スポンサーサイト

Category : スポンサー広告
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

君の側にある旋律 -あとがき-

Category : SS( 君の側にある旋律 )
これは某少年雑誌に掲載されている、十歳の魔法使いの少年が主人公の
某漫画に出てくる某「護衛とお嬢様」が(…て何度も某某スイマセンw)
大好きなので、それを律ちゃんと澪ちゃんで書いてみましたー!

某漫画(隠す必要ないかもしれんけどw)の「護衛」さんは口調が丁寧で
同じ年の「お嬢様」に対しても敬語で接し、かなり遠慮がちに振舞って
いるのでこのお話でも最初はそうしようかな、と思ったのですがやっぱり
なんか律ちゃんの性格ならこっちかなーと勝手に変えました。アハハ。
原作のイメージを壊していたらゴメンナサイ、ゴメンナサイ。m(。_。;))m ペコペコ…

ちょっとパラレルすぎるからどうしよかなーと、書いたまましばらくUP
せずにいたのですが、ちょっと書き直してとうとうアップップ。

なんか深い設定がありそうに書いておいて実はなんも考えておりません。
ただ唯(イメージ的にはカッコ唯ちゃん)と律ちゃんは親友同士だけど、
お互いの大事な人を守るため仕方なく戦ったりする…なんていいかもー!
とか思って、唯は一年下のギター大好きな『あの子』の守護者の設定に。
もちろん『あの子』と同室の憂も護衛してます。
他にも妄想は溢れてるけど…。ハテサテ。

「君の側にある旋律」を読んで頂きありがとうございました。
スポンサーサイト

テーマ : 二次創作:小説
ジャンル : 小説・文学

君の側にある旋律 -06-

Category : SS( 君の側にある旋律 )
命令なんかじゃないさ。
怒って歩いていく澪の後ろ姿を、苦笑しながら見ていた律はふと心の中でそう呟く。
確かに田井中家は昔から秋山家にお仕えするのが使命だって、亡くなった両親や師匠に言われてきたけど。小さい頃、あの庭で初めて会ってからずっと。
命令なんかで動いたことは一度もない。
澪はそのまま。何も知らないままで毎日を楽しく過ごせばいい。

私が守るよ、澪。

幼い頃からいつも、律は心の中でそう誓うのだ。

そのためにも今日みたいに、澪を自分の手中に収めてその「能力」を利用しようと思っている輩から、なんとしても守らなければいけない。そう思っている連中はけっして少なくなかった。
澪の隠された「能力」。薄汚い権力欲に塗れた奴等が欲するもの。
そんな奴等に澪の髪の一本だって渡す気はない。
険しく目を細め、本人も気づかぬうちに手に力を入れてそう思う律。

幸いというべきかこの学園の創設者で莫大な財力を持ち、政界と財界に強力なコネを持つ琴吹家は秋山家の支援をしてくれている。
なんでも学園の創立者だったムギの曾祖父と澪の曾祖父が大変仲が良くて、昔から秋山家に助力を惜しまない。今日排除した連中の事も、琴吹家に仕えている者が情報を律に教えてくれたのだ。
律が叩きのめして地面に倒れていた連中…どうも奴らは普通の人間のようだったが、気を失って地面に倒れたそいつらも、彼らがうまく処理してくれているはずだ。

あの壁の中に消えた黒いスーツの男。
たぶん今回の首謀者で奴だけが「澪」の秘密を知っていた危険な存在。
思い出して律の表情は鋭く引き締まる。
律は視線を寮の窓の方に向けると外はもう真っ暗だった。唯と一緒に寮に戻った時は鮮やかな夕日が二人の影を長く伸ばしていたが、今はもう闇に包まれている。
窓から見える街灯をぼんやりと眺めながら、それにしても…と律は他のことにも思いを巡らす。

ムギ本人は家の事や澪の事をどこまで知っているのだろうか。
中等部から澪と同室になっているのはけっして偶然などではないだろう。お嬢様らしく常に優雅な雰囲気を醸し出しているムギは、何も知らないのだろうか。
琴吹家は昔から秋山家の強力な味方だったが、今後もムギの祖父同様、秋山家に協力してくれるつもりなのだろうか。もちろん今だっていろいろな情報をもたらしてくれてはいるけれど…。
なぜか律は初等部で始めてムギの父親、つまり現在の桜ヶ丘学園の学園長に会って以来、理由は自分でもわからないが今一つ信用できない気がしていた。
琴吹家が今までの方針を変更し、澪の能力を利用してやろうと思う可能性だってまったく無いとは言い切れないのだ。

