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スカイハイ【12】 - 10 -

Category : スカイハイ【12】
「えーい、ここまで来て悩むな、田井中律!」
頭の中で一人自問自答しながらも、ようやく意を決した私は玄関へ向かおうとしてハッと足を止める。門の向こうから人声を聞こえてきた。一人じゃなく複数だ。
玄関に向かっていた足が、急カーブさせて門から少し離れた場所で私は止まった。

会話の内容までは聞こえないが、なんとなく雰囲気で誰か客でも来ていたらしいことはわかった。
そういえば、玄関の横に車が止まっている。今来ているお客さんの車だろうか。
人の話す声を耳にしながら門の方を見ていると、スッと人が出てきた。

「あ…」
門から出てきたのは、今日必ず会ってもう一度話をしようと思っていた澪だった。
思わず声を掛けようとした私の声は、澪の後に出てきた見知らぬ男性の存在を確認して空中に消えていった。澪の隣で彼女に親しげに話す男。
スーツを着ている彼は学生、といった感じではなかった。
あれは…。

さらに私からは死角になっていて見えないが、澪と隣に居る男の後ろからも声が聞こえる。
男は私には見えない後ろに居る誰かと、楽しそうに話している。
なんとなくではあるが、多分澪の父親ではないかと私は思った。

思わぬ事態に声を掛けそこねた私は、しばらくぼんやりと目の前の光景を見つめた。
澪はスーツを着た男に勧められるままに、車に乗り込もうとしている途中、ハッと気づいたようにこちらを向いた。互いに重なりある視線。私も澪を一瞬ビクッと体を震わせた。
そのまましばらく私たちはお互い無言で見つめ合ったまま、その場に立ち尽くしていた。

本当なら今すぐにでも彼女に駆け寄って、話したい事や聞きたい事がたくさんあった。
もう一度話し合いたい。いや、その前にその男は一体…。
そう思っていても、私の足はピクリとも動いてくれなかったし、口の中はカラカラに渇いている。
そんな私を見る澪の表情は、悲しいような、困ったような、なんとも複雑な感じだった。

「澪さん、お友達?」
立ち尽くす澪の様子に、隣の男も気づいたようだ。
もちろん彼女の視線の先に居る私の存在にも気づいているからだろう、澪にそう聞いてきた。
「…いいんです」
澪はそれだけ言うと、私からスっと視線を外したかと思うとそのまま車の中に入っていった。
男は一瞬不思議そうな表情を浮かべたが、私に軽く頭を下げるとすぐに運転席の方に乗り込んだ。それからすぐにエンジン音が鳴り響いたかと思うと、澪を乗せた車はさっさとその場から走り去って行ってしまった。

視界から車が消えた後も、私はしばらく呆然とその場に立ち尽くしていた。

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ジャンル : 小説・文学

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