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追憶の紋章 【7】ドラゴンスレイヤー -08-

Category : 追憶の紋章【7】
ユイの顔をちらりと見た途端、私はあの青い石の事を思い出した。
そうだ、あの石を…。
「ユイ、あの青い石だけど、剣じゃなくてこの槍に入れ替える事は出来るか?」
私はユイに持っている槍を見せる。
「え?あ、昨日教えてあげた呪文を唱えて、その槍先にリッちゃんつけようと願えば…」
「わかった」
ユイに返答した後、現在の洞窟内の状況をざっと確認する。

第二隊は全員、なんとか洞窟内を後退して、それぞれ岩影などに隠れられたようだ。
簡単に状況を確認した後、私はドラゴンの居る方に視線を戻した。
視線の先には首をゆらゆらと動かしているドラゴンと…そしてドラゴンの目の前で倒れている殿下の姿が映った。
「で、殿下!」
戦いの最中、殿下の身を案じて時折様子を見ていた私だが、今は一つの考えに支配されてうっかり目を離していた。幸いドラゴンは先程までの激しい攻撃を止め、ゆらゆらと頭を揺らしたままそれ以上は動かない。目の前に倒れている殿下の姿に、まるで気付いていない様子だった。このドラゴンはどうもムラ気があるというか、行動がイマイチ読み取れない。
しかしお陰で殿下はまだ無事だった。

殿下の身を案じながらも、私は一旦楯を前に出したまま素早く後ろに下がった。
岩陰に隠れるようにして身を縮め、小さな声で呪文を唱えると、洞窟内に入る前に剣に埋め込んでおいた青い宝石が現れた。
私はそれを手に取り、呪文を唱えるとさっき拾った槍の先に埋め込む。
そしてすぐに、頭や服の上から身につけていた重い冑も鎧も全て脱ぎ捨てた。
少しでも身を軽くするためだ。

「リッちゃん?」
いきなり鎧を脱ぎだした私に、ユイが訝しげな声を上げた。
「…一つ試してみたいことがあるんだ」
右手に槍、腰にいつもの剣をつけただけの身軽な体になると、ユイを見ずにそう言って大きな一つ息を吸って吐き呼吸を整える。
王家の始祖がドラゴンを倒す際に使った石。
この青い石にどのような効果があるかはわからないけれど。

- 祈りの乙女と同じように、ずっと私もリツの無事を祈ってる。

ミオの言葉が私の頭の中をさっと横切った。
今この時、王都に居る彼女の祈りの声が、私の耳にはっきりと聞こえてくるようだった。

…大丈夫、私は一人じゃない。

「リッちゃん!?」
ユイの叫ぶ声を耳にしながらも、私は楯も持たずに岩影から出てドラゴンの正面に躍り出た。
黒く大きな塊がこちらを向き、何の感情も見られないような冷たい、だが美しい琥珀色の瞳が私を見下ろしている。その瞳を見た瞬間、私の体中どっと汗が噴出した。
「早く逃げろ!」
後ろで倒れている討伐軍の隊長でもあり、王族の一人である殿下にそう言いながら、私は槍をギュッと握り直す。殿下は何とか立ち上がり、逃げようとして一瞬私の身を心配してくれたのか、多少逃げるのにまごついた。
「いいから、早く!」
私はもう一度大きな声でそう叫ぶと、殿下は足をふらふらさせながらも、必死にこの場を離れていった。

「リツさん!」
アズサの叫び声を聞く前に、私は飛び上がっていた。
ドラゴンが尻尾をムチのようにしならせ、私の横から襲いかかってきたからだ。
甲冑も楯も捨て身軽になっていた私は、なんとかそれをよけた。だが着地がうまくいかず態勢が崩れる。ギリギリの状況だ。だが私には、ドラゴンが尻尾で攻撃するイメージが、実際に攻撃の受ける少し前から、鮮やかに頭の中に映っていた。
だからよけることができたのだ。
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ジャンル : 小説・文学

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