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追憶の紋章 【10】 真実とそれぞれの思惑 -04-

Category : 追憶の紋章【10】
「か、彼らがあのドラゴンを操って、街を襲わせていたって言うのか…」
「半分正解で、半分不正解」
ユイがゆっくりとした口調でそう答える。
魔法士たちはあのドラゴンの意識を覚醒はさせず、無意識下に命令を下して自分たちの意のままに操ろうとした…。
ユイの話を理解するために、私は内心で彼女の言葉をもう一度復唱してみる。

「でも途中でそれが失敗したんだろうね。眠るドラゴンに命令を刷り込ませる…まではできたんだけど、その後の制御に失敗しちゃったんだよ、きっと」
「命令を刷り込ませる…?」
「多分だけど。本来は魔法士たちが『指示した場所』に攻撃を加えるように、と命令されていたんだと思うよ」
だが魔法士たちのドラゴンに対する制御は、最初はともかく結局最後は失敗に終わった。

魔法士の制御の声を聞かなくなったドラゴンは、強引に刷り込まれた「攻撃せよ」という命令だけが、無意識の中に残っていたのだろう。ドラゴンは自覚なく、意識のないまま(ユイ曰く寝ぼけて)時折刷り込まれた命令を思い出し、無差別に周囲を襲った。
「わざわざ街へ出向いて攻撃したくらいだからあの魔法士たち、ドラゴンを自分達が『指定した街』へ襲わせるように…と考えてたんだろうけどね」
ユイが湖の前で話をしていた時のように、またもや講師口調で私にそう説明する。

「あの街が襲われたのは、たまたまだっていうのか…」
「私たちがドラゴンと戦ったあの廃坑。あそこは昔からノームやドワーフが住む場所だけど、そういう場所ってドラゴンが住み着きやすいんだよね」
魔法士たちはあの炭鉱までは多分、ドラゴンの制御に成功して連れてきたに違いない。
しかしその後、制御が外れてどうにも手に負えなくなったのだろう。
「それで陛下に泣きついて討伐軍を…」
「泣きついたってのもあるかもしれけど、王様自身もそりゃあ困ったんじゃない」
「え」
「多分王様だって知ってんだよ、魔法士たちのしてる事」
いや、実は王様が率先して、魔法士たちに研究させてたんじゃないかな。
ドラゴンを制御する方法を。
ユイはどこか確信めいた表情をしながらそう言った。

「ど、どうしてそんな真似を?」
「そりゃあ、いわゆる御国の為ってやつでー」
そう言うとアハハ、とユイは笑いだした。
「ドラゴンを自由自在に扱う事ができれば、そりゃあすごい戦力だもんねえ」
古の文献には、ドラゴンに乗って戦うドラゴンナイト(竜騎士)、てゆうのもいたし。
ま、それが狙いだったんじゃない?
ユイの話を聞きながら、私はまだどこか信じられない気持ちで聞いていた。

あのドラゴンを制御し、思いのままに操るつもりだった。
だがそれは失敗に終わった。制御が効かないドラゴンは僅かに残る意識の中で、中途半端に残っていた命令を思い出して街を襲った?
「なら魔法士や、…陛下がそんな事考えなければ、本当は街は襲われずにすんだのか?」
倒壊した建物。その周りで泣く人々。子供を抱いて力なく座る母親。
瓦礫の下に埋もれた家財道具を、少しでも取り戻そうとする男たち。
最初に街へ到着した日に見た光景が、私の脳裏に鮮やかに思い出される。

「詳しくは知らないけど。隣国との国境付近が、またすこーしキナ臭くなってきたみたいだからねえ」
ドラゴンの戦力投下を急いだんじゃないかなあ。
ユイの話を聞いて、私の胸の中に怒りの気持が湧き起こってくる。
「…ドラゴンだけじゃない。街が混乱してしまったせいで、オークやゴブリンたちが堂々と街へ侵入するようになったんだぞ!」
そのせいで街の住人がどれ程被害を蒙り、その命を落としていったと思っているんだ!

私は叫ぶようにそう言いながら、右手にぐっと力を込めた。
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