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短編 「選択肢は決まってる」

Category : 選択肢は決まってる
続き物の短編の前に、ちょっと先に書けたのをアップします。
律と澪、唯と梓は大学生で恋人同士の設定。
律と唯の能天気でお馬鹿なお話です。
読んでやるぜーという方は下記よりどうぞ。

- 選択肢は決まってる -


「ん?唯、なんだよ、このたくさんのソフト?」
「ああ、それ。ムギちゃんが貸してくれたの」
「へえ、これ全部。てかムギ、なんでこんなのまで持ってんだよ…」
大学生になって一人暮らしを始めた唯の家に遊びにきた私は、テーブルの上に置いてあるノートパソコンの隣で散らばって置いてある、いくつかのパソコンソフトの中から一つ明らかに他のゲームとちょっと違うパッケージのソフトを手に取った。
「これ、…ギャルゲーってやつじゃーねーの」
「どれ?」
ほら、と言ってコーヒーを入れて持ってきてくれた唯に手に持っているソフトを見せた。
「へー、そうなんだ。…ところでりっちゃん、ギャルゲーって何?」
「いや、私もよくは知らないんだが…」
ゲームの中に出てくる女の子キャラと、ゲームの中でいろいろと話をしたり、遊びに行ったりして、気に入った女の子のキャラと最終お付き合いできれば終了。
「てゆうものかなあ。いや、正直私もやったことないからわからないんだけど」
「へえ」
唯は私の説明で理解したかどうかはわからないが、パッケージに描かれた幾人かの女の子のイラストをまじまじと見つめている。

「でも、なんでムギからこんなにソフト借りてんだ?」
机の上のソフトはゲームだけでなく、他にもいろいろとあった。
唯の話ではパソコンを買ったばかりでまだ何をしていいかわからない、とムギに話すと最初はゲームとかで慣れるのもいいんじゃない?と言ったらしい。
「なんかムギちゃん、タイピングソフト…だっけ?それでキーボード打つのに慣れるように練習してんだって」

私もパソコン覚えようと思っていくつか買ってみたの。
いくつか役立ったのがあったから、唯ちゃんもしてみる?

ムギはニッコリ笑ってそう言ってくれたので、唯はもちろん迷うことなく「貸して」とお願いしたのだそうだ。確かにソフトの中には「北○の拳 激打SE タイピング奥義 」と書かれたタイピングの練習ソフトも入ってあった。あとパソコン初歩の講座とか、ネットのなんちゃらとか…。
ま、それはいい。だが、なぜそれらに混じってこんなギャルゲーまで入ってんだ?
これも何かの役に立ったのか、ムギ?
想像すると、なんだか怖いな。

「それ、おもしろいのかな?」
「さあ?さっきもいったけど私もやったことないし…」
澪と違って私は機械類は苦手だ。パソコンだってまだ持ってない。
しかしさすがに最近では大学のレポートとか出すのも、手書きよりパソコンでしてみようかと考えてはいた。
「ふーん、まあ、せっかくムギちゃんが貸してくれたんだし」
全部やってみないと申し訳ないよね。
唯が楽しそうに他のソフトも見ている。これ全部?
とりあえずこのギャルゲーはする必要はないと思うが…。
「うーん、でもこのギャルゲーだっけ?ここに描かれてる女の子キャラとお付き合いするゲームなんだね」
「まあ、そうだな」
「だったら、私この子がいい」
「おいおい、ゲームの中でもツインテール猫耳娘を選ぶのかよ」
「もちろん。だって可愛いじゃん」
「どう見ても梓だな、これ」
「じゃあ、りっちゃんが選ぶとしたら?」
「え、私はうーんと、この子かな」
「なんだ、りっちゃんだってやっぱり黒髪ロングの女の子選んでるじゃん」
「だって、綺麗だろー」
「どう見ても澪ちゃんでしょ、このキャラは」
そこまで話して、二人してケラケラ笑いだした。
お互い選択したキャラが、そのまんま現実にいる自分の大事なあの子だ。

