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いいなづけ 第十六作目 - あとがき -

Category : SS( いいなづけ 【16-Ⅰ】 )
てなわけで律ちゃんの苦悩はⅡに続きます。

いやー、このお話はけっこう難産でした。
書き上げることができて今はホッとしてます。(ー。ー)フゥ
律ちゃんの心情を丁寧に書こうとして文章に悩み…そしてやっぱり
長くなったので二部に分けましたー。

Ⅱは一応書けてますので、また近々UPします。ではー。

いいなづけ 受験生の葛藤 田井中律の場合-Ⅰ」読んで頂き
ありがとうございました。
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テーマ : 二次創作:小説
ジャンル : 小説・文学

いいなづけ -09- 受験生の葛藤 田井中律の場合-Ⅰ

Category : SS( いいなづけ 【16-Ⅰ】 )
放課後。今日も軽音部の皆と一緒に勉強する予定だったのが「今日は用事があるので先に帰る」との短いメールが来たかと思うと、澪はHR終了後すぐに教室を出てそのまま帰ってしまった。唯やムギにも同様のメールを送っていたようだ。
「澪ちゃん、今日何か用事が入ったの?」
唯にそう聞かれても私は答えられなかったが、内心では今朝の話がやっぱり納得いかなくてまだ拗ねてるのかなあ…と思っていた。
今日は和もおらず唯とムギ、私の三人で少しだけお茶を飲んで休憩した後に一緒に勉強していたが、三人だけだとやはりなんか落ち着かない感じがして今日は早々に切り上げ家に帰ることにした。
学校から家までの帰り道。
私は以前部室で皆と大学の話になった時のことを思い出していた。

「あはは。じゃあ、私もムギと同じ大学受けてみようかっなー」
梓を入れた五人で進路の話をしていたとき、ムギがN女子大を受けると言うと唯もムギと同じ所を受けると言い出した。
それに便乗するように私もつい口に出してしまったのだけど、もちろんそれは冗談で。もしくは滑り止めに受けてみようかな、と思っていたくらい。

皆で同じ大学だったらいいのにねえ。

能天気に唯がそう言うのを私は何となく聞きながらも、心の中では「それもいいなあ」と思っていた。皆して同じ大学ならHTTのバンド活動もしやすいだろうし。
大学に行ってもバンド活動を止める気なんてさらさらなかった私は(なんせ夢は武道館ですから)そんな風に考えたりもした。けれどあくまでそれは想像、希望の範囲だ。
夏休みに「同じ大学に行きたい」と澪に言ってしまった私としてはそうもいかない。まあ、澪と同じ大学に受かるかどうかはともかく。
だからそんな深い意味で言った訳ではけっしてなかった。

だけど部室で皆とそんな話をしてからしばらくして、澪が国立の推薦を辞退してN女子大を受けると言った。理由は「皆と同じ大学に行きたいから」。
つい澪のその言葉に皆で合格したらムギや唯、私と澪全員同じ大学に行けると思い私は正直嬉しくなって浮かれてしまった。そのせいかその時は澪が推薦を辞退した事に深く考えもしなかった。しかし改めて先生や和に言われてみると確かにそれはもったいない話だった。

N女子大だって名門大だし悪いとは思わないけど、澪なら推薦で確実にさらにレベルの高い大学に行けたのに。それも一般の試験を受けずに。
澪は二年生の頃から夏期講習に行ったりと頑張っていたのは和の言う通りだ。
澪が辞退した後、もう一度ちゃんと本当にいいのか聞くべきだったかな、と今更ながらに私はそう思ったがもう後の祭りだ。それに。
本音を言えば…今となっては認めるのが少しばかり辛いけど。澪が推薦を辞退すると言った時。私は情けなくも本当はホッとしていたのだ。

女子大の方が受験する科目もずっと減るし、レベルも少し下がる。というか頑張れば今の私でも受かるかもしれない…瞬間そう思った。
正直澪が推薦で行く予定だった大学に受かる自信が私にはなかったのだ。
夏休みに頑張って勉強して、何度か模試を受けてみたけど。その大学に受かるにはかなり難しいものがあったから。
もちろん澪には「頑張るから大丈夫」と言って弱気になっていた部分を隠してはいたけど。

