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追憶の紋章 【16】 過去との決別 -06-

Category : 追憶の紋章【16】
ドラゴンの討伐軍が任務を果たし、彼が無事に戻ってくると聞いた時。
私は心からお爺さんに感謝した。契約はちゃんと果たされたのだと。
彼は無事に戻っただけでなく、ドラゴンを倒した「英雄」となっていた。

「戻ってきたら、すぐにいつもの秘密の場所に行くよ」
彼がドラゴン討伐軍に参加を決め、出発しようとした日の朝。
彼に石を渡すために慌てて見送りに行った私は彼に石を渡し、お爺さんと交わした契約の事を話した。彼は石を大事そうに持ちながら、何度も頷いてくれた。

必ず無事に戻って、この石を君に返す。

そう言って笑って出発した彼の背中を見ていた私の胸は、心配で張り裂けそうだった。
けれど今の私は喜びに満たされていた。彼は無事に帰って来てくれたのだから!

夜に寮を抜け出し、いつもの場所へと向かう。彼はもうすでに来てくれているだろうか?
もしかして勝利のお祭りに湧く街で、皆から引き止められているかも。
そう思いながらも、私は早足で森の奥へと向かった。
彼と二人で秘密に会っていた場所は、他の人はなかなか入ってこない森の奥だった。
そこは小さい頃から寮に入った私が、時折持ち前の好奇心が出て、いろいろ森を探検する内に見つけた場所だった。

「あ…」
黒い夜の森で、小さな松明が見えた。
明るい火の光の方に向かうとそこには間違いない、無事に戻ってきてくれた彼が居た。
「良かっ、無事で…」
感極まって言葉がうまく出ない私は、涙を堪えながら彼に近寄った。

…そこから先の事は、私はよく覚えていない。
気が付いたときには、私の胸の下あたりに何か冷たい物が触れた、とそう感じた。
彼に再び会える喜びで熱くなっていたはずの私の胸に、冷たい何かが注ぎこまれたような。
そんな感じだった。

彼はあの時どんな顔をしていたのだろう…。
深い森の中、夜の闇に覆われた彼の顔を私を見ていない。
ただ剣を持った手とは反対の手で持っていたのだろう松明が、彼の足元を照らし地面に二人の影を映していた。

王と伯爵に過去の話をしながら。
長い時を重ねて淡くなってしまっていた過去が、徐々に鮮明になってくるのを私は感じていた。
あの時、彼の影がゆらゆらと大きく揺れていたことを、徐々に思い出す。
そして私の影には、何か細く長いものが重なっていた事も。

私は彼の剣によって、胸を刺されたのだ…。
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ジャンル : 小説・文学

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