しばらくして笑いを抑えると、私も唯もテーブルに座って一緒にコーヒーに飲む。
コーヒー片手に私はもう一度ゲームのパッケージを見てみる。
「…でも、これはゲームだよな」
私はパッケージを開き中に入った説明書を読んでみた。説明書の中にゲームの登場人物の女の子のキャラの名前や性格が細かく書かれていた。
「どしたの、りっちゃん?」
「だからー、ゲームぐらい全然タイプじゃない女の子を選んで見るのもアリだと思わないか、唯」
「え?」
私はちょっとこのゲームに興味を持って登場人物一人、一人の性格を詳しく読んでみた。
さっき唯が選んだツインテールに頭に猫耳つけているキャラは、ツンデレ真面目タイプと書かれていた。おお、絵の雰囲気だけでなく性格も梓そのままだ。
私は唯にそう言って説明書を見せた。

「あはは、だったらこっちの子の性格も澪ちゃんそっくりだ」
私が選んだ黒髪ロングのキャラは成績優秀、学園の人気者と書かれていた。キャラが全員制服で描かれているからこのゲームは学園モノだと思ってたけどやっぱりそうだ。
「ほんとだなー。で、他のキャラを見てみると…」
唯と二人で説明書を見ながら、一人一人のキャラの性格を読み、イラストに描かれている外見の雰囲気を見て、その中で最初に選んだ二人は除外して選んだ子のイラストの上に唯と一緒に指で示す。
「うーん、この子だな」
「だねー」
私らの周りにはあまり居ないタイプ。
見た目は茶色の巻き毛でギャル系、美人だけど無口でクラスにあまり友達もおらず、授業も結構さぼりがちのちょっぴり不良。でも根は優しくて頼れる姉御肌の所もあり、深くつきあっていくともっと意外な可愛らしい一面も見れる…。
「まあ、いないことはないけど」
「なんか、イラストの雰囲気だけ見ると姫ちゃんに似てるね~」
「ああ、立花さんね」
三年生のときクラスメイトだった、立花姫子さん。言われてみれば似てるかもしれないがこのどこか無表情な感じがいちごに似てるなあ、なんて私は思っていた。
「姫ちゃんはすごい美人だし、優しいよ~」
「ま、現実の立花さんはそうだとして。このゲームの中のこの子は、はてどうですやら?」
「この子も絶対優しいんだと思う」
「えー、どうかなー」
さて、ここまで話をすれば大体ご想像できると思うけれど。
…後はもうするしかない。
唯の家に来てから二時間後には、私たちはすっかりこのゲームにハマッてしまっていた。

「りっちゃん、りっちゃん!これどうする?どれ選ぶ?」
「まて、唯。ここでいきなり『1.部屋に行く』を選んだら警戒されるんじゃないか?」
「え~、でもやっとここまでお話できるようになったのに~」
「馬鹿、だからこそここは慎重に」
「だいぶ仲良くなったもん。大丈夫だよ」
「そうかな、うーん。…それにしてもなんかちょっとさっきから危ない雰囲気が漂うな」
まさか、これギャルゲーじゃなくて…。
「何が危ないの、りっちゃん?」
「いや、まあ、大丈夫かな」
「そうだよ、りっちゃん。ここは『1』を選ぼうよ」
「いや、そういう意味じゃ…。まあ、一応唯が主人公だからな、唯がそれでいいなら」
「なんかそう言われると悩む~」
結局その後数分悩んだ後、二人とも『1』を選ぶこと決定。
「バッドエンドになる覚悟はあるかー!」
「おー!」
はい、テンションが上がってきましたよー!
「よし、選択」
「おお、どうだー!」
画面の中で悪態つきつつ、顔を真っ赤にさせながら了承する女の子。
「やった~、当りだった~!」
「でかした、唯!」
選択正しく喜び勇んでそのままゲームを進めることさらに一時間。

「…えーと、り、りっちゃん?」
ちょっとだけ顔を紅くしながら私の方を向く唯。
「ムギの奴、絶対これわかってて渡したんだな…」
ええ。さっき感じたわずかな疑問が大当たりしそうな、ゲーム展開になっています。
「ギャルゲーじゃあなかったか…」
「え、じゃあ何?」
「…」
ちょっと口に出すのは遠慮したいです。
「とにかくどうしようかー、この三択で決まるんじゃあ…」
「そうだな。いやー、迷うなあ、あははは」
二人して頬を少し紅く染めながら悩む私たち。
これが健全なる成人男子諸君なら、開始から三時間かけた苦労が報われるまで後一歩と行ったところまで、二人してやって参りました!