自分の事で精一杯だった私はそのときは考えもしなかった。
澪がもしかして私に合わせるために、「わざと」推薦を辞退したのではないかと。
もちろんムギや唯たちと軽音部の皆と同じ大学に行きたいと言うのは嘘ではないだろうけど。
「いや、でもさすがにそれはないと思うけどなあ…」
口ではそう否定したものの、なんとなく私は考えこんでしまう。
でももし澪が。あの時冗談交じりで「じゃあ、私もムギと同じ大学に」なんて私が言ったことを真に受けてそう決断したとしたら?私が実は澪が推薦で行く大学に受かる自信がなくて、不安になっていたことに澪が気づいていたとしたら?
「うーん…」
考え悩みつつも、私は今一つどちらとも確信が持てなかった。

それにしてもあの時の私は少し浮かれ気味だった。
皆で同じ大学なのも嬉しいし、前よりは何となく受かりそうな目処がたったこともあった。
そのせいか能天気に澪しゃんに教えてもらおーなんて気軽な気持ちになってしまった。
バカだ。今考えると本当にバカだった。
おバカな私は澪の成績が落ちるなんて思いもしなかったのだ。

「はあ…。なんか落ち込むな」
いつもの帰り道を歩きながら何となくため息をついてしまった。今の私はこの間から纏わりついて離れないネガティブモード全開中だ。それはもうずっと前から考えていたこと。

私が澪の『許婚』なんかしてていいのかって。

いつも心の片隅でそれが引っ掛かってた。
美人で頭が良くて優しくて。
私より背が高くて胸は…置いとくとして、本人はいつも体重を気にしてるけどスタイルだって抜群で。年間平均三回以上は男女問わずに告白されて。(澪がもしうまく私に隠せていたらそれ以上かも?)
実は運動神経だっていいし、ベースはもちろん上手だし歌だってうまい。
ちょっと背中は痒くなるが、歌詞書けるってのもやっぱ才能だよなー。ファンクラブもあるし…。
なんか私居ない方が澪は本当の実力?みたいなのが持っと発揮できたかも。
大学だって私が余計な事言わなければ、もっとレベルの高い処に楽に行けたかもしれない。

「…いかん、考え出したらますます落ち込むな」
取り留めのない事が私の頭の中にポンポンと浮かんでくる。
私は久々にドーンと落ち込んだ気分になって、いつもの帰り道を足取り重く歩いていた…。


To be continued…

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いいなづけ -08- 受験生の葛藤 田井中律の場合-Ⅰ

Category : SS( いいなづけ 【16-Ⅰ】 )
遊園地でデートするカップルの、いわゆる定番イベント。
夕暮れ迫る少し前がポイントだよね、なんて思いながらちょっぴり恥ずかしい思い出がある観覧車に私達は乗り込んだ。

少しずつ上がっていくゴンドラから見える夕焼けに沈む街。子供の頃から何度か見た景色。
…変わらない私たちの街
「…綺麗」
「うん、綺麗だな…」
景色に見入っていた澪の口から零れ落ちる言葉は以前と変わらない。
それは数年たっても変わらずに居てくれる美しい情景。
私も澪と同じ言葉を口に出した。でも私が言ったのは夕暮れに沈む街の風景にではなかった。私が綺麗だと言った対象は、その変わらぬ美しい風景に心奪われじっと外を見ている澪のことだ。私の腕の中で夕日に照らされ微笑んでいる澪。

そんな私の『許婚』は本当に綺麗だ。

あの時、私は心からそう思っていた。
外の景色は綺麗だったけど、それは数年前と変わらない美しさだ。でも澪は…数年前よりずっと綺麗になっている。

この遊園地の観覧車に乗るたびに。頂上に着くたびに。
当たり前だけど前に乗った時よりも大人になってますます魅力的になっていく彼女の姿にいつだって私は見入ってしまう。小学生の時も、中学生の時も。私にはもったいないくらい、誰よりも綺麗な私の…『許婚』。
すぐ隣で街を微笑みながら見ていた澪の横で、いつも私は澪の姿を通して景色を眺めていた。高校生になった今も前と同じように、いやそれ以上に澪の横顔から目を離せない。
人一番人見知りで怖がりで、泣きながらいつも私の後ろに隠れていた…そんな彼女も今は随分強くなって一人で何でも出来るようになって。
そしてどんどん綺麗になって、たくさんの人から告白されたりする澪。