それに今は穏やかな同盟関係が続いている唯の「平沢一族」からも目は離せない。
唯はともかく彼らには彼らの利害があるのだ。今はそれがお互いの利益になるので同盟関係がうまく続いているだけだ。今後の情勢によってどうなるかはわからない。

…唯や憂ちゃんと争うような真似はしたくないけれど。

律の瞳にわずかに悲しみ色が浮かんだが、だがもし本当にそんな時が来たときは律は悩まないつもりだ。お互い守るべき主がいる「守護者」なのだから。
琴吹家も平沢一族も、そして今日澪を襲おうとした輩からも。
律はけっして油断するつもりはないし、今後とも注意を怠たりはしない。

澪。だから澪はなんにも心配しなくていいし、何も知らなくていいんだ。

さっき映画のチケットをもらって喜んでいた澪の笑顔を思い出す。
けっして気の抜けない日常の中で、その笑顔は律がずっと、自分の命を懸けて守ってきた何よりも大切なものだった。

「さーて、私も部屋に戻るか」
とにかく今はこの現状に満足しておくべきだ。
自分自身にそう納得させて、少しだけ律は体の力を抜いた。
考えすぎても答えは出ない。今できることをするだけだ。
そう気持ちを切り替えて律は自分の部屋に戻ろうと廊下を歩き出す。

今度の日曜日は晴れたらいいなあ。そうしたら映画の後、楽器店でもアクセサリーショップでもどこでも澪の行きたい所に付き合おう。いや雨でも…。
両手を頭の後ろにやって律は口笛吹きながら部屋に戻っていった。


end

テーマ : 二次創作:小説
ジャンル : 小説・文学

君の側にある旋律 -05-

Category : SS( 君の側にある旋律 )
夕方になって寮に帰ってきた澪は、律の部屋に行こうか少しだけ悩んだ。
「…なーんか、釈然としない」
結局律がどうしても起きなかったので今日はムギに付き合ってもらったが、澪は本当は律と一緒に行きたかったのだ。いつもは言わない「護衛」の件まで持ち出してしまったくらいだ。
本心ではそう思っていても、そんな事を言ったら律にからかわれること必然なので、もちろん澪は口に出して言う気はなかった。

ムギとは一緒に寮まで帰ってきたが「用事があるからちょっと」と言ってどこかに行ってしまい部屋にまだ戻っていない。ムギはたまにこんな事がある。
ムギはこの学園の創立者の曾孫だ。たまに現在の学園長である父親に呼ばれて部屋を空けることがあるので、澪はあまり気にしていなかった。
「ちょっと付き合ってくれるくらいいいじゃないか、バカ律…」
部屋に戻ってからも少しもんもんとしていた澪だが、とりあえずお土産のお菓子も買っている事だし、とようやく重い腰を上げて律と唯の部屋に向かう。
二人の部屋に向かう途中、廊下で律が他のクラスの子達と楽しそうに話しているのが澪の目に飛び込んできた。

「えー、まじー」
「いいよ、いいよー」
複数の笑い声が上がって皆楽しそうだ。その中心で律が笑いながら皆と話をしていた。
「…」
一瞬視線を逸らしその場に固まる澪。元来人見知りな彼女は知らない子達の輪に入って行く事などできはしなかった。気さくで明るい律はいつでも遠慮なく皆の輪の中心に入っていく。小さい頃はそんな律の性格を澪は羨ましくもあり、また好ましくも思っていたのに、なぜか最近はとても嫌な気分になってしまう。
「あ、澪」
どうしようかと考え、少し離れた場所で立ちすくんでいた澪の姿に律が気付いた。
「あんがとー」と言って話をしていた子たちから離れて、自分の方に近づいてきた律の視線から澪はなんとなく目を逸らしてしまう。
「律。よーうやく起きたんだな」
「当たり前じゃん。もう夕方だぞ。そんなに寝てるかよ」
澪としてはちょっとした皮肉だったのだが律には通じなかったようだ。
「ずーと寝とけばいいんだ」
「なに、まーだ怒ってんの。悪かったって」
「別に」
「みーおー」
体を翻し自室に戻ろうとする澪。それを追う律。
あれ、律の部屋に行こうと思ってたのにな、と内心で思う澪だが部屋に戻ろうとする自分の足が止められない。

