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君の側にある旋律 【28】 嵐の前の静けさ(前編)-04-

Category : SS( 君の側にある旋律 【28】 )
「カメさんはここに住んでるの?」
梓はしゃがみ込んで、こちらを見つめるカメの丸いくりっとした目を見ながらそう聞いてみた。
もちろんカメは答えはしなかったものの、長い首をちょこんと右に倒した。
その仕草が何となく可愛いらしいと梓は思う。

「ここにちゃんと食べ物とかあるの?」
カメが何を食べているかは知らないけれど、カメのすぐ後ろにある大きな水たまり程度のそこには、もちろん魚なんかは一匹もいそうにない。
それにここはあまり日が入ってきている様子もない。
子供の頃近くの川でカメを何度か見たことがあるが、カメたちはいつも昼間は日光浴しているようなイメージが梓にはあった。

「迷いカメさんかな…」
何をどう迷ったかはわからないが、梓はそんな事を口にした。
とにかくここはカメにはあまりいい環境じゃないような気がする。
「あ、そうだ」
カメさん引っ越ししない?と梓は聞いてみる。
「学園の中に大きな池があるけど、そこにカメさんのお仲間さんたちが一杯いるよ」
あそこなら日当たりもいいし、何よりエサは学園の人がちゃんと与えてくれる。

「そっちへ行かない?よければ連れて行ってあげる」
喋れないカメさんに、我ながらなんだか変な感じだけど。
そう思いながら梓は手をカメの前に差し出した。
するとカメは梓の言わんとすることを理解したのか、ゆっくりと彼女の手に乗ってきた。
梓はカメを優しくそっと持ちあげると、守るように両手を胸の前へと持ってきた。

「よし、それじゃあすぐに行こう」
鞄を右手の脇で器用に持ちながら、梓は早足で歩き出す。
学園の中止部に向かって10分程歩いた先に、その池はあった。
梓がカメに言ったとおり、そこには複数のカメとたくさんの魚がのんびりと泳いでいた。

「ここならさみしくないよね、カメさん」
梓はそっと手の中に居るカメを、池の側に降ろした。
「じゃあね、カメさん」
また来るね、と言いながら梓は満足げに鞄を持ちなおすと、そのまま振りかえってカメに背を向けて、元来た道へと戻って行った。
カメは長い首を回して、丸い目を梓に向けていた。

梓が見えなくなってしばらくしてから、カメは周囲を見回すように首を伸ばしてを四方に振る。
今はどうやら周囲に誰も居ないことを確認した後、カメは先程音楽室へと続く階段でいちごに見せたように、すくと二歩足で立ち上がった。

「見つけたぜー」
梓が可愛いと思った、あの丸いくりっとした目をキラリと一つ光らせると、満足げにそう呟いた。
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テーマ : 二次創作:小説
ジャンル : 小説・文学

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