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月を見上げて -09-

Category : SS( 月を見上げて )
「そうだよ、梓ちゃん」
今度は廊下から不意に声を聞こえたかと思うと、すっと音もなく憂おばあさんが部屋に入ってきました。
「憂…おばあ様」
「私だってお姉ちゃんと同じ学年だったらいいなぁーていつも思ってたけど」
そう言ったおばあさんは、少しだけ悲しそうでした。

「ま、私らは私らでやるしかないでしょ」
声の主はそう言うと、縁側から部屋にあがってきました。
「…純」
「違うよ、梓。私は月の使者の一人」
「…」
「ほら、あっちで二人の使者も待ってくれてるよ」
姫に「純」と呼ばれた月の使者が庭の方を指さした先には、二人の女の子が立っていました。
一人は金髪の長い髪をしており、もう一人はおかっぱ頭に眼鏡をかけているようでした。
姫は目を見開いて二人を見ましたが、暗闇のせいか二人の顔がはっきりと見えません。

「さあ、帰ろう。月へ」
「梓ちゃんならまた戻ってこれるよ、ここへ」
そう言って月の使者の一人と、憂おばあさん…憂は手を前に出し、にこにこと笑いながら姫を見ていました。目の前に差し出された二つの手を見ながら、姫はどこか観念したようにふっと小さく息を一つ吐きました。

そう、これはやはり決定事項だったんだ。わかっていた。
わかっていたけど、誰よりも理解していたけれど悲しかった。
どうしようもないけれど、どうにかなって欲しい。そんな気持ちがあった。でも…。

「…うん」
私には新しい場所が待ってるんだから。
帰ろう、…ううん、前に向かって行くんだ、こっちから。
「さ、行こうか。純、憂。いいえ、月の使者さん」
そう言って立ち上がると、姫は二人の手を取りました。

「そうだね」
「そうね」
「それから二人とも、迎えに来てくれてありがとう」
梓がそう言うと、庭に居る二人は軽く頭を下げました。
「…お父様、お母様、唯お婆様、ムギ様」

しばしのお別れです。梓は月に行きます。

先ほどのお祭り騒ぎの喧騒が嘘のように静けさの中。
もう今は誰も居ない部屋の中で、ぽつりと姫はそう呟くと、足をそのまま暗い庭の方へと向けて歩き出したのでした。
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テーマ : 二次創作:小説
ジャンル : 小説・文学

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