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追憶の紋章 【4】 晩夏の異変 -06-

Category : 追憶の紋章【4】
「リッちゃん。今回の討伐軍の騎士の選出は…」
私は少々憤りを覚えていた。今回の騎士の選抜には、かなり不公平な一面があったから。
思わず私は、その事実を彼女に伝えようとした。
「…それは私にとってはどうでもいい事だよ、ムギ」
そんなことは問題ではない、とばかりにリッちゃんは軽く手を振った。
私が言うまでもなく、やはり彼女も気付いていたようだ。
しかしそんな事は、今の彼女にとっては、確かにどうでもいいことなのかもしれない。
それよりも結成された討伐軍に向かって、王が高々と宣言した内容が何よりも重要だった。

- ドラゴンを倒したものには望みの恩賞を与える。

その言葉だけが、今の彼女には必要なのだろう。

「貴女にもしものことがあったら…」
リッちゃんの願いを聞いた私は、伯爵と共に彼女が討伐軍へ入れるよう強く推薦した。
それが本当に正しい事なのか、と私の胸に僅かな迷いと大きな後悔が広がりつつあった。
もちろん私や伯爵が推薦を拒否したとしても、振って湧いたチャンスを彼女がみすみす逃すような真似はけっしてしないだろうけど。
…それに今回の騎士達の陣容を見ていると、私や伯爵が言わずともリッちゃんは討伐軍の一人に選ばれていたに違いない。
それがわかってはいても、不安な気持がどうしても胸に湧き起こる。

「今更止められるものでもないけど…」
私がそう言うと、リッちゃんは無言のまま一度ゆっくりと頷いた。
「大丈夫、必ず無事に戻ってくるよ」
これまで何度も彼女から聞いた言葉。きっとそう言うだろうとわかっていた。
私は一つ大きく息を吐いた。とにかく私が今、ここに来た理由を彼女に伝えないといけない。
「…リッちゃん」
「ん?」
「リッちゃんは明日の朝まで自由な身ね」
「そうだけど…」
私は手を顎にあてて考え込むように、視線を宙にさまよわせる。
私はここに、彼女の見送りをするためだけに来た訳ではなかった。
スッと私は音もなく立ち上がる。
「ムギ?」
「行きましょう、リッちゃん」
急に立ち上がり手を引いてどこかに連れて行こうとする私を、彼女は不思議そうに見ている。
どこへ行くのかと問いかけられても、私は何も答えず彼女の腕を引っ張っていく。
私は彼女をまずは自室へと連れてきた。私の部屋の隣は、王女殿下の部屋だ。

少し驚いた顔をするリッちゃんを見ながら、私は内心では今夜は誤魔化す為に、かなり強引なやり方をしなくてはいけないかも…と思っていた。
でも仕方ない。今夜ばかりは二人を会わせておいてあげたかった。
何とかしましょう…と私は覚悟を決める。
「ムギ…」
「…ミオちゃん、ずっと泣いてるわ」
それが今夜強引な真似をしてでも、彼女を王女の私室に連れて行く最大の理由。
ミオちゃんは周囲に気付かれてはいけないからと、普段はそんな素振りはみせないようにしているけれど。
「でも夜一人の時はきっと泣いてるわ。大丈夫、ていつも私には言うけど」
「…」
少々危険だけど、今なら討伐軍の出発の準備で忙しいから、いろいろ誤魔化しが効く。

「行ってあげて」
私の自室のドアを開けて、彼女に行く様に促した。
「…ありがとう」
短く私に御礼を言うと、彼女は素早く外を出て一度周囲を見渡し後、隣の部屋のドアを開けて入っていった。
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