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追憶の紋章 【4】 晩夏の異変 -02-

Category : 追憶の紋章【4】
「…と、ところで国境沿いから何か、不穏な噂とか流れてない?」
照れを誤魔化すためか、少し強引に話題を変えるリッちゃん。
「今の所は別に。珍しくここ数年は穏やかな年だわ」
私の話に彼女は少し落胆したようで、溜息を一つ吐いた後「そっか」と力なく呟いた。
彼女が大きな手柄を立てる機会を以前から望んでいることは、私も気付いていた。
「焦らないで、リッちゃん」
私は彼女の焦りを抑えるように、リッちゃんの肩に静かに手を置く。

「わかってる。…ミオは元気にしてる?」
「ええ。今日は久しぶりに陛下と一緒に、弟君に会いに行かれているのは知ってるわよね」
「うん」
ミオちゃんとは母親違いの弟君。順調に行けば、将来の王となる王太子殿下。
王女はまだ幼い弟君をとても可愛がっており、王子の方でも姉であるミオちゃんを慕っているようだった。

「ミオちゃんが戻ってきた後で、こうして私がリッちゃんと二人だけでお茶していた事がばれたら、きっと怒られるか拗ねられるわね」
私はかなりの確率で当たりそうな予感がする、その場面を想像してしまい少し笑ってしまう。リッちゃんも私が言った場面が想像できたみたいで、少し苦笑している。
「ハハ。拗ねないように言っておいて」
「了解」
二人はしばらく会っていない。
二人の仲を心から応援している私としては、もっと頻繁に会わせてあげたいと思ってはいるのだけど。でもなかなか王女殿下の寝室に、近衛騎士といえども、おいそれと入れるわけにいかなかった。他の誰かに、王女の寝室に入る彼女を見られでもしたら大問題だ。

リッちゃんはミオちゃんとなかなか会えないことに、口では何も言わなくてもやはり少々落胆していて、それが僅かに表情に出ていた。
「ごめんなさいね。近いうちには…」
私はそんな様子の彼女を見ていると、少し申し訳のない気分になる。
「いやいや、とんでもない!…ムギにはとても感謝しているよ」
ムギがいなければミオと二人っきりで会うことなど、まだまだ先の話になっていたと思う。
彼女はそう言うと、私に向けて一度深く頭を下げた。だけどすぐに勢いよく顔をあげると、少し真剣な表情で私を見つめてきた。

「とにかく、もしなにか情報があったら教えて欲しいんだ」
伯爵にも同じようにお願いしているんだけど。
そう言うと彼女は私から視線を逸らし、何か考えているような表情になった。
りっちゃんとミオちゃんが同じ施設で姉妹のように育った、という事を知っているのは今の処私と、彼女が話す時に時折でてくるその「伯爵」だけだった。

彼女の後見人となり、近衛騎士になる前にもいろいろと、彼女が軍で出世する際に力を貸してくれた貴族。伯爵は以前の近衛騎士の騎士隊長だったことは、私も彼女から聞いていたし、少し自分でも調べておいた。
実績も人望も、調べれば調べる程騎士隊長になるにふさわしい、誠実な人物だという事も。
すでに引退した身であり、貴族でもある彼の人が、なぜここまで一平民であるリッちゃんの後押しをしてくれるのか。それはリッちゃんにもよくはわからないらしい。
伯爵自身はリッちゃんによく「退屈しのぎじゃ」とおっしゃっているようだけれど。
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