「機嫌治してよ、澪」
「別に悪くない」
「嘘つけ。なあ、みーおー。ほらこれ」
そう言って律は澪の腕を取って強引に歩くのを止めさせると、澪の顔近くに一枚の封筒を差し出した。
「何それ?」
腕をとられて仕方なく足を止め、律の持っている封筒を見る澪。
「へへへ」と笑いながら律が封筒の中から取り出したのは二枚のチケット。
「映画のチケット。さっき話してた子達の中から安く譲ってもらったんだ。くれた子は用事で行けなくなったからって」
「何、まさかまたホラーじゃ…」
いつも怖がりの自分をからかうつもりで、律はよくホラー映画を見せたりするので一瞬顔を引きつらせ、警戒するように後ずさりする澪。
「違う、違う。見てよ」
疑いつつもチケットを見て見ると、前に澪が見てみたいと言っていた恋愛物の映画だった。
「あ」
「へへー。澪、見たいって言ってたろ」
「うんうん」
澪は律からチケットを奪って映画のタイトルをもう一度確かめた。
「な、それ今度の日曜日に観に行こ。だから機嫌治してよ、澪」
「え、律これ…いいの?」
澪が驚くのも無理は無い。律は恋愛物を見ると背中が痒くなると言っていつも敬遠して、普段は映画といえばアクションやホラーばかりしか見なかったからだ。
「まあ、たまにはなー」
澪しゃんにお付き合いしまーす、とおちゃらけて言う律。
「ああ、じゃあこれいくらだった…」
「いいから。これくらい奢るよ。よし、じゃあ今度の日曜日な!」
「…うん、ありがとう」
「へへ」
嬉しそうに笑う澪を見て、律はふと先程の黒いスーツを着た男の言葉がふと頭によぎる。

- 普通に『高校生』なんてのをな、やってられるような娘じゃないんだぞ。
- 本来あの能力は外の世界に出していては…。

うるさいんだよ。どいつもこいつも。
苛つくような気分が律の心に沸き起こり、律は自分でも気づかずうちにほんの少し顔をしかめた。

澪はこれでいい。
普通に休日は友達と買い物に行ったり、映画を見たりして楽しむ只の高校生。
それでいいんだ。

「律?」
「ん」
「どうしたんだ。なんか急にちょっと…」
まずい。顔に出てたかな。内心で一瞬律は慌てたがすぐに誤魔化す。
「いや。澪の胸また大きくなったんじゃないかと思って。まったくもってけしかイデ!」
言い終わる前に鉄拳が律の頭上に落ちる。
「な、何言ってんだ、バカ律!」
「いきなり殴るなよ、澪ー」
「殴られるような事言うから悪いんだ!」
「まあまあ。廊下でどうしたの、二人とも?」
「おお、ムギ」
「律がバカだから悪いんだ。ムギ部屋に戻ろう」
「え、あ、りっちゃん、待たね」
ムギの腕を取ってずんずん歩いていく澪。
「おー、またな。オーイテ」
頭に出来たたんこぶをさすりながら律は澪の後姿を見送った。

テーマ : 二次創作:小説
ジャンル : 小説・文学

君の側にある旋律 -04-

Category : SS( 君の側にある旋律 )
学校から少しだけ離れた繁華街。
澪は寮で同室のムギを誘って買い物に来ていた。
「で起きなかったの、律ちゃん」
「そう。まったく。休みの日はだらだらばっかりしてるんだから」
バカ律。先ほど買ったクレープをほうばりながら文句が止まらない澪。
「ごめんな。ムギにつきあわせちゃって」
「いいわよー。私も買い物したかったし。それでまずどこ行く澪ちゃん?」
澪と同じくクレープを食べながらこれからの予定を確認するムギ。
「うん、この雑誌に載ってるんだけど…」
ごくありふれた高校生の女の子二人のお買い物。
街の中、周りにはそんな女子高生でいっぱいであり、別段変わった事はない。
しかしクレープを食べながら歩く女の子二人を、影からずっと見ている複数の目が光っていた。

