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「Y・O・Iパロ」SS第二弾「異邦人」11

Category : 【2】異邦人
寒いバルコニーの上で私たちはしばらく抱き合っていた。

彼女の体温を全身で感じながら、私は以前長老と話した内容を頭の中で反芻していた。
あの時、長老にお前はどうだと問い返されたとき。
私は即座に信じている、とは言えなかった。
確かに律の話の中には、いくつかの疑問点があったからだ。

「私はこう見えても結構腕の良いパイロットなんだぜー」
以前、いつもの軽い口調でそう言った律の言葉を思い出す。
それは決して嘘ではないと思うけれど、いかに腕が良いからといって、彼女一人だけに宇宙での航行をさせるだろうか?この星の周囲には宇宙船の機器類を狂わせる磁気層がありかなり危険な宇域であることは、宇宙船乗りなら知らない者はいないはず。

ましてやこの宙域は、かなり広い範囲でこの星以外生物が居住する惑星はない。
つまりここらへんのルートを飛ぶ船は、基本この星に年に一、二度くるかどうかもしれない定期便だけだ。なのに彼女はどこへ行くつもりだったのか。
さらに彼女は現在磁気層の影響力が強くなっていたあの頃、それをどうやって乗り越えこの星に入ることが出来たのか?

「いや、エンジントラブルで爆発しちゃって」
屈託のない笑顔を見せながらそう言っていた彼女。
だが最初に私が見た、あの横倒れになっていた船の後部の壊れ方をみると、通常のエンジントラブルとは少し違う気がする。

あれは、あれは誰かに後ろからレーザー砲か何かで撃たれた後だ。
大学の研究室で一度見たことがあった。
もしそれが事実なら、彼女はこの惑星に入る前に誰かと交戦していた可能性がある。
…一体、誰と?

「澪」
そんな私の内心の葛藤を知らない彼女は、私の名前を優しく呼んだ後静かに顔を近づけてきた。
「律…」
私はそれに抗う事もなく、静かに目を閉じると程なく温かい感触が私の唇から伝わってくる。

さっきまでたくさんの疑惑で頭が一杯だったのに。
唇を触れあった瞬間、頭の中が一瞬で白くなったような気がした。
私を抱きしめる彼女の両手に、またほんの少し力が加えられるのを私は鈍くなった頭ではなく、体で理解していた。

ああ、申し訳ありません、長老。
貴方の忠告を忘れているわけではないんです。
私自身、心の奥では恐れにも似た疑惑が広がっているのに気付いています。

…でも。

でも何年もずっと誰かと寄り添う事もなく居た私の心の中に、彼女が今まで出会った誰よりも優しく触れてくれたんです。

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ジャンル : 小説・文学

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