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短編 「誰か私に答えて」

Category : 誰か私に答えて
短編です。もうすぐ澪ちゃんの誕生日ー!!
てなわけで誕生日ネタのお話ですが明るくはないです。
律x澪でまだ二人は幼馴染で親友の関係です。
読んでやるぜーという方は下記よりどうぞ。


- 誰か私に答えて -

- こんにちわ、今ちょっといいですか?
「え、は、はい…」

- あ、私たちXX雑誌の者なんですけどー。
- 今、街で高校生の皆さんにアンケートを取らしてもらっているんですよー。
「…はあ」

- 貴女は高校生ですよね?あ、大丈夫。学校名とか名前とかは別に聞かないから。
「高校二年ですけど」

- ああそうですか、二年生。懐かしいなー、
- 数年前は私も女子高生だったんですけどねー。なんか遠い昔のような気がしますよー。
- いえ、本当に変な勧誘とかじゃないですから。
- そんなに警戒しないで。それでニ、三の質問に答えてもらえませんかー?
「ええと、あの…」

- お願いします。んじゃ、さっそく。実は今回の企画のテーマは「誕生日」なんですけど。
- 今日が貴女の誕生日としたら今、なにか欲しいプレゼントはありますか?
「ええ?…えーと急にいわれても」

- あ、そんなに深く考えないでー。なんでもいいんで。
「え、じゃあ、アンプかな…」

- へー、それは何ですか?あ、楽器のね。何かバンドでもしてるんですか?
「軽音部に入ってて、ベースを…」

- あー、なるほど。バンドに打ち込む高校生活ってやつですね。
「は、はあ」

- では次の質問です。ちょーといきなりだけど今、彼氏とかいます?
「ええ!?…い、いません!」

- へえ、可愛いからいてもおかしくない感じだけど。
「そんな事、ないです…」

- いやいや。私、ちゃーんと可愛い子に絞って声掛けているんですよ。
なんか私が男だったらナンパみたいですね、これ。いやいやあくまでお仕事ですから。
では質問と。もし彼氏がいたら彼から誕生日にどんなプレゼントが欲しい?
「え、うーん、別に何でもいい、かな」

- おお。最近の高校生はけっこうその答え多いんです。物が全てじゃない、と。
「と、いうか急で思いつかないです…」

- あはは、それもそうですね。
では彼氏がいるとして「誕生日」にどこへ連れて行って欲しい?
「え、えーと。別にどこにもいかなくても。部屋で一緒にお祝いしてくれるとかでいいかも…」

- おー、慎ましい。でもそういう答えも多いですよ。
- 昨今の高校生はあまり外に出ないのかな。
「そうですか…」

- ふむふむ。えーとじゃ、今好きな人いる?あ、その反応。いますね、これはー。
- うふふ。さすが現役女子高校生ですね。恋バナに不自由はしない年頃。
- 聞いてもいいですか、相手は同じ学校の人?
「……そうです」

- 貴女の好きな人は一言で言うとどんなタイプ?
「…明るくて、うるさい?」

- あはは、うるさいくらい明るいってこと?ではその人とはどこで知り合ったんですか?
「よ、いや小学生の時」

- おお、幼馴染ですね。いいですねー、そういうの。
- じゃあ、やっぱりできればその人とお付き合いしたいなあとか思ってるんですね?
「…無理、だと思います」

- えー、そうなの。貴女はとっても綺麗なのに。
- そんなに照れなくてもー。本当ですよ。
「…ありがとうございます」

-あー、ごめんなさいね。時間取らせてしまって。
「いえ、いいですけど…」

- じゃあ、最後の質問。どうしてその人の事が好きになったの?
「え…」

- あんまり深く考えないでね。話が合うとか、趣味が一緒とか簡単でいいから。
「…」

- あー、ほんと簡単でいいですよ。無理ならいいし。
「どうしてかなんて…」

- えっ、なんて?

