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追憶の紋章 【7】ドラゴンスレイヤー -04-

Category : 追憶の紋章【7】
第二小隊の皆に会議の結果を話すと、全員快く引き受けてくれた。

「余計な連中がいなくて、清々するな」
「ようやく弓がちゃんと引けそうな気がするわ」
軍全体の士気が低くなる一方で、彼らだけは戦意も高い。
「最初からこうするべきだったわね」
そう言う神官のサワコさんも、臆する様子はまったくなかった。

第二隊はすぐに軍隊長を含め、それぞれの役割や隊形を決めていった。
全員の士気がまだ高い今のうちに、と私は三度目の攻撃を明日の朝にと決める。
ユイやアズサから毒のブレスを防ぐ葉っぱや、あのドラゴンの特徴を聞いてそれぞれの持ち場を確認する。思いもかけず私の下へと入った討伐軍隊長も、近衛騎士として剣を持って戦うことになった。
「殿下、ご無理はなさらなくても」
私が控えめにそう言っても、若き王弟の子息は静かに首を振った。
「…いいんだ。私の優柔不断さが災いして、たくさんの騎士や兵士たちに苦しい思いをさせてしまった」
死者も出ているのに、私だけが安全な場所でのほほんとしている訳にはいかない。
そう言いながらも震える手で剣を握る隊長に、私は少々同情の気持ちを湧いてくる。

この人は騎士なんかになるべきじゃあなかった。
王宮の中で文官か、学術研究をしている方が幸せだったろう。
なのにドラゴンを倒す討伐軍の隊長などになってしまったのは、王族としての責務か、はたまた父親の政争に巻き込まれてしまったからか。彼はミオと同様、王族として産まれたばかりに、自分の意思とは関係ない事を強引に強制させられている。
…私にはどこかそんな風に思えて、隊長への同情を禁じえなかった。

「なるべく私の側から、離れないようにして下さい」
「ありがとう。…だが私の事は気にせず、そなたはドラゴンを倒す事に集中してくれ」
それに早く倒さないと街に住む者たちも、いつまでも安心して暮らせぬ。
ドラゴンによって破壊された街を思い出しているのか、そう言った隊長の表情は深く憂えているようだった。
「どうか無理をなさらず…」
私はそれだけ言うと、王族としての責務を果たそうとする、心優しい彼の元から離れた。

あてがわれたテントに私は戻ると、中にユイとアズサの二人が居た。
「いい人だねぇ、あの隊長さん」
テントの中に入った私に、ユイは閉口一番そう言ってきた。
「ああ」
私もユイの言葉に心から同意した。
あの優しく責任感のあるあの人が王になったら、国民はきっと幸せだろう。
私は心からそう思ったけれど、それは難しいことだった。
彼は王弟殿下の二番目の息子だ。仮に王弟殿下が今の王の幼い息子(ミオの母違いの弟)である王太子からうまく王位を奪ったとしても、王位を継ぐのは彼の兄になるだろう。
ちなみに王弟殿下の第一子息であり隊長殿の兄君は、あまり評判のいい男でなかった。

「いい人ですけど。でも剣の技量はないようですし、後ろの方で大人しく見ててもらうのが無難ですね」
冷静な口調でそう言ったアズサは、ランプの横で大きく分厚い本を読んでいた。
「何を読んでいるんだ、アズサ?」
「物語です」
「へぇ」
魔法関係の本か何かかな、と思っていた私の予想は外れていた。
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