スポンサーサイト

Category : スポンサー広告
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

先輩たちの事情【4】 - 02 -

Category : SS( 先輩たちの事情 【4】 )
「秋山」
雨を見ながら途方に暮れていた私を、後ろから呼ぶ声がして私は慌てて振り返った。
「あ…」
「どうしたんだ」
そう言って私に近づいてきたのは、さっきまでずっと想っていた人。
「あー、雨、降ってきたなあ」
彼は私の背中越しで外を見ながら、のんびりとした感じでそう言った。

「こりゃ、傘が無いと帰るの大変だな」
「…た、田井中君」
久々に会った彼を見た途端、私の心臓が勢いよく動き出すのを感じる。
「ん?あれ、なんだ傘、持ってねーのか?」
「ちょ、ちょ、ちょっと家に忘れてきたみたいで」
それでも内心の動揺を抑えて、何とか私はそう言った。

「へー。なんかちょっと驚きだな」
「な、何が?」
「秋山って、そういうのは用意周到に持ってきてそうなのに」
この間だって、俺は濡れ鼠になっちまったけど、お前はしっかり傘差してたじゃん。
そう言って少し笑う彼。
「いつもは携帯用を、持ち歩いているんだけど…」
「はは。ほら、やっぱりちゃんと用意してる」
「今日もちゃんと鞄の奥に入れおいたはずなんだけど」
何となく気恥ずかしくて、誤魔化すようにそう言ってしまう私。

「そうか、ならちょうどいいや。ほら、これ」
「あ…」
そう言って私に渡してくれたのは、この間私が彼に貸した傘だった。
「この間貸してくれたこれ、返そうと思って持ってきたんだけど。ちょうど良かった」
「あ、うん…」
なんてタイミングがいいんだろう。
私が傘を忘れた日の放課後に雨が降って。
そしてたまたま雨が降ったその日に、彼が私の傘を持って来ていたなんて。

「あ、ありがとう」
「いや、それは俺の台詞だよ」
「…」
この間「もういい、あげる」と言ったのにいいのかな。
そうも思ったけれど、ここで受け取らないという選択は私には出来なかった。
私はそれ以上何と言っていいかわからず、傘を握りながら口を閉じてしまう。
僅かに二人の間に沈黙が流れる中、すぐ側から聞こえる雨の音と、ここから少し離れた体育館から聞こえてくる運動部の掛け声が、妙に私の耳に響くような気がした。
関連記事

テーマ : 二次創作:小説
ジャンル : 小説・文学

Comment

非公開コメント

プロフィール

書き人知らず知らず

Author:書き人知らず知らず
ようこそお越しいただきました。
こちらはけいおん二次創作SSサイトです。

ジャンルは『けいおん!』律澪
律澪はジャスティス。
いい言葉ですね。

百合的要素を含みますので嫌いな方や都合の悪い方は見ないことをお勧めします。

当サイトはリンクフリーですのでリンクをしていただけると嬉しいです。相互リンクもよろしければ大希望です。

当サイトはまんがタイムきらら原作、アニメ「けいおん!」中心の非公式サイトです。
原作者様、出版会社様、制作会社様とは一切関係ありません。

最新記事
カテゴリ
月別アーカイブ
最新コメント
最新トラックバック
けいおん時計
リンク
ランキング

FC2Blog Ranking

RSSリンクの表示
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QR
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。