不意に私の中でいつも心のどこかで引っ掛かって離れないネガティブが感情が、心の奥底から少しずつ湧き起るのを感じていた。
先生や和との会話が心に残っているからだろうか、…なんだか今回は結構それが深い。
決して二人はそんな深い意味で言った訳じゃあない事はわかっている。どちらかと言えば私達の仲をちょっと冷やかし気味に言っただけなんだろう。
なのに。

…それにしても観覧車の中での己の行動に今更ながら反省してるわけで。
今朝と澪と話していた時と同様、授業中についその事を思い出してしまった私は、何となく落ち着かない気分になって意味もなく教科書で顔を覆い隠した。
いくら乗る前に「楽しみー」なんて能天気なこと言ってた私でも。
最初はあんな事するつもりなんて全然なかった。まあ、ちょっと軽くキスするくらいはいいよなーってだけだったのに。僅かな期間でどんどん綺麗に変わっていく彼女に、私の頭の奥のどこかで激しい警告の音が鳴ったような気がした。
先生の冗談交じりの注意、和の苦笑交じりの些細な話。澪が推薦を辞退したこと。
この間の澪の模試の結果…。
僅かに揺れるゴンドラの中に居た私の目の奥のどこかでチカと鈍い光が放ったかと思うと一気に思い出すつい最近の出来事。
あの時なぜか私はひどく切羽詰まった気になった。
澪をこの狭いゴンドラの中に、いや、私の中に閉じ込めておきたい。

日々美しく変わっていく彼女の隣に居る権利を誰からも奪われないように!

「…澪」
私に名前を呼ばれて後ろを振り返った澪の頬は少し紅くなっていた。
なぜ今名前を呼ばれたのか、もうわかっているといった顔だった。
でも彼女は本当の処はわかっていなかった。
私の内心が今はわけのわからない感情に支配され、制御不可能な状態になっていたことに。

***

…つい昨日の観覧車の中でした自分の行動を思い出して、教科書で顔を隠しながら私は自嘲気味に小さく苦笑した。
結局今朝は部室で澪と話をしている途中で予鈴が鳴って話は中断したけれど、私は澪に「とにかく受験が終わるまでは会わないようにしよう」ともう一度念を押しておいた。
それに澪が納得しているかどうかを確認する時間は残念ながら無かった。
澪がどう思っているかはわからないが、私は澪にこれ以上迷惑をかけないと決めたことだしそれは押し通すつもりだった。

それにしてもついついあんな処で妙な気出しちゃって。澪が泣いちゃうのも無理ないよなあ。
我ながら何考えてたんだか。でもやっぱりあの時はどうしようもなかったわけで。と、すると今後もちょっと心配な訳でして。何が心配かというと、つまり…自分の理性とか、ねえ。
受験生としてはやっぱマズイかなあ、と思うわけで。
さすがにこれはちょっと澪には言えないけれど、今は私が澪と二人きりになるのがちょっと怖かった。我ながら非常にまずい気がしてしゃーない。
受験が終わるまでは、その、なんていうかストイックにですね…。
「…じゃあ、田井中さん。次のページを読んで」
「へ?」
次のページ?
「田井中さん?」
先生がもう一度私の名前を呼ぶ。
えーと、今、どこのページ?まずい。ちょっと聞いてなかったよ。
焦っている私を見て先生がちょっと怒ったような顔した後「ちゃんと聞いていなさい」と言ってどこのページか教えてくれた。
私は立ち上がって英文をたとたどしくも読み上げた。

「はい、そこまででいいわ」
先生の声に私はホッとして席に座った。
ふー、まずいまずい。これじゃあ澪に「大丈夫」なんて言っても説得力ないよ。
一番前の席に座る私からは当然だが澪の様子は見えない。でも今は何となく見たくないな、なんて思いながら私は残り時間授業に集中するように努めた。

