋章 【16】 過去との決別 -09-

Category : 追憶の紋章【16】
私と彼がひそかに会っていた事を知る人は、師を別にすれば誰もいなかった。
私と師以外の他の誰にもそれは知られることはなく、日々は過ぎていった。

…これは後になってわかったことだけれど。
彼は私を殺そうとした事を、王になったばかりの頃は覚えていなかったようだ。
だが晩年になって、彼は突然に忘れ去っていた過去を思い出した。
自分を守るために祈りを捧げた女性を、自分自身の手で殺してしまったことを。

ドラゴンの呪いのせいで、忘れていたのか。
それはわからないが、突然思い出してしまった過去に彼は心をひどく痛めた。
自責の念に駆られた彼は、心労からそのまま倒れた。
もう老年といっていい年になっていた彼の体に、それは大きな負担だったようだ。

彼はずっと王宮の地下に、王家が管理する他の宝物と共に隠しておいた青い石の存在も思い出した。あれに呪いが掛かっていることはすでに理解していた彼だったが、どうしても呪いの効力が消えない。あの石を見るたびに、これは誰にも取られてはいけないと思うのだ。
たとえ王妃や、血を分けた子供たちでも。そう思うと彼は恐怖した。
また自分は呪いに負けて、大切な人を殺してしまうのではないかと。

青い石の処分に悩んだ彼は、当時最も信頼していた女性の神官長に、己の過去の罪を全て話した。その神官長とは、私が通っていた神学校の元学長だった。
数十年前に突然病気療養と称して居なくなり、ほどなく治療の甲斐なく亡くなった。
そう思われていた私が、実は殺されていたとは。
今の王家が出来てからは、王の相談役として長年勤めていた神官長。
彼女は、真実を聞かされてひどく驚いたそうだ。

「…それが事実なら、やはりここは古の通り。石の管理は『祈りの乙女』の資格を持つ者がするべきでしょう」
神官長はそう言うと、現時点で祈りの乙女に値すると思われた女性の名前を挙げた。
それは彼の孫娘だ。

彼は王になった後で迎えた王妃との間で、一男一女を設けた。
ちなみに二代目の王となる彼の息子の妻、つまり王妃は私の兄の子であった。
私の姪にあたる女性だ。
姪である彼女が生んだ娘は、私と同様に子供の頃から不思議な力を見せていた。
師が私に言ったとおり、私の一族は代々祈りの乙女を輩出していた家なのだ。

私の姪が二代目の王の王妃になった事。
さらに私の兄が、彼と共にドラゴンと戦った戦友だった事。
私の一族が王国内で、帝国時代と同じように貴族の中でも位の高い「公爵」の称号を得た理由がそれだった。だから私が王家に連なる公爵家の縁である…と言うのは別に嘘じゃない。
まあ、百五十年前の縁だけど。
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