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君の側にある旋律Ⅱ- あとがき -

Category : SS( 君の側にある旋律 【2】 )
このお話の律ちゃんは結構シビアです、非情です、冷徹です。
何よりも澪ちゃんの安全第一!それが律ちゃんの行動原理。
唯ちゃんもおちゃらけた中にクールさがみえる「カッコ唯ちゃん」に
しようと思って書いていますが。ハテサテ?

今回もまたいろいろ設定みたいなのを残したりして…、
でも本当はまだ何も考えてません!(・・。)ゞ テヘ
妄想(アイデア)は尽きないのですが、深く考えてません!
とにかく妄想の赴くまま今後も続けたいなあ、と思ってます。

「君の側にある旋律Ⅱ 内に秘めた危険」を読んで頂き
ありがとうございました。
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テーマ : 二次創作:小説
ジャンル : 小説・文学

君の側にある旋律Ⅱ 内に秘めた危険 -14-

Category : SS( 君の側にある旋律 【2】 )
夜、消灯時間の少し前。
中等部のホールにあるソファに平沢姉妹が並んで座り、楽しそうに話をしていた。

「それは良いことしたね、お姉ちゃん」
「えへへ~、そうでしょー、憂」
今日の放課後にあった話をやや大げさに妹の憂に話していた唯は褒められて上機嫌だった。時々こうやって姉妹で適当な場所で会ってその日にあった話に花を咲かす。

「それにしても…」
「何?」
唯は缶のオレンジジュースを買って飲みながら、さっきの嬉しそうな顔からちょっと何か考えているように目を細めた。口元はまだ笑っているけれど。
「わざわざこの学園内部にまで入ってまで手に入れようとするなんてね…」
律に結界の綻びの可能性を話した唯だけれど、この学園の守りはやはりどこよりも強く安心だ。そう簡単に邪気の輩は入れない。そこをなんとか入ってきて澪を連れて行こうとする連中が居る…。

「そうまでして欲しいものなのかな」
唯は澪のことはよく知らない。いや、友達としてはよく知っている。まだつきあいは短いけれど。ちょっと人見知りで恥ずかしがり屋さんで、美人で頭が良くて優しい、ベースの上手な女の子。私の大事な友達。
でも律があれ程護ろうといつも周囲に警戒させるほど、魔の連中が狙う者。
律に言わせれば彼女を狙うのは「魔」だけでなく欲にかられた「人間」も入るのだが。

「お姉ちゃん…?」
「ふふ。ちょーと気になるよね、うい~」
ニコニコとした表情を浮かべ妹を優しく見つめる姉。
「…」
しかしそんな姉の笑顔に少し違和感を感じる憂。
笑っているけれど、どこか鋭利で危険なものを忍ばせているような何か…。
自分を優しい表情で見つめる姉の瞳が少し紅く光るのを見て、憂はどこか不安な気持ちになる。

姉が中学生になると「家」の都合で桜ヶ丘学園ではなく別の学校に入学し、三年間離れていた。やっとこちらに戻って同じ学校に入ることを聞かされたときは、憂はとても嬉しかった。おかげでこうやって姉の唯と夜おしゃべりが出るようになった。前は手紙の遣り取りだけで、なぜか電話やメールを禁じられていた。

「ふぁぁ、そろそろ戻ろうか、憂」
「あ、うん」
消灯時間も近づき、唯も眠くなったのか欠伸を一つしたあと立ち上がる。
「じゃあね、憂ー、愛してるよ~」
ムチュチューと唇を出してふざけながら手を振って別れた姉の後ろ姿を思い出しながら憂は少し薄暗い廊下を歩く。

離れていた三年の間に憂は姉の唯がどこか少し変わったような気がしていた。
ただどこがどう、と聞かれても憂には答えられない。
妹の自分にはいつもとても優しくて、頼もしい姉。
以前澪さんにそう言ったら「憂ちゃんの方がよっぽど頼りになる姉って感じだけど…」と言われたけれど、憂の気持ちは小さい頃から変わらない。もちろん今も。でも、どこか…。
考え事をしながら歩いていたら、もうすぐ自分の部屋の前だった。
ドアの前で憂は軽く自分の頭を軽く振った。何かわからない不安を追い出すように。

とにかく私は自分の仕事を完璧にこなして、お姉ちゃんの負担を少しでも減らしてあげなきゃ、と憂は思う。憂の仕事は同じルームメイトの彼女の護衛。
たとえ仕事でなくても憂は自分のルームメイトが好きだったし、彼女に危害を加えるような真似は絶対させないと固く誓っている。
憂は「よし」と両手で小さなガッツポーズを作って小声でそう言うと、ドアを開けて自分と自分が護衛する「主」が住む部屋に入った。