「えーと、唯は何番がいい?」
「えー、いや、えーと、り、りっちゃんは?」
「え、私は何番でもいいよ。唯が選べよ」
唯が一応主人公としてゲーム進めてたわけだしー。
「私はアドバイザーだからさ」
「いやいや、りっちゃんのアドバイスのおかげでここまでこれたんだもの」
ここはりっちゃんに選択を譲るよ~。
「「あはははは」」
二人して渇いた笑いを上げる。もう外はすっかり夜です。まあ、時間については今日は唯の家に泊まるつもりで遊びに来たので何の問題はありませんが。
しばらくして気まずさを隠すためにあげた笑いを抑えると、二人して目を合わせる。
「まあ、なんだな」
「そうだね~」

ここまで来たらやっぱ『3』番じゃね?

「だよなー」
「ちょっと見てみたいしねえ」
僅かな葛藤の後、二人して意見があった。
「とりあえずその前にちょっと買ったジュース飲んでいいかー」
なーんか、喉渇いてきたしー。
「そうだね。あ、そうだ。お菓子もあけようっと」
来る前にコンビニで買ってきていたお菓子もジュースも忘れてゲームに夢中になっていた私たち。お楽しみの前にちょっと休憩。二人共多少冷静になって袋からジュースやら、お菓子の箱を開ける。

「よーし、準備はいいか、唯」
「OKだよ、りっちゃん」
じゃあ、『3』番を選択つーことで…。
「いっちゃってくれー、唯」
「ラジャー!」
パソコンのキーボードをブラインドタッチからは程遠い、一本指で数字の「3」のボタンを押そうとする唯。
「な、なんか緊張するね~、りっちゃん」
「そ、そうだな」

では、行きまー…。

「どこへ行くんですか?」
二人してノートパソコンを覆うようにして、画面を見つめていた私たちの後ろから、ふと高校時代からの可愛い後輩の、ちょっと不思議そうな声が聞こえてきた。

パタン。

瞬時にノートパソコンを二人して閉じる。

「唯先輩、律先輩。二人とも何見てるんですか?」
ドア近くに立っていた梓がこちらに近づいてくるのが足音でわかった。私は咄嗟に唯にアイコンタクト。私の意図が理解できたのか、唯の目がキラリと光る。
「あずにゃ~ん、来てたんだー!」
唯はテーブルから飛び出すように立ち上がり、梓に抱きついた。
よし、しばらくそのままだぞ、唯。
「わ、唯先輩」
「どうしたの~、あずにゃん。今日は来れないって言ってたのにー」
だから安心して無防備にこんなゲームしてたんだよー、とは思っていても唯は当たり前だが口に出しては言わなかった。
「ああ、用事がずいぶん早く終わったんで。その、ちょっとだけ…」
少し頬を染めながら話す梓。うんうん、少しでも唯に会いたくて来たんだね、梓。
「…電話したんですけど」
「そうなんだ~。いやー、りっちゃんと話してて気付かなかったあ」
健気な恋人に「あははー」とまたさっきとは違った渇いた笑いをあげる唯。
唯が梓を止めている間に、私はばれないようにゲームのケースを鞄の中に入れた。
「ういーす、梓。邪魔してるぜーい」
ノートパソコンの上に手をさりげなく置きながら、後輩に挨拶する私。
「こんばんわ、律先輩。でも邪魔してるぜー、て言われるなら私もですけど。ここ唯先輩の家ですから」
「いやいや、梓は唯の恋人だからな。一応彼女にご挨拶」
「な、何言ってるんですか」
照れ隠しに怒ったように言うその顔はまだ少し紅い。
「えへへー。そうだよ、あずにゃん。ここはあずにゃんの部屋でもあるよー」
合鍵渡してるでしょ~。
唯がニヤニヤとした顔しながら梓を見ている。

ははは。そうかそうか。だから今、こんなピンチなんだなあ、唯。

私は目の前のラブラブカップルを微笑ましく見つめながらも、梓がいつのまにか部屋に居た理由がわかって唯を軽く睨む。
「と、とにかくパソコンで何見てたんですか?」
「え?」
「ん?」
「どこか行くって行ってましたけど…」
「いや、別に…」
ちょっと画面向こうにあるピンク色の世界へ…とか言えない。
「そうだね。た、大したものは。あれ?な、何見てたっけ、りっちゃん?」
「ははは、何だったかな。だらだらとあれだ、あのネットサーフィンってやつ?それしてただけでさ」
「はあ」
私たちのぎこちない態度に梓は少し訝しそうだったけれど、深くは突っ込んでこなかった。

