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追憶の紋章 【8】王都帰還 -06-

Category : 追憶の紋章【8】
「馬鹿者、そんな事思う必要はないわ。全てはお前自身が出した結果じゃ」
私が感謝の言葉を述べると、伯爵はフンと鼻を鳴らして私から顔を背けた。
伯爵のそんな態度には、実は少し照れ隠しが入っている事に私はもう気付いていた。
この人は昔からそうだった。案外照れ屋なのだ。

「それにしても、…よう、生きて帰った。しぶとい奴じゃ」
そう言って、伯爵は私の髪を手でくしゃくしゃにしながら、頭をゆっくりと撫でてくれた。
私は黙って、伯爵の為すがままにされるばかりだ。

子供の頃に出会ったその日から、何くれとなく私のサポートをしてくれたこの人は、私の剣の師匠でもある。それ以外にも軍の事や兵法、さらに王宮内の作法等、騎士になるために必要な事は全て教えてくれた。
物心ついた時には施設に居て、両親の顔も知らない私は、もし父が居ればこんな感じかもしれない…伯爵にいろいろ教わりながらも、そう思った事が何度かあった。
爵位を持つ伯爵家の御当主に対して、一平民である私がそんな風に思うのは、思い上がりかもしれないけれど。

伯爵はしばらく私と話をしていたが、パーティーには参加しないとの事だった。
伯爵はなぜか昔から、他の貴族が大勢集まるこの手のパーティーを嫌っていた。
「お前は楽しんでこい」とだけ言うと、私から手を振って離れた。

***

「りっちゃん、よく無事で…」
伯爵との会話を思い出していた私は、ムギの少しだけ涙ぐんだ声にハッとなる。
「へへ、言ったろ。必ず無事に戻るって」
「ええ、ええ、本当に」
ほんの少し目に涙を浮かべながら、ムギは私の肩辺りを優しく触れてくる。
左肩を負傷したために包帯を巻いていたので、服が少しだけ盛り上がっていた。
「…大丈夫?」
「大したことはない。それより、ムギ。ムギや伯爵のお陰で、私は望んでいた高い功績を建てることができた」
「そう、ね。…でも、私は特に何もしてないわ」
全てリッちゃんの剣の成果よ、と言ってムギは微笑んだ。
「ありがとう。とにかく数日にはいくつかの論功行賞が決まるだろう。その席で私は望みを王に伝えるつもりだ」

- ドラゴンを倒した者には望みの恩賞を与える。

王が討伐軍を見送る際に宣言した言葉を私は口にした。
ムギは黙って私の話を聞いている。

「でも私の望みを言う前に、ミオの望みも先に聞いておきたいな。ああ、一度ちゃんと聞いておくべきだったよ」
ただ以前に一度、ミオは王宮から出たいと言っていた事を私は覚えていた。
街に戻って普通に暮らしたい…と。
もし許されるなら、私もミオと二人で街へ戻りたかった。
王女でも騎士でもなく、昔のままの平凡な暮らし。
しかしさすがにそれは難しいだろうか。

「とにかく王にはありのままの希望を、一度聞いていただきたい」
全てが無理でも、互いに譲歩出来る処を陛下とちゃんと話しあって…あ、もちろんミオの意思もちゃんと尊重して。とにかく二人で一緒にいられるなら、それ以上多く望まないつもりだ。
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