「ただいまー、梓ちゃん。ジュース買ってきたよー」

end

テーマ : 二次創作:小説
ジャンル : 小説・文学

君の側にある旋律Ⅱ 内に秘めた危険 -13-

Category : SS( 君の側にある旋律 【2】 )
「大丈夫か?」
「あ、ありが…」
とう、と御礼を言おうと律の方の向くと思ったよりずっと近くに見慣れた幼馴染の顔があって澪は少しびっくりして言葉を失った。今、気付いたが自分の身体を支えてくれている律と抱き合ったような形になっている。
「わっ」
「え?」
思わず慌てて律から離れた。急に離れた澪に律は「どうした」と声を掛けてくる。

「い、いや、なんでもない。もう大丈夫だから!」
慌てて澪はそう言って、大げさに両手を左右に振る。
「…まあ、それなら良いけど」
澪の様子を少し不思議に思いながらも律は「じゃあ、帰ろうぜー」と自分と澪の鞄を持って保健室を出ようとした。
「おいさー」
「うん。…あ、律」
澪は少し動揺する心を無理やり抑えたあと、律が自分の鞄も持ってくれているのに気付いた。

「あ、ごめん。持つよ」
「いいよ、あ、あとベースは今日は部室に置いていけよ」
今日はもう寮に帰ったらゆっくりしてなよ。
まだちょっと足元がフラついている澪に律はそう言ってまた歩き出した。
「え、でも…」
「いいから。ほら、行くぞ」
「そうだよ、澪ちゃん。今日はもう帰ろ」
二人からそう言われては澪もそれ以上は何も言えなかった。
確かに急に眠くなるなんて少し体調を崩しているのかもしれない。唯の言う通りここ最近はあの「夢」のせいで寝不足だったのもあるし。澪はそう思う。

「でも話してる途中で眠っちゃうなんて先輩に悪いことしちゃったな」
学園を出て寮に戻る電車の中で、澪はふと先輩のことを思い出した。
「ああー、先輩別に全然気にしてなかったぜ。なんか体調悪いのに引き止めてごめんなさいって言ってくれてたし」
「そう…」
先輩の気遣いは嬉しいがますます申し訳ない気がする。
今度また生徒会へ行ってちゃんと謝ろうと澪は思った。

「そうだ~、りっちゃん今日の晩御飯は何する?」
電車の中、三人で並んで座っていると真ん中に座る唯が唐突に律に聞いてきた。
「あー、そうだな」
「そうか、律が食事当番だっけ」
律と唯が最近はいつもゲームを対戦して負けた方が夕飯を作ることになっているのを、ついこの間澪は聞いたことを思い出す。

「ええ、最近負け続けでねえ」
「へえ。まあ、二人ともあんまりゲームばっかして夜更かしするなよ」
それでなくても朝、起こすの大変なんだからな、と文句を言う澪に律と唯は「へーい」と声を揃えて返答した。その様子は少しも反省しているようには澪には見えない。
「…まったく」
夕飯のメニューをアレコレ出し合う二人を見ながら、澪は呆れたようにそう呟いたが、そういえば今日はムギが作ってくれるんだっけ、と思い出した。
しばらくしていつもの駅に電車が止まった。三人はゆっくりと歩いて寮に帰ってきた。

「澪しゃんは今日晩飯食べたら早めにお風呂入って寝るんですよー」
「子供扱いするな!」
寮の部屋の前でそう言って自分の鞄を渡す律に、澪はひったくるようにして鞄を受け取ると「じゃあな」とぶっきらぼうに言って部屋に入っていた。

澪が部屋に入ったのを確認してから、律も部屋に戻ろうとすると後ろからためらいがちな声が聞こえてきた。
「ん?」
「あ、…ありがと、律。いろいろと」
ドア越しに体半分だけ見せてそう言う澪。その顔はちょっと紅くなっていた。
「別に。じゃあまた明日な」
「…うん」
そう言って静かにドアが閉められた。
律はしばらく閉じられたドアを見ていたが、やがて体を翻し自分の部屋へと向かった。

確かに今回は唯の咄嗟の機転で助かった。
自分でもわかっているのだが、つい澪に手を出そうとする輩には容赦しない一面があることに。曽我部先輩を助けようと考えながらも、止むを得ない場合は仕方ないと思っていた処はある。
「ちっと反省しなきゃな」
律は自嘲気味な笑みを浮かべながら呟く。

