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君の側にある旋律 【19】黒と白の世界の合間に (中編)-06-

Category : SS( 君の側にある旋律 【19】 )
十五歳の誕生日を迎えた今日。
ムギを含むクラスの友人たち数名が、誕生パーティーを開いてくれたことが澪はとても嬉しく、そして感謝していた。パーティーの間、澪はずっと笑っていた。
いつもはあまり喜怒哀楽を表面だって出さない澪にしては、それはちょっと珍しいことだった。
とても嬉しくて、素敵な誕生日だった…そう、澪は思う。本当にそう思うのだけど。

「律の奴、やっぱり帰ってこなかったな…」
時計の長針と短針が、あともう数分もたてば交わり一つになり、今日という日が終わろうとする少し前に、澪はポツリとそう呟いた。その時の澪の表情は、今日一日ずっと笑ってばかりいたとは思えないくらい、悲しさに満ちているようだった。

澪は何となく窓を方を見てみた。
暗い闇の中に、ちらほらと白い物が混じっているのが目に映る。
「雪、まだ降ってるんだ…」
パーティーの途中で降ってきた雪に、澪を含む部屋に居た皆はちょっとテンションが上がったけれど。広いロビーに一人窓の外の雪を見る澪にはただただ寒そうで、なぜか心細い気持ちになっていく。

こんなに雪が降ってたら、帰ってこれないよな…。
一週間程前から寮を出ている自分の幼馴染が、今日になっても戻ってこない。
そのことに澪は腹立だしい気持ちと、それ以上に悲しい気持ちがこみあげてくる。
パーティーの間も時折その気持ちが湧き上がってはいたけれど、なんとか澪はそれ押し隠してただ笑った。本当に楽しかったから心から笑えたけれど。
でも、律がいればもっと…。

「いいもん、別に律なんかいなくてもさ」
不意に澪はちょっぴり吐き出すようにそう呟いた。
「皆にお祝いしてもらえて、すっごく嬉しかったし。そ、それにあいつ、どうせ私の誕生日の事なんて忘れてるんだろうし」
バイトだかお手伝いだかなんだか知らないけど、ほいほい行っちゃってさ。
自分の誕生日が間近に迫ったこの時期に、あっさりと行ってしまった律に、澪は本当は内心ちょっと不満だった。…いや、嘘。本当はすごく不満だ。
澪は内心でそう呟いてしまう。
今回ばかりは断って欲しかった…というのが澪の本音だった。

「ふう、まあいいけど」
どうせあいつ学校サボれてラッキーくらいに思って、あっちで暢気にやってるんじゃないかな。
帰ってきたら休んでた分、みっちり勉強させなきゃな。
澪はうんうんと顔を頷かせながらそう思っていると、足元で冷たい風が通り過ぎて行った。
「寒…」
いくら寮の中とはいえ、こんな処にいつまでボウと立っていたら風邪を引いてしまう。
僅かに体を震わせた澪はそう思い、そろそろ部屋に戻ろうと体を翻した。

「律のバーカ。もう雪に埋もれちゃえ」
何となく一つそんな悪態を吐いたあと、澪は足早に歩き出した。
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テーマ : 二次創作:小説
ジャンル : 小説・文学

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