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追憶の紋章 【13】 王都脱出 -07-

Category : 追憶の紋章【13】
リツにしがみつきながら前を見た私は、いつのまにか開かれていた正門に少し驚いた。
いつもは閉じられているのに。誰が開けたのだろう。

「門が閉まる前に早く!」
リツが「ユイ」と呼んだ彼女がそう叫びながら、四方から私たちに迫る兵士たちに向けて何か呟いた。すると急に兵士たちは、私たちを追いかけるのを止めた。
呆とした顔をしてふらふらとさまようように歩く兵士と、手綱を握ったままぼんやりとした様子で馬に乗る騎士たち。
「忘却の魔法…?」
彼らの様子を見て、私はすぐに理解した。
魔法の勉強も少しはしていた私だけど、こんなにも大勢を一瞬で魔法にかけてしまうなんて。
彼女は一体…。

「早く!」
魔法使いの少女の声に促され、私は正面にまた目を向ける。
正門には先程の兵士たちと同様に、呆然と立ちつくむ門兵たちが居たが、彼らは急に正気を取り戻したように頭を数度振ると、馬を走らせて向かってくる私たちを見て、慌てて門を閉めようと動き出した。
「ああ、さすがに魔法の時間切れー」
さっきまで門兵たちは、魔法にでもかかっていたのだろうか?
目の前で開いていた正門が、今にも閉じられようとしていく。
「ちっ」
リツは馬の腹を蹴り、正門めがけて必死に馬を前に進める。

大きな鉄の門が少しずつ閉まっていく中。
焦る私たちの耳に、門の向こう側から地面を削るような大きな車輪の音が聞こえてきたかと思うと、もの凄い速さで一台の馬車が走ってくるのが見えた。
馬車は今にも閉まろうとする左右の鉄門の間に、ぶつかる勢いで強引に入ってきた。
危険を察して逃げる門兵たち。
だがすぐに戻ってくると、いきなり突入してきた馬車に向かって槍を向ける。
しかし槍を持つ彼らなど物ともせず、馬車の中から颯爽とした感じで出てきた初老の男性は、素早い動きで槍をかわすと、門兵の一人に蹴りを入れて倒した。

「は、伯爵!?」
「おおー、リツよ、とうとうやりおったのう!」
馬車から降りた男性は、笑顔満面で驚きの表情を見せるリツにそう言うと、別の門兵の槍をかわし、持っていた剣を斬るというより叩くと言った感じで使い相手を気絶させる。
「ど、どうしてここへ!?」
「決まっとるだろう、こんなおもしろそうな事に参加せんでどうする!」
ワハハと笑いながら突然現れ、リツに伯爵と呼ばれたその人は。
年齢を感じさせない身軽な動きで、倒れた門兵から槍を奪うと馬車の御者台に上がった。

「…伯爵」
「お前を拾った時からの、ワシはちょっとこんな展開を期待しておったよ」
まだ驚いている様子のリツに、伯爵はひどく満足気な様子だった。

お前はいつでも、ワシの期待以上のことをしてくれるのぉ。

そう言って伯爵は、ニッと笑った。

「ほれ、早よう行け!」
伯爵に急かすようにそう言われたリツは馬の腹に軽く蹴りを入れると、神官騎士の後に続いて伯爵が立つ場所の横を静かに通りすぎていく。
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