スポンサーサイト

Category : スポンサー広告
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

追憶の紋章 【8】王都帰還 -01-

Category : 追憶の紋章【8】
負傷した者も含め、数日掛けて討伐軍は街へと戻った。
ドラゴンを倒した第二隊はもちろんのこと、負傷して治療を受けている者以外全員、さっそく領主である貴族の屋敷内に招かれ、あらゆる賞賛の言葉を頂いた。
王都にもすでに連絡している、と告げられると副隊長や、戦いにあまり参加していなかった上級貴族出身の騎士たちが、互いに顔を綻ばせていた。
そんな彼らの様子を見て、アズサは「貴方たちは何もしてないでしょ」と言わんばかりに呆れた表情を浮かべながら、冷ややかな視線を送っていたものだ。

街に残っていた騎士及び守備隊の兵士たちも、大いに領主から感謝と賞賛の声を聞く栄誉に恵まれた。特にドラゴンを直接倒したとされる私は、名実共に「ドラゴンを倒した者」として領主から直々に感謝の言葉を頂いた。
赤枝の紋章を持つ騎士から、今度は「ドラゴンスレイヤー(竜を退治した者)」の称号を得た私に、街の誰もが尊敬の念を持って接してくれた。
貴族達ですら。

だけどそんな喜び興奮する周囲の中で、私自身は少し複雑な気分だった。
ドラゴンを倒せたことは嬉しいが、それが自分だけの力だなどと到底思っていなかった。
確かにドラゴンの口に槍を放ち、剣で腹を刺したのは私だ。
だがあのドラゴンを倒せたのは、王女であるミオから渡された特別な青い石のおかげであり、最終的にはそれを媒体にした、ユイの魔法のおかげだと私は思っていたからだ。
しかし興奮の坩堝と化した周囲に、それを説明する訳にもいかない。
王家の秘宝を持っていた理由を言える訳もないからだ。

…しかしどんな理由があれ、私はドラゴンを倒し「英雄」と呼ばれるようになった。

私自身が望み、かつて伯爵が言っていた「誰にも文句を言わせない功績」を建てたのだ。
誰よりも満足してもいいはずなのに、どこか落ち着かない気持ちになるのはなぜだろう。
私はまだ少し痛む肩の傷を覆う包帯に軽く触れながら、どこか漠然とした不安を胸に抱いていた。

討伐軍は怪我や病気になり動けない者は、街で一時治療に専念することにして、それ以外の者は数日後に王都へ凱旋する事が決まった。
王都に戻ったからといって、すぐにミオに会うことなど無理だろう。
それでも何とかして会わなければ。

***

街から二日程かけて帰ってきた王都では、我々を迎える人々が道の両端に溢れていた。

勇敢なる騎士団に栄光あれ!
ドラゴン退治の勇者たち!

王宮へと続く道の左右に人々は集まり、熱狂的な声を我々に浴びせる。
勝利の栄光を色どるために撒かれたたくさんの花びらが、風に舞って討伐軍の頭上に雪のように降りてくる。私は剣と鎧を身に纏い、馬に乗って群集の間をゆっくりと行進しながら、肩にちらちらと降り積もる花びらを見ていた。

王都では討伐軍の功績を讃え、王宮からお酒といくつかの菓子が無料で配布されていたせいか、どこか陽気な雰囲気が民衆から漂っていた。楽しげな音楽が鳴り響き、人びとの熱狂的な声を耳に入ってくる。
そんな活気あふれる中で、なぜか私は一人、少し落ち着かない気分だった。
関連記事

テーマ : 二次創作:小説
ジャンル : 小説・文学

Comment

非公開コメント

プロフィール

書き人知らず知らず

Author:書き人知らず知らず
ようこそお越しいただきました。
こちらはけいおん二次創作SSサイトです。

ジャンルは『けいおん!』律澪
律澪はジャスティス。
いい言葉ですね。

百合的要素を含みますので嫌いな方や都合の悪い方は見ないことをお勧めします。

当サイトはリンクフリーですのでリンクをしていただけると嬉しいです。相互リンクもよろしければ大希望です。

当サイトはまんがタイムきらら原作、アニメ「けいおん!」中心の非公式サイトです。
原作者様、出版会社様、制作会社様とは一切関係ありません。

最新記事
カテゴリ
月別アーカイブ
最新コメント
最新トラックバック
けいおん時計
リンク
ランキング

FC2Blog Ranking

RSSリンクの表示
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QR
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。