ロシアンチョコレート【後編】 -06-
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私は律がチョコを受け取るたびに、不安になったり悲しくなったりしてたのに。
「でも律は全然そんな風に思ってくれてないのかなあ…て、そう思ってたんだ」
それでいつもなんとなく腹が立ってたというか。
そう言って澪は少し笑った。
「み、澪」
「でも律も同じ気持ちだってわかって、今はすごく嬉しいよ」
「…当たり前だろ」
言わなくても、ある程度はわかってると思ってた。
でもそれは私の怠慢ってやつだね。
「中学二年のバレンタインで、澪は先輩と同級生あわせて三人の男から告白されてただろ」
「え。ああ、まあ。…知ってたんだ、律」
「当然」
中学入学当初の頃は、告白されるたびに私に「ついてきてー」とお願いしてきた澪だけど。
私と一緒に告白を断る練習などした成果が出たのか。
澪もこの頃には何とか一人で断れるようになっていた。
「澪は隠したつもりだったんだろうけど、私は後でそれ知ってすごく嫌な気分になった」
「…ご、ごめん」
「小学生の時だって」
「あ、も、もういいから。ごめん、律」
澪が困ったような顔をしながら、私の口に自分の手を当ててくる。
「とにかく、私だってそれなりに不安なんです」
私は澪の手から逃れながら、とりあえずそれだけは言っておかねばとばかりにそう言った。
「それなり?」
「すごく!…だよ」
うう、言ってて恥ずかしい。
「律、耳まで真っ赤だよ」
「誰のせいだよ!」
「あはは。ごめん、律」
「まあ、もういいけどさ」
「とにかくそう思ってくれてたんなら、私は嬉しいよ」
澪はそう言うと、後ろから私の頬に軽く唇を触れあわせた。
「み、澪!?」
いつもは人一倍恥ずかしがり屋な許婚の思いもよらぬ行動に、私は慌てて振り返った。
「バレンタインデー、キッス♪…なんてね」
おどけるように歌いながらそう言った澪の顔も、人の事言えないくらい真っ赤になっていた。
「あ、えーと。じゃ、じゃあ、私もお返しに…」
「え!?い、いい。し、しなくていいから!」
「まあまあ、澪しゃん。ちょっとだけ、ちょっとだけ」
そう言いながら、私はすぐ後ろにいた澪にぐいぐいと迫っていく。
ホワイトデーのお返しには一ヶ月も早いけど。そんなの大した事ないよね!
「でも律は全然そんな風に思ってくれてないのかなあ…て、そう思ってたんだ」
それでいつもなんとなく腹が立ってたというか。
そう言って澪は少し笑った。
「み、澪」
「でも律も同じ気持ちだってわかって、今はすごく嬉しいよ」
「…当たり前だろ」
言わなくても、ある程度はわかってると思ってた。
でもそれは私の怠慢ってやつだね。
「中学二年のバレンタインで、澪は先輩と同級生あわせて三人の男から告白されてただろ」
「え。ああ、まあ。…知ってたんだ、律」
「当然」
中学入学当初の頃は、告白されるたびに私に「ついてきてー」とお願いしてきた澪だけど。
私と一緒に告白を断る練習などした成果が出たのか。
澪もこの頃には何とか一人で断れるようになっていた。
「澪は隠したつもりだったんだろうけど、私は後でそれ知ってすごく嫌な気分になった」
「…ご、ごめん」
「小学生の時だって」
「あ、も、もういいから。ごめん、律」
澪が困ったような顔をしながら、私の口に自分の手を当ててくる。
「とにかく、私だってそれなりに不安なんです」
私は澪の手から逃れながら、とりあえずそれだけは言っておかねばとばかりにそう言った。
「それなり?」
「すごく!…だよ」
うう、言ってて恥ずかしい。
「律、耳まで真っ赤だよ」
「誰のせいだよ!」
「あはは。ごめん、律」
「まあ、もういいけどさ」
「とにかくそう思ってくれてたんなら、私は嬉しいよ」
澪はそう言うと、後ろから私の頬に軽く唇を触れあわせた。
「み、澪!?」
いつもは人一倍恥ずかしがり屋な許婚の思いもよらぬ行動に、私は慌てて振り返った。
「バレンタインデー、キッス♪…なんてね」
おどけるように歌いながらそう言った澪の顔も、人の事言えないくらい真っ赤になっていた。
「あ、えーと。じゃ、じゃあ、私もお返しに…」
「え!?い、いい。し、しなくていいから!」
「まあまあ、澪しゃん。ちょっとだけ、ちょっとだけ」
そう言いながら、私はすぐ後ろにいた澪にぐいぐいと迫っていく。
ホワイトデーのお返しには一ヶ月も早いけど。そんなの大した事ないよね!
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