「よし。あのビルを囲え」
ビルの隙間から黒いスーツを着た男が周囲にいた男達に命令を下す。
何人かいた男達が二手に分れて行動を起こそうとした。
「はーい、ストップ」
「なに!?」
いつの間にこんなに近づかれたか。
目の前に自分よりずっと小柄な高校生くらいの少女が、大き目のパーカーを着て、服についているフードを頭に被って立っていた。男たちの動きを静止させるように軽く右手をあげている。
「誰だ」
黒いスーツの男も他の男たちも、いつのまにか現れた目の前の少女を見つめる。
「誰でもいいじゃん。とにかくあんたらが何するのかは大体分ってるから」
「なんだと」
「私はあんたらのする事を妨害する。以上」
「おまえ…、守護者か?」
「だったら?」
スーツの男は一歩下がって他の人間に目で合図する「殺れ」。
後ろの男達が一斉に小柄な少女に襲い掛かる。少女はさして驚く事もなくすべての動きに冷静に対処した。三分後には少女に襲い掛かった男達が全員地面に眠っていた。
「ちっ」
「次はあんた?」
少女は息一つ乱さず、かすり傷一つ負ずに悠然と男を見ている。
「ふん。お断りだ」
守護者と戦う気は無いね。男はそう言うとポケットから煙草を出して一服する。
「そいつらを使ってちょっと試させてはもらったがな」
地面に伸びている連中をどこか軽蔑したような目で見る男。
「あら、物分りがいい」
「秋山の犬に用はない」
「…犬ね。犬種を選べるなら柴犬がいいかな。可愛いし」
少女のおちゃらけた態度に男は鋭い視線を向ける。
「お前はなぜあの娘を守る。本家の命令か」
「なーに言ってんだか。私こそ功を焦って半端者集めてこーんな街中で暴挙に出ようとしたはみ出し者に興味はないね。さっさとこいつら連れて消えろよ」
琴吹家の使用人から律へともたらされた情報は正しかった。今日こうしてここに連中が居る事が何よりの証明だ。
「ふん。そうしよう」
「言っとくけどあんた以外の別のグループも仲間がもう捕らえてるからな」
「やれやれ。手回しがいいな」
「あんたが悪いのさ」
目の前で煙草を吹かす男に、小馬鹿にしたように少し笑う少女。
少女に笑われても男の表情は変わらなかった。
「お前達はあの娘の価値がわかっていないんだな」
「…」
「普通に『高校生』なんてのをな、やってられるような娘じゃないんだぞ」
「…だから、何」
男の言葉に少女の顔が少し険しくなった。少女の顔色が変わった事に気づいたのか男はたばこを地面に落とし、足で強くそれを踏み消しながらニヤリと笑う。
「いいか、本来あの能力は外の世界に出していては…」

黙れ。

物の道理を知らぬこの少女に教えてやろうと言わんばかりに話を始めようとした途端、少女の年端に似合わぬ低い声で男の話が遮られた。
鋭い瞳で男を睨みつける「守護者」。
「…ふん。価値のわからん奴は相手にできん。どちらにしろ今回は手を引こう」
無駄なお喋りをしようとした事を少し反省したように男は一度鼻を鳴らすと、後ろの壁に吸い込まれるように静かに消えていった。
「こいつら連れて行けよ…」
地面で眠っている男達をチラリと横目で見て少女-田井中律は面倒くさそうな顔をしたが、どうせすぐに琴吹家の連中が片付けにくるかと思い直す。少女は何事もなかったようにビルの隙間から表に出た。フードを被っていても昼の太陽の光がいつもより眩しく律は感じた。

「お疲れさま~、りっちゃん」
ビルの隙間から出て人波に沿って歩こうとすると、すぐ後ろから声を掛けられて慌てて律は振り返った。後ろに居たのは律と寮で同室の、そして同じ軽音部の仲間。
「唯」
「どうも~」
少し険しい表情をしている律とは対照的に、ほんわかとした笑顔を浮かべる唯。
…相変わらず気配を隠すのがうまい。
唯が随分近くに居るのに気付くのが一瞬遅れたことに律は多少悔しい気持ちも沸き起ったが、すぐに一つ息を吐いて無駄な力を抜く。
「見てたのか」
「別に。ただ何となくお仕事が済んだのかなって思っただけ」
「嘘つけ」
唯の言葉に苦笑しながらも、律は唯と一緒に歩き出す。
「なんでここにいるんだ」
「偶然だよ。ちょっと憂に買い物頼まれちゃって~」
嘘つけ。
律は今度は心の中だけでそう呟いた。
上からの命令で私の行動を見張っていたに違いない。
律はそう確信していたが、どうせ聞いても唯は曖昧にしか答えないだろう。
「ま、いいけどさ。にしてもこんなとこでぶらぶらしてていいのかよー。そっちだって」
「大丈夫だよ。今日は『あの子』は寮にいるし。そっちは憂にまかせておけば安心」
「まあ憂ちゃんなら唯よりも安心だしな」
「なんとー」
心外な、と言わんばかりの不服そうな顔の唯を見て少し笑っていると、律のポケットからメールの着信音が鳴った。「悪い」と唯に一言断って携帯を見る。
---------
任務完了。
---------
短いメール。弟の聡からだ。
さっきの連中以外にも「澪」を狙っていた連中は、聡がちゃんと処理してくれたようだ。
さすが私の弟。律は携帯を閉じてまたポケットに入れる。

