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追憶の紋章 【11】 王女の苦悩と騎士の決断 -02-

Category : 追憶の紋章【11】
その夜は予定通り、討伐軍を讃える祝宴が催された。

いつもの私ならパーティーに出席するのは億劫でしかたないのだけれど、今日に限っては待ちきれない気持ちで一杯だった。
パーティーには当然リツも参加しているはずだから。
「ドラゴンスレイヤー」の称号を得た彼女は、今回のパーティーの主役といって間違いない。

春になる前に開かれたパーティーの時も、私はリツに会った。
でもそれはバルコニーの下で、篝火の前に警護の一人として立つ彼女とだ。
その時はバルコニーの柵の隙間から、僅かに手が触れ合えただけ。会話だってほんの数分。
あの時はまだ春先で、夜は少し冷えていた。
私は肩を出したドレスを着ていたけれど、少しも寒くなんて無かった。
もっとリツの手を握っていたかった。…でもそれは許されなかった。

もちろん今回リツが同じパーティーの席上にいるからといって、彼女とすぐに触れ合える訳もない。ムギの協力で時折私の部屋で二人きりで会う時以外は、私とリツはあくまで王女と騎士というだけの関係。身分の違う二人、周囲にはけっしてバレてはいけない関係。
どうしてバレてはいけないか、それくらい私にだってわかってはいるけれど。

頭では理解していても、心は辛かった。
本当は今すぐにでもリツの胸に飛び込んでいきたかった。
無事で良かった、と大きな声で叫びながら。
でもそれはやっぱり許されない…。

それでも私は今日のパーティーを楽しみにしていた。
少なくともリツに会える事は間違いないから。
ずっと待っていた、もう一度会うことをひたすら願い祈っていた私の幼馴染。
そして愛しい唯一人の、私の騎士に会う為に。

***

いつもは空虚な気持ちで、適当にやり過ごすパーティーの時間。
でも今日ばかりは、色鮮やかで輝いているように見えた。
それはきっと、父と王子の三人で入った会場で、すぐにリツの姿を見つけたから。

「今日は無礼講である。余も今日は勝利の美酒を味あわせてもらおう」
父がそう言った後、会場内はまたざわめきに包まれた。
楽団の奏でる音がまた部屋に響き渡る。
王子と共に列席者たちに声を掛ける父とは別に、私もソツのない会話を周囲と交わす。
普通に会話しているつもりだけど、正直話した瞬間何を話していたか忘れそうなくらい、私の心はここにあらずといった感じだった。
私の意識はずっと、ドラゴンを倒した英雄として、たくさんの貴族たちから質問責めにあう彼女に向けられていたから。

「殿下。あちらの侯爵夫人が殿下にご挨拶したいと…」
ムギがリツの方へと意識を向けがちな私を、緩やかに軌道修正してくれる。
「…わかりました」
内心で僅かな溜息を漏らしながら、カン高い声で話す侯爵夫人に挨拶した後、私は少し疲れたので部屋に隅にある長椅子に座ると、侍女が持ってきてくれたワインを受け取る。
少し熱気がする会場内で話をしていたせいか、冷たいワインが乾いた喉に心地よかった。

ふとまた視線をリツの方へと向けると、彼女は大きな黒いローブを纏った少女と話をしていた。
あれは誰だろう?王宮の宮廷魔法士とは、少し違う感じだけど…。
そう思いながらも、私は二人から少し離れた場所に居る貴族の令嬢達に気付いた。
彼女たちはしきりにリツの方を見て、なにかはしゃいでいる。少し離れたここからでも、彼女たちの黄色い声が今にも聞こえてきそうだ。
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ジャンル : 小説・文学

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