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追憶の紋章 【15】 魔法騎士の過去 -10-

Category : 追憶の紋章【15】
一人はだいぶ年を取ったお爺さん。
旅の途中で財布を無くしてしまったその人は、食事を取ることが出来ずお腹が減って座りこんでいました。学校の用事で街へ出かけていた女の子は、帰り道で力なく座り込むお爺さんを見つけると、学校へと連れて行く事にしました。
そのお爺さんは女の子が居る神学校に用事があって、遠い処から来たのです。

お爺さんはここに来る前には、世界中を旅して回っていました。
お爺さんは自分を助けてくれた彼女に、旅の話をたくさんしてくれました。
本の中では得られない話を、彼女は夢中になって聞いたのです。
そんなお爺さんと彼女は、いつしかとても仲良しになっていました。

もう一人は、若い騎士。
この地方では珍しい黒髪で黒い瞳を持った彼は、モンスターを退治する仕事をしていました。
仕事で怪我をした彼は、神学校の側にある教会で治療を受けていたのです。
神学校の生徒は、時折看護の基礎的な勉強も兼ねて治療のお手伝いをします。
たまたま彼が運び込まれた日に、看護の当番に当たっていた彼女。
そこで出会った二人は、その後何度か話しをする機会があり、どこか似通った処ある二人は急速に仲良くなっていきました。

若い騎士は早くこの南の地方でも、一つにまとまった国が出来ることを望んでいました。
そうすれば無駄な戦も減って皆が平和に暮らせる。
…彼は心からそう願い、いつかそうなると信じていたのです。
心優しく、常に騎士の誇りを忘れない、とても純粋な人でした。

そんな彼に惹かれていった彼女は、誰にも内緒で彼と逢瀬を重ねるようになりました。
しかし神官見習いの彼女が、彼と堂々と会うのはやはり憚られます。
だから学校を囲むように覆う森の中、彼女だけが知っている秘密の場所を彼に教えました。
二人はそこで許される時間の限り共にし、将来の夢や他にもたくさんの話をしたのでした…。

***

…もう遠い、百年以上も前の記憶はどこか淡くてぼんやりしている。
私には彼と会っていたあの時の感情を、もうはっきりと思い出す事はできない。
陛下と伯爵に王家の伝説にも繋がる話をしながら、私はそう思っていた。

彼の顔も朧げで、私の頭の中のどこにもその記憶はなかった。
でも一つだけ、どうにも忘れられないことはある。
それは彼の澄んだ黒い瞳。
思えばミオちゃんも、彼と同じように澄んだ黒い瞳を持っていた。
彼女を見ていると時折、ふと遠い昔の…何か切ない気持ちが私の中に蘇ってくることもあったような気もするけれど…。それでも私は、彼の顔を思い出すことはなかった。

それから彼もリッちゃんと同じように。
突然現れたドラゴンを倒すため、「大丈夫だから」と心配する私に向かって何度も笑ってそう言いながら、戦いの場へと赴いていった。

王女が十六になった時。
施設で一緒だったリツという幼馴染が騎士となって、再び彼女の前に現れた。
赤枝の称号を持つ騎士。
彼女がドラゴン退治に参加するから、私に力を貸して欲しいと頼んだあの日から。

ミオちゃんには、百五十年前の私と同じような思いをさせたくない。

私は強くそう思うようになっていた。
愛する騎士の無事を願い、祈りを捧げる王女の後ろ姿に。
私は自分の過去を重ねていたのだ…。

To be continued…
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ジャンル : 小説・文学

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