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追憶の紋章 【5】 迷走する討伐軍 -01-

Category : 追憶の紋章【5】
琥珀色に輝く瞳が、私を上から見下ろしていた。

大きな羽が、洞窟全体を影で覆うかのように開かれる。
そいつは私たちを威嚇するように、高く大きい咆哮を一つ上げた。
耳だけでなく、体全体を震わせる唸り声。
その声に洞窟内にいる全員が、一瞬体を膠着させた。

楯の横からそっと覗いて見えるその体には、艶々と輝く銀色の鱗のようなものが、その巨大な体にびっしりと覆っている。その大きさは…以前一度だけ、国境警備の仕事で海の近くに行ったときに、初めて見た大型の船を私に思い出させた。
正面から見た船の大きさに圧倒された時と同じ驚き。
だが今は、その驚きにプラスして深い「恐怖」という感情が、私の感情に付け足されている。

これが、これが…ドラゴン。

もはや神話の世界のみで生きる獣だと思っていた、神秘の生き物。
それが今、私の目の前に存在している…。
私は剣と楯を持ったまま、その場に呆然と立ち竦んだ。

「リッちゃん!」
石のように固まっていた私は、ユイの声で正気を取り戻した。
その瞬間、ゴォ、と音を立てながら、ドラゴンの口から吐き出される炎。
私は慌てて、横に転がるようにしてよける。
「く!」
楯で体を庇いながら、私は炎からなんとか逃れた。
すぐに立ち上がり、私は洞窟の中のある岩の窪みに身を隠す。
ドラゴンは一度炎を口から放つと、そのまま周囲を警戒しているように、その長い首をゆらゆらと揺らしていた。

しばらく岩陰に身を隠していると、またもや耳を震わせるドラゴンの咆哮。
それに合わせて湧き起こる、騎士や兵士たちの悲鳴と怒声が、狭い洞窟内に響き渡る。
「大丈夫ですか、リツさん」
「アズサ」
いつのまにかアズサが、猫の姿で私の足元に来ていた。
「…大丈夫」
アズサにはそう言いながらも、私は産まれて始めて見たドラゴンという最強のモンスターに、どうやって戦えば良いのかまったくわからず、多少動揺していた。
近衛騎士になる前は、あらゆる場所でいろんなモンスターと戦ったこともある私だったけれど。今までとはまるで桁が違う。

「ユイさんや、サワコさんが一旦洞窟の外へ出ようって」
「…ああ」
しかしここから隙を見て外に出るだけでも一苦労だ。
そう思いながらも私は「先に行ってくれ」とアズサに言うと岩陰からまた、ドラゴンの様子を見詰める。アズサは一瞬躊躇したようだったが、窪みからそっと出るとそのまま走って行った。

神話の中ではなく、今私たち討伐軍の目の前に存在するドラゴン。
先程まで炎の息を何度も私たちに吹き付けていたが、今はなぜか急に大人しくなり、その長い首を揺ら揺らと揺らしながらも、攻撃はしかけてこなかった。
ドラゴンの様子を伺いながら、私は慎重に岩陰から出て移動する。
「大丈夫ですか、隊長」
私はすぐ近くに倒れていた、討伐軍の隊長に声を掛ける。
「うう、た、助けて…」
彼は腕を押さえながら蹲っていた。私は肩を貸して隊長を起こすと、二人で洞窟を抜け出そうと歩き出した。
幸いドラゴンは攻撃してくることもなく、私たちはなんとか逃げ切ることができた。
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