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いいなづけ -07- 受験生の葛藤 田井中律の場合-Ⅰ

Category : SS( いいなづけ 【16-Ⅰ】 )
今になって先生や和が言った言葉が私の胸に重くのしかかる。

- 出来た嫁の足引っ張るような真似はするなよ。
- でもあんまり澪に迷惑かけちゃ駄目よ。

…そんなつもりじゃなかった。でも結果的にはやっぱり澪に迷惑をかけていたんだ。

模試が終わった後、澪の家で一緒に勉強していたとき。
澪がすぐ側に置いていたグラスをうっかり倒してしまい、少しだけ残っていたジュースがテーブルに零れてしまった。慌てている澪に変わって私はテーブルの上に置いてあった数冊のノートを取りあげ、適当にそこらへんに置いた。
零れた量はそれほど多くなかったのでそれ程被害なく、澪が急いで布巾を持ってきてテーブルを拭いてそれはそれで収まったのだけど。
家に帰ってからノートを整理しているとその内の一つが澪のノートだった。
ノートを手に持って「ああ、間違えて持ってきちゃったかー」と思っていると中からヒラリと一枚の小さな紙が落ちて。なんの気なしに拾ったその紙に書かれた内容を見て私は驚いた。

…澪の模試の結果を見るまで気づかなかった、いや気づかないフリしてたんだ。
澪は頭がいいから私の面倒を見ていても別に問題なんてないだろう、そう甘えていた。
「澪だって受験勉強大変なのにごめんな。ちょっと最近は澪に甘えてたと思うんだ、私」
遊園地の中では何となく言えなかったけど。正直真面目に反省中なんですよ、澪しゃん。
私は心の中でなぜか唯の肩に手を置いて反省している自分の姿を思い浮かべた。
…どうでもいいがなぜ、唯なんだろう?
「律、そんなことは…」
「あるよ」
ないよ、と澪が少し慌てたようにそう言おうとしたのだろうけど、先に私がその言葉を封じこめるように断定する。
澪に気づかれないように彼女の部屋にさり気なくノートを返した後。
私は本当に反省し、そして決意した。これからは一人で勉強しようと。

「な、だから澪。もう一度言うけど澪と一緒に勉強するのが嫌とかじゃないし、ましてや会いたくないから言ってるとか、そんな事はこれっぽっちも思ってないぞ。本当言えば私だって澪と二人で会える時間が無くなるのは嫌だよ。けど…」

- とにかく澪なら口ではなんだかんだいっても、結局律と同じ大学受けちゃうわけで。

澪に納得してもらうために私がやや早口に話していると、不意に和との会話が思い出された。それは事実なんだろうか。
もちろん皆と同じ大学に行きたいからというのも、澪が推薦を断った理由の一つに違いないと思う。でももし私が澪に「推薦断るなんてもったいない。私も同じ大学を受けるから推薦受けなよ」と言っていたら澪はN女子大を選択しなかったのだろうか?

「けど、何?」
話の途中で少し考えてしまい口を閉ざした私に澪がじれったそうに聞いてきた。
「…あ、だから、そのつまり頑張るから。ちゃんと勉強するぞ、あったしー」
「…だったら。一緒には勉強しないとしても、時々息抜きにどっちかの家に行ったりするくらいはいいんじゃないか?」
澪はまだ納得していない、といった感じでまた遊園地に居た時のように少しだけ子供みたいに拗ねた表情を作る。
「いやいやいや。そのー、澪に会うとつい落ち着いてしまうというか、そのままだらだらしちゃって。ほら、帰りたくないなあーって気がして、勉強する気が無くなったりするかもだし…ね」
そんな澪の態度に、私は遊園地のときと同じように「可愛いなー」と内心ちょっぴり悶えつつニヤけそうになる表情を必死に引き締め、なんとかもっともらしい理由をいくつか挙げた。

そうなのだ。一緒に勉強しないのはいいとしても、何も受験まで学校以外でまったく会わないようにする必要はないじゃないかと言われるだろうと予想はしていた。
しかしできれば受験が終わるまでは、私は澪になるべく会わないようにした方がいいと思っていたのだ。それはさっき言ったようにこれまでちょっと澪に甘えてた事の反省以外にも、別に理由があるからなのだけど。
その理由が何なのかは澪に言う訳にはいかなかった。それはもう絶対に。

私は内心の焦りを隠しながら誤魔化すようにヘラヘラと笑った。
そんな私の態度をどこか不審そうに見ている澪から目を逸らしつつ、私は昨日の遊園地で観覧車に乗った時のことを思い返していた…。

