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追憶の紋章 【9】 王との対話 -09-

Category : 追憶の紋章【9】
「お父様、施設を、私の育った施設をどうしたのです」
「…」
「ここに来たばかりの頃、私に施設に居た事は忘れろと貴方は言いました。そのかわりこれまで以上に支援すると」
それは、それは嘘だったの…。
私の非難に満ちた目に、父は少し目を逸らした。

「…お前の過去がバレるのは、けっして良いことではないからだ」
「お父様!」
「確かにあの施設はなくした。だが園長や、他にもあそこで働いていた者には、充分な報酬を渡して別の場所で働くように手配した」
「そんな…」
「もちろん中に居た子供たちも、別のちゃんとした施設へ移したし、そちらに援助もしておいた。だから心配はいらぬ」
これもお前の過去を知る者を、なるべく王都から離しておくためだ。
父は多少言いにくそうではあったが、そう私に説明した。
「なのに、お前の過去を誰よりも知っている者が、近衛騎士になって王宮に入ってくるとは!」
迂闊だった、と父は苦々しそうに呟いた。

「…リ、彼女を、赤枝の騎士をどうしたんです、お父様」
父のその口ぶりに、私は不安な気持ちが押し寄せる。
「…余はどうもしておらん。あやつが余の提示した恩賞が気に食わぬと文句を言い寄った。それだけではない、余を傷つけようとしたのだ」
「え!?」
そんな事ありえない!リツがそんな事するなんて…、咄嗟に私はそう思った。
しかし父は私のそんな思いに構わず、すでに兵に捕えさせ部屋の一室閉じ込めている、と私に告げた。

「ドラゴンを倒して増長しおったのだ」
「そんなはずありえません!何かの間違いです!」
「なぜそんなにはっきりとそう言える。…やはりあの者は、お前の幼い頃からの知り合いだからか?」
私は黙ってしまった。
でももうどれだけ私が否定したとしても、父には見抜かれているのだろう。
それにしてもリツが父を傷つけようとしたなんて、到底私には信じられない。

「よいか、姫よ。あの者が本当にお前の過去を知る、あの施設に居た者だとしても、もうお前にはなんら関わりのない者だ」
「関わりがない…」
「もう昔を思い出すのはやめよ。お前はこの国只一人の王女であり、いずれは隣の国と我が国を結ぶ二つの国の女王になる大事な身だ」
そう言うと、父は急に椅子から立ち上がった。
「王子は姉君の事が大好きだ。お前も王子の事は大事にしておるだろう」
年の離れた小さな王子の事は、私も大好きだ。私のただ一人の弟。

「いずれ我が王子が余の後を継ぎ、王となった暁にはお前は隣国からでも、姉弟揃ってこの国のために尽くして欲しい」
それが余の願いだ。
「隣国の王子の許へ行け、姫よ。…もう一切あの者には関わるな」

それがあの者のためでもある。

最後にそれだけ言うと、父は私を残して部屋を出て行った。
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