「とにかくあずにゃんも座って、座って」
「そうだぞ、そんな所に突っ立てないでさ」
「あ、ええ」
お菓子買って来ましたよ、と言いながら梓もテーブル近くに座る。
「私らもちょうど買ってきたお菓子食べようかって思ってところだよ、なあ、唯」
「うん。ちょうど良かった」
「そうですか。ところでお二人とも、もう夕食は食べたんですか?」
「あ、そういやまだだな」
「あ、そうだね」
ゲームに夢中になってたからなあ。
「あずにゃんは?」
「私は軽く食べちゃったんで…」
「うーん、よし。唯、お菓子よりまずご飯だ!今、冷蔵庫の中何がある?」
「えーと、何があったっかな?」
「ちょっと見せてくれよ」
梓に聞かれて私は急にお腹が減ってきた。唯も表情で「お腹減ったー」て顔してるので、私は立ち上がってキッチン横の冷蔵庫を開けさせてもらう。
「なんだよ、ろくなもんないなー」
唯も私の側に来て一緒になって冷蔵庫の残りの食材を見ていた。
「りっちゃんさっき買ってきたインスタントのー」
「ああ、そだっけ」
来る前にお菓子と一緒にカップラーメンとか買ったっけ、と思い出す。
あれは確かテーブルの横に。
またテーブルのある部屋に戻ってきた途端、二人してピシっと音を立てて固まった。
さっき私が閉じたノートパソコンがいつのまにか開いている。
そしてそのパソコンの前で、正座しながらピクリとも動かず画面を見つめる梓。
「あずにゃん…」
「あ、梓…」
そろりそろりと近づいて梓の後ろから画面を覗き込むと、そこはついさっきまで『3』のボタンを押そうとしていた画面だった。

ちなみ画面下に出ている選択肢以外にも、唯曰く「立花姫子」さんに似、私曰く「若王子いちご」の無表情がよく似ていると思われた女の子のキャラがベットの上に顔を真っ赤にして半裸で座っている画像が映っております。
1、2、3の選択肢の内容ついては…言いたくありません。
それにしても、なんで?閉じたのに?
「…ノートパソコンって使用中に電源切らずに閉じただけだと、元の画面がそのまま残っているんです」
「へえー」
そうなんだ。まあ、私パソコンこんなに触ったのだって学校で習った以外はほとんど無かったからなあ。ましてやノートも始めてだし…。
てか、なんで私の考えてることがわかったんだ、梓!
梓が私よりもパソコンに詳しいのはわかったけど…。

「そ、そうなんだー、し、知らなかったなあ~」
ものすごく上滑りした感じの言葉が唯の口から出た。
もちろん唯だってパソコン歴は私とどっこいどっこいみたいなものだ。
唯も私もそれ以上何も言う言葉が浮かばず、しばらく部屋が気まずい沈黙に包まれる。
「いや、梓、それはムギが貸してくれて…」
「そ、そうなんだ~、あずにゃん」
私がパソコンを覚えるのに役立ててね、て言ってくれて~。
この場に居ない黒幕の名前をあげる私たち。
しかし梓は無言でピクリとも動かなかった。
「あ、あずにゃん?」
「………唯先輩」
「は、はい」
しばらくしてようやく梓が唯の名前を呼んだ。視線はまだパソコン画面の方だったが。
「なんでこんなゲームして…」
そこまで言うと梓は口を閉じた。少し肩をワナワナと震わせている。
「それにこのキャラ、全然私と違うタイプ…」
小さな声で呟くように言う梓。
あ、そこ気づいた?さっすが、梓。よく見てるなー、アハハー。
いや、梓。これにはいろいろ訳が…。

「いや、だから、これは、その…」
画面から目を離さず、肩を震わせる梓を見てオロオロしている唯。
「あー!今日は、も、もう帰ろうかっなあー」
「り、りっちゃん!」
…すまぬ、唯。私には耐えられません、この状況。
友を見捨てて一人逃げようとする私。
ああ、ここが唯の家で良かった、とつくづく薄情なことを考える。
さりげなく今から起こる嵐の前から姿を消そうとする私の腕を、唯が引きとめようと掴んだ。
「逃げるの、りっちゃん!りっちゃんがやってみたいって言ったくせにー!」
「やろう、やろう言ったのは唯だろ!」
大体唯が今日は梓は来ないから大丈夫だって言うから。
りっちゃんだって、澪にはばれないようにしろよって私に口止めしたくせに。
ギャー、ギャーと醜い争いを繰り広げる私たちに目もくれず、梓はおもむろに鞄から携帯を取り出してボタンを押した。