それでも律の優先順位は少しも揺るがない。しかしどんな理由であれ一般生徒に怪我をさせたあっては学園側も黙ってはいないだろうし、もちろんあいつらも…。
律が思い出すたびに不快な思いをさせられる「協会」の幹部たち。
律が澪の、秋山家の一人娘を護衛していることを心良く思わない連中。

協会の長である澪の父たっての願いとして、律は澪の護衛役を任じられた手前もあってあまり公に口に出したりしないが、私が澪の護衛をしていることに内心苦々しく思っている。そんな連中からしたら私の護衛の任を解く格好の材料を与えてしまうことになる。もっと冷静にならなければ…。
結界の綻び。曽我部先輩を誘き出した誰か。
消す直前、夢魔は「頼まれただけ…」と言っていた。誰に?どんな理由で?
律は鞄を肩にかけて廊下を歩きながら様々なことを考える。

とにかく一度、学園長あって報告しなくてはいけない。
律はあまりムギの父である学園長に必要以上には会いたくなかったが仕方がなかった。
この広い学園全体を管理する学園長に、協力を仰がねばならなかった。
「ふー。ま、それは後で連絡を取るとして」
とりあえずは今回も無事に澪に気付かれずに済んだことに律は満足していた。

自分だけなく唯の協力があったとはいえ、律はいつでも結果オーライなら気にしない。
深く考えてもわからないことはわからない、根がさっぱりとした気性の律はさて、今度いつ学園長と会う段取りをしようかと思いながらも、今は当面の仕事である夕食作りに取りかかることにした。さっき電車の中で唯と決定したメニューはオムライスだ。

「まったく面倒くせえー、…けど仕方ないか」
約束は約束。今週+三日延長の間ばっちり夕食作りに腕を振るいますか。
「そうだ、たまには澪とムギも呼んで…」
そんでどうせ作るなら最高においしく作っちゃうぜー。
律は腕をぶんぶんと振り回してそう思うのだった。

テーマ : 二次創作:小説
ジャンル : 小説・文学

君の側にある旋律Ⅱ 内に秘めた危険 -12-

Category : SS( 君の側にある旋律 【2】 )
「先輩、曽我部先輩…」
「…ん、あ、あれ。真鍋さん?」
後輩に肩を揺さぶられて目が醒めた副会長。
「居眠りですか、先輩」
和に言われて自分はどうやら眠っていたようだ、と恵は気付いた。

「あれ、私…」
「先輩、澪…秋山さんはもう軽音部の方へ行きました?」
「え、…秋山さん?」
秋山さん。ああ、そう言えば眠る前に少しここでお話したっけ。
そうだ。私、憧れの秋山さんと話をしたんだー。

「先輩?」
恵はつい嬉しくて緩みそうな顔を慌てて直して冷静さを装う。
「え?あ、ああ。ええ、秋山さんね…。ええと。あ、そうだ彼女疲れてたのかちょっとここで居眠りしちゃって。様子を見にきた田井中さんが彼女を起こして連れていってくれたわ」
そう。確かそうだった…と思う。なんだか頭がすっきりしないけど、秋山さんにつられて私も後で居眠りしちゃったせいかしら。

「そうですか。それにしても先輩まで居眠りしゃちゃうなんて、もしかしてお疲れなんですか?」
今日は私が仕事片付けときますよ、との後輩の優しい申し出に恵は一瞬考えたけれど素直にそれを受け入れた。秋山さんと話が出来て嬉しくて舞い上がったのかどうかわからないけれど、どこかまだ頭がボウっとしている。どんな話をしたかもなぜか今一つ思い出せない。

「…きっと舞い上がりすきてたのよね」
「え?先輩、何か言いました?」
「あ、いえいえ。じゃあ、お言葉に甘えて。ごめんなさいね、真鍋さん」
いえいえ、と笑顔で答える後輩に感謝しつつ、恵は御礼を言って生徒会室を出た。
せっかく願い叶って秋山さんと話すことが出来たのに、話を覚えてないなんて…。
「曽我部恵、一生の不覚」
恵は廊下を歩きながらついそう零してしまう。

今度また機会を作ってお茶に誘おうっと。あと、密かに計画してるファンクラブのイベントのプランを練らなきゃ。ウフフフフ。
ニヤニヤとした顔を押さえきれないまま、時々不気味な笑い声を上げて廊下を歩く副会長の姿に、すれ違った生徒たちが怪訝そうな顔をした。

***

窓から気持ちのいい、初夏を感じさせる風がカーテンをわずかに揺らして入ってくる。
律はその風を頬に感じながら、保健室にあるベッドの一つで眠る幼馴染であり、護るべき主でもある少女の寝顔を見つめていた。

