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先輩たちの事情【4】 - 01 -

Category : SS( 先輩たちの事情 【4】 )
「あ、雨、降ってる…」
下駄箱で靴を履き替え外に出ようとした私は、どんよりした空からぱらぱらと降り始めた雨を見て少し眉をひそめた。

今日は文芸部の活動もお休み。部活以外にも特に予定が無い日だった。
いつも一緒に帰る部の友人たちも、今日は用事があるとかで早々に学校を後にしている。
久しぶりに一人で帰る家路。まだ昼間だというのに薄暗い空。
それらが原因かどうはわからないけれど、私は何となく気分が落ち込んでいくような気がして、なかなか下駄箱から外へ出ようとしなかった。

部長と一緒に軽音部に行ってから、もう数日たっていた。
…軽音部の部室で田井中君が部長にはっきりと「協力はいらない」と宣言して以来、私は軽音部には一度も行っていない。
もちろん彼らからも何の連絡もなかった。当然と言えば当然だけど。

軽音部から「歌詞を書いて欲しい」とのお願いに、私は最初は無理だと思いながらも、最後は何とかなけなしの勇気を振り絞って承諾した。
それは自分の歌詞を気に入ってくれたのだから、という気持ちもあったけれど。
それ以上にここで承諾すれば、田井中君と…りっちゃんとまた話す機会が増えるだろうと打算的な気持ちもあったのも否定できなかった。

学祭が始まるまでの僅かな期間、私は彼と一緒に帰るようになった。
それは学校から家までの短い時間だったけれど、私はその時間がすごく楽しくて。
…そして嬉しかった。
いつまでも家に着かなければいいのに。
彼と一緒に帰る途中で、何度そう思ったことか。

でも学祭が終わった後は、もう一緒に帰る理由が無くなってしまった。
元々学祭の準備で部活が夜遅くまであるようになって、帰り道女の子一人では危ないだろうと彼が心配して一緒に帰ってくれていただけなのだから。
明るい内に帰れるようになった今は、彼が私についている必要もない。
でも私はまた彼と二人で話したかった。どうしても。

だから学祭後、琴吹君が私に声を掛けてくれたときは驚いたけれど嬉しかった。
彼との繋がりがまた出来るのでは…。
そう思うと生来の臆病さも、何とか跳ね除けることが出来たのに。
でも結果は私のそんな僅かな勇気など、大したことではなかったようだ。
結局私が軽音部の歌詞を書くことはなくなったみたい。

「はぁ…」
私は小さな溜め息を吐きながら、鞄から携帯用の傘を取り出そうとした。
「あれ?」
鞄の中をごそごそと手でさぐっても、入れておいたはずの傘が見当たらない。
「おかしいな、家に忘れてきたかな?」
そんなはずはないと思いながらも、鞄を隅々まで見ても見つからないのは事実。
「どうしよう、ママに持ってきてもらおうかな…」
でもママは今日は用事があって、今の時間外に出ているはずだ。
今朝それを聞いていた私は、さて、どうしようと考えた。
雨が止みそうならしばらく待っていてもいいのだけど、どうもそうはならなさそうだし…。
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ジャンル : 小説・文学

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