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いいなづけ -06- 受験生の葛藤 田井中律の場合-Ⅰ

Category : SS( いいなづけ 【16-Ⅰ】 )
「ハハ。まったくその通りだよなあー。だからさ、澪。明日からはもう起こしにきてくれなくていいから」
「…律」
澪が少し驚いたように雑誌から視線を私の方へ向ける。
「昨日言ったろ、これからはちゃんとやるからさ。澪は私に構わずまず第一に自分の事を考えればいいんだよ」
私は少しだけ真面目な表情を作ってそう言った。
「ちゃんと起きるから余裕持って一緒に登校しような。なんせ受験までしばらくは学校の行き帰りくらいしか澪とゆっくり話す時間ないと思うと貴重な時間だよ」
「…」
遊園地でも澪に言ったことだけど、澪とまったく会わないわけじゃない。学校だってあるんだしそんな事は物理的に不可能なわけで。
ただ二人きりの時間は受験まで控えるという意味を、澪しゃんはご理解頂けているだろうか。また「ヤダ」と言われたらどうしよう。そう言われたら困るけど。
でも正直遊園地で「それヤダ」と澪が言って少し拗ねたような顔をしたのを見た時は、内心実は嬉しくて顔がニヤけそうになるのを堪えるのに大変だったんだけどね。

しばらく澪はまた無言になっていた。その顔はちょっと暗い。
ああ、澪。誤解しないで欲しい。
「…澪。遊園地でも言ったけど澪と一緒に勉強するのが嫌になったとかそんなんじゃ全然ないから。それ絶対ありえないから」
その点だけは強調しておかないと。
「私は、…私は澪の足引っ張るような真似をしたくないんだよ」
これが正直な気持ちだった。
「律…」
澪の表情がちょっとだけ驚いた後、少し心配そうに私を見た。
そんな澪の様子を見ながら私は先生と話したときの事とは別にもう一つ、和と交わした会話のことも思い出していた…。

学年主任の先生から微妙な受験への激励を頂いた後、少し考えながら廊下を歩いている途中で和に会い二人して音楽室に向かった。
今日は軽音部+和の五人で一緒に部室で勉強する予定だったからだ。部室に行く途中話題はなんとなく大学の話になった。
「和はK大だっけ。すげー」
「何言ってるの。それより律は大丈夫なの?」
「へへー、まあなんとかなるって」
「…唯と同じような答えねえ、心配だわ」
和はやれやれといった感じで少し苦笑いしていた。
「まあ、律には澪が居るし大丈夫ね」

でもあんまり澪に迷惑かけちゃ駄目よ。

急に少し真面目な顔をして和がそう言うと、私はまた職員室に居た時と同じように心臓がドキリと一つ音を立てた。
「な、なんだよ、それー」
「ん?言ったとおりよ。澪も律や軽音部の皆と同じところ受けるんでしょ」
「え、ああ、N女子大だけど…」
なんだかさっきも同じような会話をしたような気がするな。
「まあ、皆が行くなら澪だって推薦断ってそっちを受けるでしょうね」
でも澪、二年生の頃から夏期講習行ったりして頑張ってたのにちょっともったいないわね。
「…」
「まあ、澪の場合は軽音部の皆とももちろんだけど、…ね」
そう言って和が少しばかりからかい気味の笑みを顔に浮かべながら、意味ありげな目で私を見ている。
「な、なんだよー、さっきの先生みたいに」
「先生?」
「い、いや。なんでもない」
和にはそう言って誤魔化したが、内心ではさっきの先生の声が妙にリアルに頭の中を反芻していた。

「とにかく澪なら口ではなんだかんだいっても、結局律と同じ大学受けちゃうわけで…」
「そ、そんなの関係ない!」
そ、そんな理由で澪が推薦断ったわけじゃあ…。
自分でもよくわからないままになぜか認めたくなくて思わず大きな声を上げてしまった。
「え、そ、そう…?」
「あ、わ、悪い」
和は私が急に大きな声を上げたので少し驚いたようだったが、私が誤魔化すように笑って謝るとそれ以上はさして気にしていないようだった。
「まあ、とにかく受験お互い頑張りましょ、律」
「あ、ああ。…そうだな。」
そんな会話をしながら二人して音楽室に行き、その後はいつも通り皆で勉強したのだけど。
私は何となく先生や、和の言葉が気になってその日は勉強に集中できなかった…。

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プロフィール

書き人知らず知らず

Author:書き人知らず知らず
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ジャンルは『けいおん!』律澪
律澪はジャスティス。
いい言葉ですね。

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