「り~ちゃん」
小さな声でなるべく音を立てないように入ってきた自分のルームメイト。
「澪ちゃん、よく寝てるね」
「ああ」
最近夢見の悪かった澪は少し寝不足だったろうから、調度いいと律はそう思っていた。
穏やかな顔で眠る澪を見ると、今は悪い夢など見ていないだろう。

「それにしても今回は驚いたね。学園の中にまで入られてたなんてね」
唯は寝ている澪を気遣って小さく囁くような声でそう言った。
「いっくら、えーと、誰だっけ?曽我部…先輩だっけ?その先輩の心の中に巣食って隠れていたとしても、学園の中に入ろうとしたら結界が効くはずなのにねえ」
唯の話に律もわずかに目を細めた。その目はもう先ほど、生徒会室で見せた金の瞳ではなく茶色に戻っていた。カチューシャをつけた髪も同じように茶色になっていた。

「何が言いたい、唯?」
すぐ側で眠る己の主を起こさないように、律も唯に聞こえるか聞こえないかのような小さな声で話す。
「別に。ただ」

- 誰かが結界をほんの少し解いていたとしたら?

唯は口には出さず、律の心の中に直接話しかけた。
「唯はそう思っているわけか」
「だって、そうでもないとおかしくない?」
いくらこの間、学園の森の中で退治した「魔」がまるで囮だったとして。知らずに夜、学園の森の近くに曽我部先輩が来て、夢魔を心に巣食わせてしまったとしても。学園の内部に入ろうとすれば強力な結界に阻まれる。
但し結界を抜け、学園内に一度入ってしまえば…。

結界は絶対なものでもない。どんなに完璧な結界にだって綻びは必ずある。
律はそこ事をよく知っていた。「絶対に大丈夫」なんて最も信用の出来ない言葉だ。
そして大概その綻びとは…。

「んん…」
「お、澪。起きたかー」
「んー、あれ、ここは…」
「保健室だよ~、澪ちゃん」
「唯。え、なんで私ここで…」
確か生徒会室で曽我部先輩と話をしていたはずだけど…。
「ああ、澪、なんか話の途中で眠ったらしいぞ。先輩が心配して私を呼んでくれたんだ」
全然起きねーからさ、ここまでおんぶしてきたっすよー。
律はニヒヒとからかうように笑う。

「え、あ、そうなんだ。…て、ええ!?」
生徒会室から保健室まで結構な距離がある。この学園は広いのだ。その間律におぶさって来たのを誰かに見られていたとしたら…。
「は、恥ずかしい…」
ベッドのシーツで顔を隠す澪。
「言うと思った。だーいじょうぶだって。なるべく人に会わないようにしたから」
「ほ、…ほんと」
澪はシーツから少しだけ顔を出して律を見た。ちょっと涙目になってる。
「あー、まあ、なるべく」
「はあぁ…」
深い溜息を吐いて澪はまたシーツの中に顔を隠した。

「そんなに気にしなくても、澪ちゃん。りっちゃんから聞いたけど、寝不足だったんでしょ?」
「え、ま、まあ…」
だからといってあの時そんなに眠かった覚えはないのだけど…。
「ならしょうがないよ。私だって眠い時は授業中でも寝ちゃうよ~」
そう言ってアハハと能天気に笑う唯。
「…いや、そこは起きていようよ、唯」
まだシーツに中に居る澪が唯に突っ込みを入れながらも、どこか釈然しない気分でいた。
…前にもこんなことがあったような気がする。
そう思っても澪はそれがいつだったか思い出せない。

「ま、とにかくそろそろ起きろよ、澪。もう今から部活もなんだし、寮に戻ろうぜ。ムギにもメールしていおいたから、寮で待ってるっさ」
「うん…」
律にそう言われてようやくシーツから出てきて、少しノロノロとした動きで澪はベットから立ち上がろうとして、バランスを崩しグラリと身体を揺らす。
「あ…」
保健室の床に倒れそうになる。
「おっと」
崩れそうになった澪の身体を律がすかさずキャッチした。

テーマ : 二次創作:小説
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君の側にある旋律Ⅱ 内に秘めた危険 -11-

Category : SS( 君の側にある旋律 【2】 )
「お見事、りっちゃん!」
影が完全に消えたのを確認してからそう言うと、唯は気を失っている先輩をゆっくりと椅子に座らせた。

