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追憶の紋章 【16】 過去との決別 -01-

Category : 追憶の紋章【16】
静かに降り始めた雨が、人間二人と馬の体をしっとりと濡らしていく。

「ミオ、寒くない?」
「大丈夫…」
ミオはそう言うと、私を安心させるように少し微笑む。
だが大きなマントを頭から被り、体を覆って雨を凌ぐ彼女の体は少し震えている。
冬も近い今、雲に遮られ日の当たらぬ深い森の中は寒い。
どこかで雨を凌ごうとさっきから周りを見渡しているが、なかなか良い場所が見つからない。

「もう少し先に進んでみるよ。適当な場所があったらそこで暖を取ろう」
ミオの体を覆うマントごと私は彼女を片腕で抱きしめ、もう片方の手で馬の手綱を取る。
森の入る前は私の後ろにいたミオだが、今は前に移動して私に胸に寄り添うようにしながら馬に乗っている。

「私は大丈夫だよ、リツ」
「…どちらにしろ、少し休憩しよう」
森に入ってから、もうかなりの時間が立っている。
「どこか雨を凌げる適当な場所を見つけて、温かいお茶でも飲もう」
私がそう言って笑いかけると、ミオは一度顔を頷かせた。
そしてまた私に体を預けるようにして、体を寄せてきた。

私はマントの上からミオの体を優しく抱きしめながら、もう一度森の奥を見詰める。
不思議な感覚だった。行けども行けども同じ場所を回っているような…そんな感じ。

確かにここは「迷いの森」だ。

一度入れば、抜け出ることのできぬ不思議な森。
そんな場所にミオと二人、馬を飛ばして入ったのは半日前くらいの事だ。

王都からのしつこい追手を振り切って私たちは、地元の人間でも決して入ることはない森の中へと躊躇うことなく入っていった。
私の胸には契約を交わした魔法使いから預かった大事な手紙。
そして誰よりも、何よりも大事で守らなければいけない人を腕に抱きながら。

私は雨に濡れた前髪を一度軽く手で払った。
跳ね飛ぶ水滴を見ながら、私は手綱を絞り馬をますます森の奥へと進ませていく。
この「迷いの森」に居るという、「森の賢者」の会うために…。
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テーマ : 二次創作:小説
ジャンル : 小説・文学

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