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追憶の紋章 【11】 王女の苦悩と騎士の決断 -07-

Category : 追憶の紋章【11】
…思えばあの時は私もリツも、心の中に多少希望のようなものが浮かんでいたのだと思う。
ムギに宥められ、少し落ち着いた私は一人部屋の中でじっと身動きせずに、数日前の記憶を辿りながら考えていた。

私は父と交わした会話の内容を思い出してみる。
見事にドラゴンを倒したリツは、父が言った「思いのままの恩賞」の望みとして、私との事をどんな形でかはわからないけれど話したのだろう。
でもそれがきっと、最悪の結果を生んでしまったんだ。
リツを拘束したと父から聞いた時、最初に私はそう思った。

リツが父とどんな話をしたかはわからないけれど。
彼女が私と同じ施設に居たことを、父が知ってしまった事は間違いない。
父は私の過去を消すために、私が育った施設そのものを消してしまったくらいだ。
私の過去を知るリツの存在を、うとましく思ったとしても不思議はない。

それにしてもリツが父を剣で襲おうとしたなんて、私には到底信じられない。
二人がどんな会話をしたとしても、あのリツが突然そんな乱暴な真似をするなんてありえないと私は確信している。
リツはドラゴンも倒した強い騎士だけど、根は本当に優しい人なのだ。
本来なら争いの中で過ごす騎士なんて、人を傷つける事が誰より嫌いな彼女には向いていないのに。王宮に連れられてしまった私にもう一度会う為に、彼女の性格では辛い事も多かっただろう騎士になって頑張ってくれたのだ、リツは。

なのにそんな彼女は今衛兵に監視され、部屋に軟禁状態だ。
ムギが言っていたように、ひどい目にあわされている様子はないようだけれど。
「リツ…」
ドラゴンを倒した英雄であるはずの彼女が、父からあらぬ嫌疑をかけられ部屋に閉じ込められているのも、きっと全て私のせいなのだ。
それだけじゃない、私が育った施設が無くなってしまったのも。
園長先生も、他の皆も。
王都から追い出すように、別の施設へとバラバラになってしまったのも全て私のせい。
そう思うと私は悲しくて、また泣きそうになる。

- 泣かないで、ミオ。
施設に居た子供の頃も、王宮で再び出会った今も、リツに何度も言われた言葉。
私はぐっと涙を堪えた。胸の痛みはまだ止まらないけれど。
「そうだ。泣いてる場合じゃない…」
とにかくリツを助けないと。このままでは父が彼女に何をするかわからない。

私が大人しく隣国の王子の元へと嫁げば、父は彼女に何もしないのだろうか…。
でも、それは。それだけは、嫌。
もう二度と会えないとあきらめていたリツと、また会えたのに。
会って互いの気持ちを知ったのに。
また引き離されるなんて、絶対に嫌!…でも。

- それがあの者のためでもある。

父のあの言い方。私の行動一つでリツの身がどうなるかわからない。
リツと離れるのは嫌。だけど、もし私が黙って父の言うことを聞いていれば。
それでリツが助かるなら。
私は両手で顔を覆い俯いた。どうすればいいんだろう、どうすれば…。

いつまでも答えの出ない問いに、私は一人泣くのを堪えて考えていた。
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