「ふう。…て!おい、唯!」
「何?」
「さ、さっきのなんだ、澪のおはようからおやすみまでをどーたらこーたらっていう写真ってのは!」
「え、あ、あれ?冗談だよ~。あの場合先輩自身で自分の心の闇に潜む魔を取り除いてもらうのが一番でしょ」
曽我部先輩の中から「夢魔」を引き剥がすための嘘だよ~。
確かに唯の手にあるアルバムを見せてもらうと一枚も写真は入っていなかった。
「ね」と言ってカラカラと笑う唯に、律はまだ疑惑いっぱいの目を投げつける。

「…嘘だ」
絶対別のがどっかにあるはずだ。
「本当だよ~」
「…ムギの協力ってのは?」
「そう言ったほうが信憑性が高まるでしょ」
…絶対に嘘だ。今度ムギを問い詰めよう。
澄まして答える唯にはもう何も聞かず、ムギに直接聞こうと律は思う。

まったくいつそんなの作ったんだ。それならそうと軽音部部長である私に一番最初に見せるべきだ、そうだよ、まったく。どんな内容なんだ?気になるだろ!
…いや、とにかく作るなら作るで教えろっての。
「まあいい」
本当はよくないが。

「機転を気かせただけだよ~。先輩が無事で良かったじゃない」
それにしても澪の写真集をもらえるから本当の自分を取り戻せて、夢魔を追い出すことが出来たなんて。…曽我部先輩。
「それでいいのか…」
「まあ、人の夢は人それぞれだからいいんじゃない?」
「私もさっきまではそう思ってたんだけどな…」
なんだこの、微妙な納得のいかなさは。
複雑な気分になりつつも、律はまだ式神に守られて眠る澪の頬をそっと撫でた。
どこも怪我はしていないようだ。

「澪…」
「澪ちゃんはどうする?」
「とりあえず保健室に連れていくよ」
寝不足で眠ってしまったことにしよう。
「曽我部先輩にも適当な暗示をかけておかないとな」
律は式神の一つを曽我部先輩の額に当て、小声で何かを呟くと額に当てていた式神がフッと消えた。

「あ、曽我部先輩にはフォトライブラリーの件は忘れてもらわないと…」
「暗示はかけといたけどな」
夢魔の記憶など、この部屋にあったことを一部思い出さないように。
先程の式神に律は特殊な呪法を施した。

「なら、いいけど。まだ販売前だからばれないようにしないと…」
「やっぱ作ってるんじゃないかー!」
「しー。りっちゃん、先輩と澪ちゃんが目を覚ましちゃうよ」
口元に指を当てて声を潜める唯に、律はもう何も聞かなかった。
絶対後でムギから聞き出す!

「まあまあ。それはそうと…フフン。りっちゃん、私なかなかいい仕事したでしょー」
「ん?…ああ、確かに。助かったよ」
サンキュ、ありがと。
少し胸を張ってそう言う唯に律は素直に礼を言った。
「いえいえ。で、どうでしょう」
感謝の気持ちを夕食当番五日程延長という、形で表していただくというのは…。
両手をこすり合わせて腰をクネクネとさせて笑う唯。

「…二日だ」
「四日…は?」
「…三日。これ以上は交渉決裂」
「乗った」
やったー、りっちゃんのご飯おいしから嬉しいー、と言って大げさに喜ぶ唯。
「やれやれ」
そんなルームメイトの態度に少し肩をすくめつつも、律は唯に感謝していた。
夢魔を追いこんで先輩の身体から夢魔自身が出てくるように仕向けたのだが、うまくいくかどうかは微妙だった。
「ま、確かに唯のお陰で先輩を…」

殺さずにすんだよ。

律は口には出さず、心の中でそう呟いた。

「さあ、そろそろ和ちゃんが帰ってくるかもしれないし」
「ああ」
さっき放り投げたカチューシャを拾い上げてまた髪につけると、律はよいしょっと声を掛けて澪を背中におぶる。彼女を守った式神たちも今は散りじりになって、窓から外へとどこかへ消えていった。
起きたら澪の奴、恥ずかしがるだろうからなるべく人に見られないように保健室まで行きたいけど、こりゃなかなか難しいかな。
律はそう思いながらドアを開け、唯と背中で眠る澪と三人で生徒会室を後にした。

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プロフィール

書き人知らず知らず

Author:書き人知らず知らず
ようこそお越しいただきました。
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ジャンルは『けいおん!』律澪
律澪はジャスティス。
いい言葉ですね。

百合的要素を含みますので嫌いな方や都合の悪い方は見ないことをお勧めします。

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当サイトはまんがタイムきらら原作、アニメ「けいおん!」中心の非公式サイトです。
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