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追憶の紋章 【11】 王女の苦悩と騎士の決断 -03-

Category : 追憶の紋章【11】
そんな貴族の令嬢達の様子を見て、私は内心でムッとした気持ちになった。
ドラゴンを倒した英雄である彼女に、どうやらかなり興味があるらしい。
いつもなら平民なんて眼中にない彼女たちなのに。
リツ自身は彼女達の熱い視線に、あまり気づいてはいないようだったけど。

「殿下、こんな処にいらしたのですか」
「あ、…ごきげんよう」
パーティー会場の一部分に目が行ってしまっていた私は、不意に横から声を掛けられたので、慌てて視線をそちらに移した。
「どうなさいました、お疲れになられましたか」
私に声を掛けてきたのは父の弟、私の叔父でもある王弟殿下の第一子息。
「い、いいえ。…少し喉が渇いたので座ってワインを飲んでいただけです」
「そうですか」
彼をほんの少しだけ、形ばかりの心配そうな表情を浮かべてはいたが、すぐにいつものニヤケ顔(と私には見える)に戻って、私を上から下までじっくりと眺めてきた。

正直、彼のそんな態度が気持ち悪い。
彼は王宮内で気に入った侍女や女官に手を出し、問題を起こしたことが多々ある男だった。
「あいつは女癖が悪い」
父が叔父に対して嫌味たらしくそう言ったことがある。
別に父がそう言っていたから、という訳ではないけれど。私も彼の事は内心で嫌っていた。

「殿下。今宵の殿下の装いも、清楚で美しい貴女にとてもお似合いです」
「ど、どうも…」
「どうでしょうか、殿下。美しい貴女と、最初にダンスを踊る栄誉を与える相手に、この私を選んではいただけないでしょうか?」
胸に手を当てて軽く頭を下げる彼は、顔立ちはけっして悪くはないからか、悪い噂があっても貴族の令嬢たちにはそれなりに人気がある。
でも私からすると、彼の行動一つ一つが軽薄なものに見えて仕方ない。

「…いえ、もう少し他の皆様にご挨拶しなくてはいけませんので」
私は彼の誘いをそう言って断ると、この場をすぐに去ろうとした。
「つれないですねえ、王女殿下。いや我が従姉妹殿。そう言わずに一度くらい」
「…いえ、本当に今はちょっと」
しつこく誘ってくる彼からなんとか逃れようと、私は必死だった。

父と叔父の仲が悪いことは私も知っていた。
叔父があわよくば、今この私の前に立ち塞がった目の前の彼の頭上に、王冠を載せたいと願っていることも。
王宮に来たばかりの頃は、父や叔父の確執など、私にはどうでもいいことだった。
王になりたければ、勝手になればいい…そう思っていたくらいだ。
ただ今は少し気持ちが変わった。

別に彼が王になろうがなるまいが、それはどうでもいいけれど。
彼が王になった後で、幼い私の弟をないがしろにするような真似はしないだろうか。
その心配が私の心を占めていた。いや、ないがしろにするくらいならまだいいかもしれない。
家庭教師について各国の歴史を学んだ私は、王位継承の争いが醜いものだという事を学んだ。彼が王になった後の、弟の身が心配だった。

王になるのが彼の弟君なら、私もそんな心配をしなくてすむのに。
私は内心でそう思うと、一つ溜息を吐いた。
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