「まあここまで来た事だし唯の買い物に付き合うかな。いいかー?」
「もっちろん。ところでねー、りっちゃん」
「ん?」
「『あの子』はね~、ギターが好きで来年高等部に上がったらうちの軽音部に入りたいって言ってるって、憂が教えてくれたんだ~」
「へー。いいじゃないか。部長として部員が増えるに越したことはない」
「むふふー。でね~、前のライブでギター弾いてた人素敵だったって言ってくれたんだって~」
律はきゃーとか言いながら頬を少し紅くして、体をくねらせて喜んでいる唯を見てちょっとだけ顔を引きつらせながら「ハハ」と笑った。
「あーあ、でもその子も可愛そうに。来年入学したらそれが幻想だったって事がすぐにわかるんだからなー」
「なんとー!こらー」
「あはは」
二人はじゃれあいながら、澪とムギが入っていたビルに自分達も入っていく。
「二人にばれないようにな、唯」
「合点承知の助」
唯はわざとらしく敬礼しながら律を見て笑ってそう言った。

テーマ : 二次創作:小説
ジャンル : 小説・文学

君の側にある旋律 -03-

Category : SS( 君の側にある旋律 )
授業中席に座ってぼうと窓の外を眺めていた律は、今日もこれからこの平穏が続くことを願っていた。このまま午前の授業が終わり唯やムギ、澪と和を加えていつもどおりメンバーでお昼を食べて午後の授業を受ける。放課後は音楽室でいつものティータイム。
まあ練習も澪のカミナリがまた落ちると怖いからちょっとはやらなきゃな。
そして無事に何事もなく寮に戻る…。
黒板に文字を書く音だけが響く静かな授業の合間に、律はいつもそんな風に一日をシュミレートしてしまう癖がついてしまった。

それでいい。それがいい。

窓の外から眺める穏やかな青い空を見てぼんやりそんな事を考えていると、後ろから唯が背中を指でツンツンとつついてくる。
「何だよ、唯」
首だけ少し後ろに回して、小声で唯に聞く律。
唯は前、前と口元を動かしシャーペンを持った手は黒板を指している。
「は?」
首を戻すと目の前に人が立っていた。
「田井中さん」
「さわ…いや山中先生。近いです」
軽音部の部室にいる時はいつも「さわちゃん」と気安く呼んではいても、さすがに授業中にその名で呼んだら後であの眼鏡を取って睨まれる事間違いない。
「さっきからあてているんだけど返事がないので聞こえていないかと思って、こーんなに近づいているの」
ニッコリと笑いながら説明してくれる先生。
「あ、もう充分聞こえました。わざわざ来ていただいてありがとうございます」
先生の笑顔に内心で「コワ…」とか思っている律。
「いーえー。じゃあ、黒板に書いた問題を解いてもらえるかしら」
「全力を尽くしますです」
はい、お願いと言って律から離れるさわちゃんこと山中先生。
クスクス笑うクラスメイトに「いやいやー」と笑って言いながら黒板に向かう律は内心でやれやれと呟きながらも、教室のほのぼのとした雰囲気にどこかほっとしていた。
やっぱり今日も何事もなさそうだ。そうでありますように。
予想と願望を内心で同時に呟きながら、律はチョークを持つ手を高々と上げて先生の方に顔を向けた。
「先生!」
「なあに、田井中さん」
「全然わかりません!すいません、パスします!」
律がニッコリ笑ってそう言うと、教室が笑い声で包まれた。