「だから!…梓、どこに電話してんだ?」
「逃がさな…あずにゃん?」
私たちの質問に無言で答える梓。
「…あ、こんばんわ。すいません、夜分に。今いいですか、…澪先輩」
何ー!?
「おい、梓、ちょっと!」
慌てて梓から携帯を取り上げようとしたが、唯が後ろから羽交い絞めしてくる。
「おい、唯!」
「一人だけ逃げようってのは駄目だよ、りっちゃん!」
「…ええ、ええ。はい、それで」
待て待て待てー!
抵抗むなしく、ものの数分で澪との話が終わったのか、梓は手に持った携帯を私の前に突き出すように渡そうとする。
「へ?」
「澪先輩が代わってくれって」
「ええ!?」

きょ、拒否権は…?
無いです。

後輩の慈悲の心に縋ろうと、力無く笑ってそう聞いてみても、梓はあっさりと先輩の願いを笑顔で拒否した。仕方なく恐る恐る携帯を受け取る私。

「あー、み、澪。あのー、…え、今すぐ帰ってこいって」
「え、いやいや。ほら、今日は澪も実家に用事があるから帰らないって言ってたし。今から私、帰っても…」
「いやいやいや、そんな久しぶりに帰ったのに。そんな慌てて帰ってこなくても明日は大学も休みだし、家族水入らずで…」
「………すぐ帰ります。え、…わかりました。後で、駅に迎えに行きます…」
もはや言い訳する時間も与えてくれねえ。
私はがっくりと肩を落として梓に携帯を返した。
「り、りっちゃん?」
「…唯、さよならだ」

お互いの健闘を祈る。

私はそれだけ言うと、無言で鞄を肩に担ぎ俯きながら唯の部屋を出ようとする。
うう、それにしてもそんなに悪いことなのか。ギャルゲーするのが。
「これ、ギャルゲーじゃないですよね、律先輩」
いや、でもね、梓君。そのゲームを唯に渡したのはムギでね…。
「ムギ先輩にはまた後でお話します」
ムギ先輩がそのゲームを楽しんだかどうかはまあ、ともかくとして。
「他のソフトと間違えて入れた可能性もありますしね」
絶対にそれはねえ!
「とにかく早く帰られた方がいいですよ、律先輩」
帰りたくねえ…。
しかしここにはもう居られない。私はすごすごと唯の部屋を後にした。

りっちゃーん。

しばらくして遠くに唯の叫び声が聞こえたような気がしたけれど、私は振り向かずに歩く。
夜道を歩きながら、もういろいろあきらめの境地に達していたが、せめて最後に一つだけ言わせてもらえるなら…。

どうせばれて怒られるなら『3』を押した後の結果が見たかった!

お菓子とか用意しないで、唯にそのまま押させるべきだった…。
苦い後悔を胸に抱きながら私は駅に向かって歩き続けた。

end

もちろんその後はピンク色の世界が待っていましたが、残念賞。
唯ちゃんは一人暮らし。律ちゃんと澪ちゃんはルームシェアという名の同棲中。
今日は澪ちゃんも梓ちゃんも用事でいなかったので、二人して遊ぼうぜーとなった律ちゃんと唯ちゃんの身に落ちた悲劇、ならぬ喜劇。もちろん脚本家はムギちゃん。

「げんしけん」という漫画を兄に薦められ、読んでみて思いついたネタです。
主人公が彼女にエロゲーしていい?って聞いてるシーン読んでなぜか。

短編「選択肢は決まってる」を読んで頂きありがとうございました。
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テーマ : 二次創作:小説
ジャンル : 小説・文学

プロフィール

書き人知らず知らず

Author:書き人知らず知らず
ようこそお越しいただきました。
こちらはけいおん二次創作SSサイトです。

ジャンルは『けいおん!』律澪
律澪はジャスティス。
いい言葉ですね。

百合的要素を含みますので嫌いな方や都合の悪い方は見ないことをお勧めします。

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原作者様、出版会社様、制作会社様とは一切関係ありません。

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