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追憶の紋章 【Last】 追憶の紋章 -14-

Category : 追憶の紋章【Last】
「おっと、焚火は消してしまわないとな」
アズサを連れて家に帰ろうとした時、私はふと目の前の焚火に気付いた。
あらかじめバケツに組んできていた水を火にかけようとする前に、私はポケットに隠しておいた白いハンカチを思い出した。

「リツー」
「あー、すぐ行く」
アズサと共に少し先を歩くミオにそう声を掛けながら、私はすばやくポケットからハンカチを取り出して、焚火に中に落した。
白いハンカチはみるみる内に黒く焦げて、炎の中に消えていった。
「…ごめんなさい」
せっかくプレゼントしてくれた公爵の令嬢には申し訳なかったけれど。

私はもう過去を思い出すつもりはなかった。

近衛騎士でもなければ、ドラゴンを倒した英雄でもない。
もちろんミオも、一国のお姫様とは違う。
今は平凡なパン屋の二人。ただのリツと、ただのミオ。いや…。
「今、行くよー」
考えながらも、少し前を歩く二人に声を掛ける。

私にとって、ミオは只のミオじゃない。私の愛する、唯一人の人だ。
願わくは彼女にとっても、私が「唯のリツ」ではありませんように…。

火の始末をした私は、少し小走りになって二人の後を追う。
紅に染まる地面に、二人と一匹の猫の影が大きく伸びていた。
「遅いぞ」
「悪い、悪い」
口ではそう文句を言いながらも、ミオはそっと私の手に自分の手を重ねた。
「帰ろ、リツ」
ミオはそう言って、私の手に軽く触れる。

恥ずかしがり屋なミオにしては、それは珍しい行動だった。
ミオのすぐ側には、アズサも居るというのに。
しかし私はそんな思いは少しも出さず、彼女の手を取りギュッと握り締めた。

…これからもずっと、こうやって彼女の手を握って生きていきたい。

けっして過去は忘れはしないけれど、過去に捕われる事もない。
ただ今は、彼女と共に未来だけを見て生きて行きたい。

「うん、帰ろうミオ。私たちの家に」
ミオの肩に居るアズサの頭を軽く撫でながら、私は心からそう願っていた。

end
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テーマ : 二次創作:小説
ジャンル : 小説・文学

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