スポンサーサイト

Category : スポンサー広告
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

追憶の紋章 【9】 王との対話 -08-

Category : 追憶の紋章【9】
「…お父様は」
「ん?」
「それが一番私の幸せだと思われるのですか」
「…それ以外に、何か別に望む事があるのか、姫よ」
「私は、私たちは…」
私は一度そこで口を閉じた。
僅かに震える体と声を必死になって止め、顔を上げると目をキッと父の正面へと向ける。

「…私が育った施設は決して裕福ではなかったけれど、皆それに負けずに耐えて頑張って、一生懸命生きてきました」
皆で一緒に一生懸命、園長先生の教えを守って頑張って暮らしていた日々。
「中には意地の悪い子も居て、私もよく意地悪されたりした事もありましたが…」
そんな私をいつも助けてくれたリツ。
でもリツ以外にも、こっそり後から私を慰さめてくれた優しい子もいた。

「私の母違いの、あの幼い王子よりずっと小さい子たちでも、私によく懐いてくれて一緒にパンを作ったり部屋を掃除したり。毎日皆でできる限りのことをしようと頑張っていました」
王宮に強引に連れてこられてからずっと、これまで耐えていた何かが私の中で爆発したかのように、口からするすると言葉が溢れる。

「たとえ貧しくても、私達は私達の意志で生きていました。苦しくても、誰かに決められた幸せを押し付けられるような真似はされたことはありません」
私は父の目を見てはっきりとそう言った。
「…」
「私の幸せは、私が決めては駄目なのですか?…お父様」
父はしばらく無言で私を見つめていたが、不意に大きな溜息を一つ吐くと目を細め、何かを疑うような眼で私を見てきた。

「お前はあの者と会っていたのか」
「…え?」
「ドラゴンを倒した、赤枝の紋章を持つあの騎士の事だ」
思いもかけなかった父の言葉に、私は思わず表情を固くする。
「…どうやらそうみたいだな」
先程まで温和な表情をしていた父の顔が、見る見る渋くなっていく。
「同じ事を」
「え?」
「あの騎士も、お前と同じような事を言っておった」
「…」
リツが?どうして、父といつ話を…。

「あやつはお前と同じ施設に居た者だな」
状況がまだよくわからないけれど、父にそれを知られるのがマズイことだけは、なんとなくわかっていた。
「お父様、わ、私にはなんの事だか…」
「嘘を吐くな。もうわかっておる。…それにしてもあの施設に居た者が、まさか騎士になって王宮に出入りしていたとはな」

これではあの施設を潰した意味がない。

「え…」
苦々しい表情を浮かべながら、ボソリと呟いたその言葉に、私はハッとして父を見詰める。
父は私が見ているのに気付き、一瞬「しまった」という顔をした。
関連記事

テーマ : 二次創作:小説
ジャンル : 小説・文学

Comment

非公開コメント

プロフィール

書き人知らず知らず

Author:書き人知らず知らず
ようこそお越しいただきました。
こちらはけいおん二次創作SSサイトです。

ジャンルは『けいおん!』律澪
律澪はジャスティス。
いい言葉ですね。

百合的要素を含みますので嫌いな方や都合の悪い方は見ないことをお勧めします。

当サイトはリンクフリーですのでリンクをしていただけると嬉しいです。相互リンクもよろしければ大希望です。

当サイトはまんがタイムきらら原作、アニメ「けいおん!」中心の非公式サイトです。
原作者様、出版会社様、制作会社様とは一切関係ありません。

最新記事
カテゴリ
月別アーカイブ
最新コメント
最新トラックバック
けいおん時計
リンク
ランキング

FC2Blog Ranking

RSSリンクの表示
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QR
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。