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スカイハイ【9】 - 05 -

Category : スカイハイ【9】
これは苦戦している就活に対する「逃げ」なんだろうか。
そう思うとひどくバツの悪い気分になる。
ただこれからのバンド活動の事を考えると、自然にその気持ちも薄らぎ消えていくようだった。

***

「…うん。へぇー、そうなんだ」
夜。寝る前に澪と短い時間だけど、たまに携帯で会話をする。
「あ、うん。…大丈夫、大丈夫。ちゃんと卒業出来るよー」
澪の両親の手前もあって毎日している、という訳ではないけど。
出来る限り話せる時は、互いに連絡を取りあう貴重な時間。
ああ、なんだかロミオとジュリエットの気分。

「え、就活…ね。ああ、実はあんまり良くなくて。ああ、うん。落ち込んでなんかいないよ。勝負はこれからですよ、澪しゃん」
あはは、とか笑いながらそんな事を言う私は、内心これが電話で良かったと思っていた。
澪が目の前に居たら、挙動不審な私の態度をおかしく思うだろう。
「うん、うん。あ、澪、そろそろ時間いいか?」
時計の針が、もうあと五分すれば本日の終わりを告げる場所に居た。

「…そうだな、もっと話していたいけど」
澪が電話を切るのを躊躇っている様子が、受話器の向こう側でありありとわかる。
そんな彼女の様子に、私の顔は段々とにやけてくるのを抑えられない。
澪しゃん、私も切りたくないよ!

「でもいつまでも話していたら…、うん、だからね」
それでも自分の感情を押し殺し、名残を惜しむ彼女にそう言った。
「また電話するから。好きだぞー、澪しゃん」
ちょい照れ隠しもあっておちゃらけた風にそう言うと、私は電話を切った。
一瞬部屋の中がシーンと静まり返る。

「ふー、やっぱ言えなかった…」
静まりかえったその部屋に、私の大きな溜息が妙に響いた。
さっき話の中で「就活」の話題が出た時、言おう言おうと思ったのにやっぱり言えなかった事に、私は内心ひどく落ち込んでいた。

澪にはあんな風に言ったものの、実は現在まったく就職活動していなかった。
かと言って別に遊び呆けている訳じゃない。
いや、澪の両親から見たら遊んでいるのと同じだと思われるかもしれないけど。

私はおもむろに、近くに置いてあったスティックを手に取った。
そのまま左右に積み上げた雑誌をドラムに見立てて、スティックを打ち付ける。
しばらく軽快にリズムを取って練習をした私は、手を止めるとまた一つ大きな溜息を吐いた。
ここ数日の事態の変化と成り行きに、私はすっかり翻弄されていた。

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テーマ : 二次創作:小説
ジャンル : 小説・文学

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