律の願いどおり何事もなくその日も次の日も終わって今日は休日。日曜日の朝。
「律、りーつー、いい加減起きろよー!」
「うう、うーん。うるさいな。休みの日くらい寝かしてよ、澪」
「いつまで寝てるんだよ。今日はちょっと付き合ってよ」
二段ベットの上で布団を頭から被る幼馴染の体を揺さぶる。
「付き合うって、なんだよ」
布団から少しだけ顔を出し、眠そうな目で自分の幼馴染をみる律。
「だからいろいろと楽器屋とか…」
「そんなのムギとでも行ってこいよ。私は眠いんだ」
なんせ昨日唯と朝の五時までずーとゲームの対戦してたからさあー。
そう言ってふぁあと一つ欠伸をすると「おやすみ」と言って律はまた布団の中に潜り込んだ。
「こら律、お前一応私の護衛をするって事になってるんだろう。いや、別に私は護衛なんていらないけど…。と、とにかくそれでいいのか」

幼馴染である律の家「田井中家」は代々自分の家「秋山家」の護衛を勤めていたと、父親から聞いていた。といっても遠い昔の話で別に今はそんなのにしばられている訳ではない。ただ幼い頃律はよく澪に「わたしはみおちゃんを守らないといけないって言われてるんだ。だからみおちゃんのごえーする!」と言っていた。
「ごえーってなに?」
澪は意味がよくわからず律に聞いてみる。
「えーと。その…。とにかく一緒にいるの、みおちゃんの側にいるの!」
「ほんと?」
「うん!絶対側にいる!約束する!」
「うん!」
澪が嬉しそうに頷くと律も楽しそうに笑う。
そんな昔のこと澪は懐かしく思い出していた。
小さい頃はよくそう言ってくれたものだ。なのに…。
「なーにが護衛だよ、江戸時代じゃあるまいし。ふぁあ眠い…」
布団の中から出てこずに、眠そうな声をあげる律。
高等部にあがってから律はそんな約束などすっかり忘れてしまっているかのように、少し澪に素っ気無い態度をとることが多くなった。
律のそんな態度が澪は何となくおもしろくないし、少し悲しい気持ちになる。
「ちょ、律…」
「いってらっしゃーい」
律は布団から片手だけ出してヒラヒラと振る。
「むー、もういい!」
「イテ!」
ベットのはしごに足を掛けていた澪が、一度だけ布団に向かってパンチを繰り出すとはしごから降りてそのまま部屋を出て行った。

「…思いっきり殴りやがって」
布団から頭を出して背中のあたりを手でさする。
「いいのー、りっちゃん」
下のベットから唯の声が聞こえた。彼女もまだ布団の中だ。
「いいよ、今日は仕事だ」
そう言ってむくりと起き上がる律。
「仕事熱心ですなー、田井中殿」
「いやいや。平沢殿にはかないませんぞ」
上のベットからスラリと身軽に降りる小柄な少女。
「澪ちゃん、かなり拗ねちゃったんじゃない?」
「ま、後でなんとかするさ。とりあえず用意しなきゃな」
出かける用意を素早く整える彼女は、いつも学校に行くときの朝、だらだらとした気配を微塵も感じさせないきびきびとした動きだった。今日はいつものカチューシャは着けず、パーカーについているフードを頭に被る。
「じゃ、ちょっと行ってくらあ」
「気をつけて~」
まだ下のベットに入ったままの唯がさっき律が澪にしたように、片手でだけ布団から出してひらひらと振って見送った。

テーマ : 二次創作:小説
ジャンル : 小説・文学

プロフィール

書き人知らず知らず

Author:書き人知らず知らず
ようこそお越しいただきました。
こちらはけいおん二次創作SSサイトです。

ジャンルは『けいおん!』律澪
律澪はジャスティス。
いい言葉ですね。

百合的要素を含みますので嫌いな方や都合の悪い方は見ないことをお勧めします。

当サイトはリンクフリーですのでリンクをしていただけると嬉しいです。相互リンクもよろしければ大希望です。

当サイトはまんがタイムきらら原作、アニメ「けいおん!」中心の非公式サイトです。
原作者様、出版会社様、制作会社様とは一切関係ありません。

最新記事
カテゴリ
月別アーカイブ
最新コメント
最新トラックバック
けいおん時計
リンク
ランキング

FC2Blog Ranking

RSSリンクの表示
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QR
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。