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スカイハイ【6】 - 07 -

Category : スカイハイ【6】
「ファンの女の子たちと仲良くなっても、りっちゃんはあんまし嬉しそうじゃなかったしね」
「…」
「今のりっちゃんはうじうじして、正直情けない感じだけどさ」
「…放っておいて下さい」
「でも今のりっちゃんの方が、本当の気持ちを素直に出してて嘘っぽくないよね」
そういうりっちゃんも、私は悪くないと思う。
唯はそう言いながら、ドアノブを回して扉を開いた。

「それじゃあね、りっちゃん。セッションの件、忘れないでね」
唯は一瞬顔をこちらに向け、ニコッと笑いながらそう言うと、ドアを開けて外へと出て行った。

***

「嘘っぽい、か…」
唯が帰ってから私はこれ以上酒を飲む気もすっかりなくなっていた。
軽い食事を取った後、適当に音楽を聞き流しながら私は親友の言葉を思い出していた。

唯は鈍いようで、でも時々鋭い。
確かに高校を卒業してから澪に再会するまでの私は、何となく全てにおいていい加減な気持ちだったのかもしれない。音楽はもちろん好きだし、ドラムもライブも大好き。
だから音楽系の専門学校に進学した。
でも学校なんて適当。まぁ、生活がありますからバイトしなくちゃいけませんが、それ以外の時間はバンドの練習やライブ以外は遊びほうけてた。

ライブが終わった後で先輩や仲間たちと飲んで騒いで、ちょっと気に入った子がいたら声を掛けて、意気投合したら…ま、そ、その先はともかくとして。
とにかくそんな気楽で、そして騒がしくも楽しい楽園の日々。
そんな風に能天気に日々を過ぎていた私だって、どこか頭の片隅ではわかってた。
いつかこの楽園を出ていかなければいけない事を。

音楽が好きなくせに、本当に音楽で食べていけるなんて、これっぽっちも思っていなかった。
これは今だけの事。若いから出来る、今だけ住む事が許される期限付きの楽園。
いつか現実に戻ったら、無難にどこかの会社に就職するだろう…そんな風に思っていた。
ま、前に澪にも言ったようにこの不況の昨今、ちゃんと就職できるかどうかは怪しいもんだけど。

結局大好きな音楽ですらその程度に思っているんだから、他の何に対しても私はどこか適当な気分だった。今しかない、今だけでもいい。ただ楽しければいい。
誘われればどこにでも飲みにでも遊びにでも行くし、これまたその場の雰囲気さえ良ければ、誰とでもつきあっちゃえ…みたいな気持ちで一杯だった。ほんと、おバカだったと思う。

でも澪と再会して、彼女と高校時代よりもずっと仲良くなって。

以前から彼女が好きな事もあったけど、彼女の頭が良くて根が真面目な処とか。
私と違って将来の事も、本人は謙遜するがそれなりにしっかりと考えている処とか。

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ジャンル : 小説・文学

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