スポンサーサイト

Category : スポンサー広告
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

追憶の紋章 【10】 真実とそれぞれの思惑 -09-

Category : 追憶の紋章【10】
ユイの話を聞いた私は、肩の力を抜いて大きく息を吐いた。
やはりユイの魔法が、あのドラゴンを倒す決め手となったんだな。
そう思うと、今日まで心のどこかで腑に落ちないような、落ち着かない気持ちがようやくすっきりしたようだった。

「…やっぱりドラゴンスレイヤーー、なんて大層な称号は私には似合わなかったな」
どうしても自分で倒したという意識が持てなかった私だけど、それもそのはずだ。
「あ、ううん。そんなことはないよ。リッちゃんは立派に『ドラゴンを倒した者』だよ」
ユイが慌てたようにそう言ってきたけれど、今となってはそれはもうどうでもいいことだった。
私がドラゴンを倒す事に固執したのは、あくまでも誰もが認める功績を得るためだったのだ。

だが、今この状況はどうだ。
ドラゴンを退治して勇躍帰ってきたと思ったら、王から訳のわからぬままに罪をきせられ、今は豪奢な部屋の一室に閉じ込められている。
さらにあのドラゴン自体には、なんら罪はなかったんだ。
魔法士たちが利用しようと思わなければ、ユイの言うようにその僅かな命の灯火を、人知れず燃やして静かに消していくだけだった悲しい種。
そんなドラゴンと戦って怪我をし、あまつさえ命を落とした騎士や兵士たちは、一体何のために誰のために戦ったというのだろう。

私はひどく空しい気分になってきていた。

***

私が王家の伝説に繋がる祈りの乙女だった。
そのことに、アズサちゃんはまだ少し驚いているようだった。
「…そういえば、アズサちゃんたちはどうしてあのドラゴンに襲われた街へ来ていたの?」
そんな彼女に、私は最初に聞いてみようと思っていた事を思い出した。

「え、…ああ。私たちドワーフやノームの一族から、調査と交渉を依頼されまして」
「調査と交渉?」
「あの洞窟内に住んでいたドワーフたちが、急にドラゴンがここに住み着いたのはなぜか。それと合わせてドラゴンとの交渉を頼まれたんです」
「ドラゴンとの交渉…」
「はい、ドワーフたちがどれ程ルーン語(古代の魔法語の一つ。ドラゴンなら必ず知っている言語)で呼びかけても、あのドラゴンちっとも反応しなくて困っている…と言われて」
無意識に動いているドラゴンには、どんな言葉も届かなのは当然だったろう、と私は思う。

いきなり何十年も住み慣れていた場所に、挨拶の一つもなく入ってきた無礼なドラゴンに占拠されて困ったドワーフやノームたち。
彼らは協議の結果、以前知り合った偉大なる魔法使いの弟子の一人、ユイちゃんにドラゴンとの交渉人になってくれる事を依頼してきたのだ。

「手紙をもらったユイさんは、それをあっさり承諾したんですけど」
毎度の事で、街へ到着した時はその事すっかり忘れてましたけどね。
アズサちゃんが苦笑交じりにそう言うと、紅茶を口に含んだ。
「でも忘れていてもちゃんと目的の街へ辿り着いちゃう処は、ユイちゃんの凄い処よね」
「ホント、時々感心します。それに一応仕事もこなしてますから」
私たちは互いに少し笑った。抜けているようで、大事な処ははずさない私の姉妹弟子。

「ところでムギさん、さっきのムギさんが祈りの乙女だったってことですけど…」
笑いを治めたアズサちゃんが、上品な手つきでカップをお皿に戻すと、少し身を乗り出す勢いでそう聞いてきた。
「…私の過去を話せば長くなるわね。別に話すのはちっとも構わないんだけど。でも、ごめんなさい。今はこれ以上のんびりと過去の終わった話している場合じゃないわ」
私の過去に興味津々といった感じのアズサちゃんには申し訳ないけれど。
関連記事

テーマ : 二次創作:小説
ジャンル : 小説・文学

Comment

非公開コメント

プロフィール

書き人知らず知らず

Author:書き人知らず知らず
ようこそお越しいただきました。
こちらはけいおん二次創作SSサイトです。

ジャンルは『けいおん!』律澪
律澪はジャスティス。
いい言葉ですね。

百合的要素を含みますので嫌いな方や都合の悪い方は見ないことをお勧めします。

当サイトはリンクフリーですのでリンクをしていただけると嬉しいです。相互リンクもよろしければ大希望です。

当サイトはまんがタイムきらら原作、アニメ「けいおん!」中心の非公式サイトです。
原作者様、出版会社様、制作会社様とは一切関係ありません。

最新記事
カテゴリ
月別アーカイブ
最新コメント
最新トラックバック
けいおん時計
リンク
ランキング

FC2Blog Ranking

RSSリンクの表示
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QR
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。