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君の側にある旋律 【28】 嵐の前の静けさ(前編)-01-

Category : SS( 君の側にある旋律 【28】 )
それは秋も深まった昼下がりのある日。

「ん…?」
音楽室へと上がる階段の下。
高等部一年A組に所属する若王子いちごは、僅かに目を細めた。

「カメ…か」
桜ケ丘学園高等部校舎内にある音楽室は、二階へと上がる階段の手すりに童話「うさぎと亀」をモチーフにしたそれぞれの動物の彫刻が置かれている。
なので彼女が階段を見ながらそう呟いたとしても、別段おかしいことではない。
だが彼女の視線は階段の手すりではなく、階段中央辺りを見つめていた。

「とうとう作り物の亀が、付喪神にでもなったか?」
付喪神(つくもがみ)とは、日本の民間信仰における観念の一つ。
長い年月を経て古くなったり、長く生きた依り代(道具や生き物や自然の物)に、神や霊魂などが宿ったものの総称である(by ウィキペディア)

半笑いを浮かべながらそう言ったいちごだが、もちろん本気で言っているわけではない。
第一亀の彫刻はちゃんといつもの場所に動かずに鎮座している。
それでも彼女がそういったのは、今目の前で亀に似た何かがえっちらおっちらと階段を昇っていたからだ。競争相手の兎はいないが、歩みを止めることなく進む亀らしきもの。

「おい」
いちごが声を掛けても、亀は必死に階段を攻略中だ。
「いい加減にしろ、お前がただの亀もどきと違うのはもうわかっているんだぞ」
しかし亀はいちごの言葉を理解しているのか、していないのか。
いまだ頂上目指して邁進中だ。

いちごはつい先程までいつものごとく、授業をさぼって屋上でのんびり昼寝を楽しんでいた。
だが学園を包む結界に何かが引っ掛かったのを感じ、面倒だと思いつつもそれを確かめるために、まだ眠気が残るだるい体に鞭打ってここに来たのだ。
「…亀もどきごときが、真祖の吸血鬼たるこの高貴な私を無視するとはなぁ」
ひたさら言葉の通り亀の歩みを続けるそれを、いちごは苦々しく見つめる。

亀からは邪気は感じられなかった。妖気も非常に薄い。
「ふん、これでは今の学園に居る未熟な結界師たちではこの気は読みとれまい」
冷笑を浮かべながら、いちごはそう呟いた。
それは現在の学園長が古くから学園に仕える年配の結界師たちを退職させ、組織の若返りを図った結果とも言えた。

…反対にこの「気」を感じられる結界師が居たとしたら、そいつはなかなかのものだが。

いちごはそう思いつつも、今の処ここには自分以外誰も居ないことはわかっていた。
「にしてもこいつ、上の音楽室にでも用があるのか?」
亀(もどきといちごは思っている)はひたすらえっちらおっちらと遅い歩みで階段を昇っていく。
何か一つくらい妖術みたいなものは使えないのか、こいつ。
そう思いながら、面倒くさげにいちごは亀を拾い上げようとした。
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