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追憶の紋章 【9】 王との対話 -02-

Category : 追憶の紋章【9】
「赤枝の騎士よ、英雄よ。お主のような騎士を持つ我が王家は幸せよ」
「あ、ありがとうございます」
「これでようやく落ちついて国政に専念できる。それにしても目出度い事は続くものだ」
「…は?お目出度たい事、ですか?」
王のひどく満足そうな表情を見て、私は聞き返してみた。

「うむ。我が姫のことは知っておるな」
「も、もちろんでございます」
姫?ミオが一体…。
「うむ。その姫の嫁ぎ先が、ようやく決まりそうなのじゃ」
え…。
王の言葉を聞いた途端、今まで過分な恩賞に素直に感謝していた私の頭の中が、一瞬で真っ白になった。
「隣国との調停も進んでおる」

このまま順調に行けば、姫はいずれは我が国と隣国。
二つの国に君臨する王妃となるじゃろう。

王の言葉が、私の耳から入ってそのまま胸の奥へズシリと落ちた。

「それはおめでたいことでございますな、陛下」
「いや、また盛大なる祝宴をせねばなりませんな」
左右に立ち並ぶ数人の武官や文官たちが、祝福の言葉を述べながら拍手をしている。
祝いの拍手が響く部屋の中で、私は只一人身動き一つせずに固まっていた。

「陛下…」
「ん、何かな、英雄よ。おお、他にも何か望みがあれば言っておくがよいぞ」
そうだ、隣国の王子と姫の婚儀が正式に決まれば、お主にもぜひ参加してもらいたい。
そう言って陛下は、にこやかな笑顔を私に向ける。
「ドラゴンを倒した勇者ならば、その資格は余りある程。それまでには爵位を正式に封じて…」
「陛下、その婚儀において姫君の…王女殿下のお気持ちはご確認されたのでしょうか」
私は無礼を承知で王の言葉を遮り、視線を床にむけたままそう問いかけた。

「貴様、陛下に対して何を!」
王が静かな動作で手を上げて、私を注意しようとした武官を制した。
「…隣国なれど同じ王族の者へと嫁ぐのが、王族の娘として最善の幸せだ」
あの子はわが国の姫だ。それが一番のあの子にとって幸せなのだ。
王は少しも淀みなく、そう断言した。
「幸せ…ですか」
…幸せ、ミオの幸せ。

「……陛下。貴方は前にもそう言って、泣いて嫌がるミオを施設から連れ出した」
そう言いながら、無意識に握り締める私の手は少し震えていた。
「無礼者!先程から陛下に何たる口の効き方を!」
今度は先程文章を読み上げていた文官が高い声を上げたが、王は私の言葉を静止する訳でもなく黙ったままだ。
「貴方の考える幸せと、ミオが願う幸せは違うとは思われませんか!一度でもミオにはっきりと、彼女の望みを聞いてあげたことがあるのですか!」
私の問いかけに、王は何も答えない。
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