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君の側にある旋律 【20】黒と白の世界の合間に (後編)-08-

Category : SS( 君の側にある旋律 【20】 )
律はもう一度お湯の中にその身をゆっくりと沈めながら、その件について考えてみる。
それが我が「主」の身にどう影響を及ぼすのかと。

けっして律は、あのふわふわと捉えどころのない唯を敵対視している訳ではない。
むしろ彼女のことは、結構気に入っているくらいなのだが。
…だが今となってはそんな事、どうでもいいような気さえする。
澪の側に戻ってきた今、律はそう思いなおしていた。

たとえ何者が澪の前に現れ、彼女に何か害意を加えようとしても。
必ず自分が彼女を守る。たとえこの身に代えてでも。
それさえ忘れなければ、何者も恐れる必要はない。
「私は秋山家の眷族。お嬢様の護衛係…」
いつだって律は、自分が置かれた立場を忘れたことなどなかった。

律はプレゼントを受け取ったときの、澪の顔を思い浮かべた。
ちょっと驚いた後、すぐに嬉しそうなった澪の表情。
いいんだ、澪。そんなの大した物じゃない。

澪が生まれて、私と出会ってくれたことに比べれば…。

湯気が立ちこもり、白い壁に囲まれたそこはますます白くなっていく。
静かな山の中で見た、闇の中で唯一存在を明らかにしていた白い雪。
今はそれとはまた別の、手にはとれぬ白い世界が律の周囲を囲んでいる。
…ここは闇のない、「表」の世界。
律は視線を上にあげ、たちこめる白い湯気を見ながら、満足そうな表情浮かべた。

だがすぐに律は何か思い出したように、ほんの一瞬翳りを帯びた笑みを浮かべる。
何か痛みに耐えるように、律は一度目を閉じるとじっと動かなかった。
瞳を閉じてしまえばそこは、先程までの白い世界から一転、何も見えない暗い闇の世界。
ここは私が居る「裏」の世界。
目をぎゅっと固く閉じ、律は体を少し丸めながらそんな風に思う。

…澪とはいつか必ず別れる日がくる。その日はけっして遠くはない。
だがその日が来るまで、私は必ず我が「主」を…澪を守る、と律は自分自身に誓う。
それは律の幼い頃からの、唯一つの神聖な誓い。
けっして変わらぬ誓いであり、想いでもあった。

「澪、誕生日おめでとう…」
律は変わらぬ誓いを胸に抱きながら、静かに目を開くと小さくそう呟いた。
律が再び目を開いたここは、湯気に囲まれた元の「白い世界」だった。

end
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テーマ : 二次創作:小説
ジャンル : 小説・文学

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