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追憶の紋章 【11】 王女の苦悩と騎士の決断 -04-

Category : 追憶の紋章【11】
王弟殿下の第二子息である彼の弟君は、兄とは正反対の心優しい誠実な男性だった。
傲慢な一面が態度が鼻につく兄とは違い、控えめで大人しい弟君。

そんな彼が討伐軍の軍隊長に選ばれたと聞いたときは、私はかなり驚いた。
彼が騎士として勇ましく戦う姿など、想像もつかなかったからだ。
本来は目の前の、しつこく私にダンスを誘ってくる彼が行くはずだったらしいのだが。
どうやら弟に危険な役目を押し付けたようだ…と討伐軍が結成された当初、王宮内ではすぐにそのような噂が、まことしやかに囁かれ始めた。
ありえそうだ…と私もその噂を始めて耳にした時、素直にそう思った。

「まあ、ほんの一曲だけでも」
そう言って、なかなかあきらめてくれない彼に、私は内心イライラしていた。
「ごめんなさい、今はちょっと…」
「なぜです、誰か他に最初にダンスを踊る相手でも、いらっしゃるのですか?」
口調は丁寧だが、彼の表情には苦々しさが詰まった暗い影が見え隠れている。
自分の誘いを断る私を信じられないと言った面持ちで、目を細め私を刺すように見ている。
私は心底嫌な気分だった。これが私の従兄弟の一人だと思うとますます嫌悪が募る。

「どうなんです、王女殿下。どなたかお相手が…」
「います。もう、約束しておりますゆえ」
失礼、と短く私は彼にそう言うと、会場の中に足早に戻っていった。
歩いていった先に、ムギの後ろ姿を見つけた。この王宮内で最も信頼できる友人の姿を見つけると、彼女が誰と話しているか私にはすぐにわかった。
「殿下、ちょっと…」
後ろからまだ声を掛けてくる彼のしつこさに、私はほとほとうんざりした。
私は貴方と踊る気なんか欠片もない。私は…。

「ミ、王女殿下…」
ムギが思わず私の名前を出しそうになって、慌てて敬称付きの呼び方に変えている。
「ごきげんよう」
ムギに悪いけれど。私は彼女にではなく、彼女と話をしていた騎士に向けてそう挨拶した。
「貴女が赤枝の紋章を受け継ぎ、この度はドラゴンを倒した偉大なる騎士様でいらっしゃいますか」
「…は、はい」
突然声を掛けてきた私に、リツはちょっと驚いているようだった。
彼女のそんな様子を見て、私は内心で少しおかしくなる。

「騎士の叙任式では一度お会いしておりますが…。初めまして、ミオと申します」
ドレスの両裾を指で軽く持ち上げながら、私は王女らしく優雅に挨拶をしてみる。
「…王宮の近衛騎士リツでございます」
リツも少し慌てながらも、騎士の正式な作法で返答してくれた。
「リツ様。この度はドラゴンやオークに襲われた街を救ってくれて、この国の王女として心から感謝しております」
「もったいないお言葉です」
それでもこんな王女や騎士としての立場を考慮した会話をしていると、さっきまでの楽しい気持ちが少し冷めていくような気がした。
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