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追憶の紋章 【8】王都帰還 -02-

Category : 追憶の紋章【8】
「どうしたの、リッちゃん?」
周囲の興奮とは別に、一人醒めた様子をみせる私にユイが声を掛けてきた。
「え?」
「なんか浮かない顔してるから」
「いや、別に…」
近衛騎士だけでなく、今回のドラゴン退治で功績のあった街の守備兵やユイみたいなイレギュラーの魔法使いも、共に王都に凱旋することが許されていた。
ユイは私と同じ馬に乗って凱旋式に参加しているが、アズサは馬に乗るのはあまり好きじゃないらしい。今は猫の姿に変身して、列の後ろの方に居る馬車の上で、日向ぼっこよろしくのんびりと眠っている。

「心配しなくても、ちゃーんとあの石は大事に預かってるよ」
私じゃなく、アズにゃんが。
ユイはニッコリと笑って「だから心配いらないよ」とも付け加えた。
どうやらユイは、私が浮かない顔をしているのは、彼女に預けた青い石の事を心配しているからだと思ったようだ。
「確かにアズサに持っていてもらった方が安心だ…てゆうか別にそれの心配をしているわけじゃあないよ」

ドラゴンを倒した後、勝利の興奮に酔いしれる騎士や兵士たちを横目に、私はこっそりと呪文を唱えて青い石を戻しておいた。その時は慌てて服の中に隠したので気付かなかったが、後で石を見てみるとほんの少し黒い影のようなもの映っているのを見つけた。
私は不思議に思いユイに相談してみると、石に少し悪いのがついたみたいだね、と言って取り除くから少し私に貸してくれない?と言った。

ユイにそう言われ私は少し悩んだ。だがミオから借りた時には一点の曇りなく青く輝いていた石は、今は少し黒く染まっている。それをそのままにして、ミオに返していいとは思えなかった。
この石は、普段は彼女の体の中に隠されているのだから。
少し考えこむ私に「王都に着いたらちゃんと返すよ」と言ったユイの言葉を、結局私は信じることに決めたのだ。

「あれ違った?あ、もしかして肩の傷が痛むの?」
「大丈夫」
まだ多少痛みはあるが、それは大したことはない。
「ならいいけど…。あ、そう言えばー」
少し心配そうに私の肩を見ていたユイだったが、ふいに何かを思い出したようにポンと両手を叩いた。
「どうした?」
「アズにゃんを助けてもらった御礼をしなきゃあ、だよね」
りっちゃんには本当にお世話になりっぱなしで~。
エヘヘ、とユイは頭をちょっと掻きながら照れたように笑う。

「別にそんなのいいよ。私だってユイには助けてもらった」
ユイがあの石に魔法をかけたおかげで、最終的にドラゴンを倒せたのだから。
「いやいや、私の事はまあ、ともかくとして。アズにゃんを助けてもらった事はもう本当に本当に感謝しきれないよ」
これはもうフルコースで恩返ししないと。
ユイは胸の前に両手を合わせて、私に向かって祈るように言う。

「フルコース?」
私は手綱を引いて、ユイの方へと馬を近づけた。
「そう!どう、リッちゃん。私と契約しない?」
「契約…?」
「リッちゃんにフルコースで恩返しするための契約だよ」
ユイはそう言うと、黒いローブの懐に手を差し込んだ。
すぐにポンと何か小さく破裂した音が聞こえたかと思うと、懐からユイは一枚の紙を取り出した。そしてニコニコしながらその紙を私に差し出してくる。私はやや訝しがりながらも、とりあえず紙を受け取って読んでみる事にした。

そこには「汝が望む物を与えることを我は誓約する」とだけ書かれていた。
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