結局最後の質問には「わからない」と答えてアンケートは終了した。
アンケート結果が掲載される雑誌の名前を教えてもらい、今度販売される予定の化粧品の試供品を渡してくれた。お姉さんはお礼を言って私から離れた後、すぐにまた私と同じ年くらいの女の子たちに声を掛けて、同じようにアンケートを取り始めた。二人組みの女の子がキャーキャー楽しそうな声を上げるのが後ろから聞こえてくる。

ポケットから携帯を取り出して時間を確認してみると約束した時間からもう10分程過ぎていた。地下街の本屋を待ち合わせ場所にして正解だった。外で待っていたら寒くて仕方なかっただろう。
でもそのせいでアンケートに協力する事になってしまったのだけど。

きっと今慌てて走っているだろうあいつを待ちながら、私は先程のアンケートの内容を思い出していた。きっと私の答えは他の女子高生たちの答えと大して違わないだろう。さして違和感もなく多くの同じ似たような答えの中に埋没していくに違いない。
雑誌に掲載されるそれぞれの質問に対するいくつかの答えの中に一票追加されるだけ。

恋する気持ちは誰だって同じ。
好きな人への想いなんて誰だってそうは変わらないだろうから。
でも私にアンケートを取ってきたあのお姉さんは思いもしないんだろうな。
「います」と答えた私の好きな人が「幼馴染の同性」だなんて。

なぜか私は少しおかしくなってきた。顔を俯かせて笑いを堪える。
「何笑ってんの?」
幼い頃からよく聞いたその声に私は、はっとなって顔をあげた。
「り、律」
「ごめん、待ったー?」
息を少し切らせながら、能天気にそう聞いてくる。待った?当たり前だ。

「もう15分も過ぎてるぞ」
「いやー、ごめんごめん。来る途中で持病の癪で倒れたおばあさんが…」
私は無言でジロリと睨みつけた。
「嘘です、ごめんなさい、寝坊しました」
「まったく」
「ごめーん。なんかおごるからさー」
許してちょーだいと両手を合わせて頭を下げる律。
「ふう。待ってて疲れたなー、クレープ食べたいかなー」
「え。あ、いえいえ、クレープですね。わかりましたー」
とりあえず映画見た後でいいだろーと言って私の手を握って歩き出す。

「引っ張るな、律」
「早く行かないと遅れるだろ」
「誰のせいだ、誰の」
ごめんごめんと笑いながら謝る律に、私はちょっとだけ呆れながらも一緒に歩く。
繋いでいる律の手は冷たかった。
「手袋してくれば良かったのに…」
「いやー、慌ててさあ。忘れてたよ」
「バカ」
私は少しでも温かさが伝わるように律の手を少し強く握った。

「ま、今日は澪の誕生日だからな。クレープくらいわけないさ。大奮発しちゃうぜ!
映画だってご希望の甘ーい恋愛映画だもんな!乙女ですなあー澪しゃんは」
「な!?…ホラーなんかよりずっといいだろ!」
「そっかなー。まあ今日は澪しゃんの好きなのに付き合うぜー」
ニシシと笑う律を見ていて、不意にさっきの質問が思い出される。

-彼氏に「誕生日」にどこへ連れて行って欲しい?

「それで、今日は映画の後何が食べたい?今日は澪が…、澪?」
さっきのアンケートを思い出していて返答が遅れた私は慌てて「何でもいいよ」と答えた。
「なんだよー、張り合いねえな。…なんかあったのか?」
「別に、何も」
「んー、ならいいけど。何食べたいか考えとけよー」
私と律は外よりはまだ暖かい地下街を手を繋いで映画館に向かう。

アンケートをしてきたお姉さん。
別に「彼氏」にはどこにも連れて行ってもらわなくてもいいんです。
今年の誕生日は好きな人と映画を観にきたんです。
その後、御飯を食べてクレープを奢ってもらいます。
心の中でお姉さんにこれが本当の答えです、ごめんなさいとなぜか謝ってしまった。
別に謝る必要はないんだけど、なんとなく。

- できればその人とお付き合いしたいなあとか思ってるんですね?

その質問を思い出して私はほんの一瞬だけきつく目を閉じた。何かの痛みに耐えるように。
握っている律の手をまた少し強く握ってしまった。

「澪?」
「…ポップコーンも買ってもらおうかなあ」
「なあ!?遅れたお詫びはクレープだろ!」
「いいじゃないか。誕生日なんだからー」
ごめん、律。
思わず誤魔化すために思ってもいなかったことが口から出てしまった。

うーと唸ってから何かブツブツと呟く律にちょっと申し訳ないと思いながらも私は少し笑ってしまう。そんな彼女を見ているとまたも不意にアンケートの最後の質問が鮮明に思い出された。
- どうしてその人の事好きになったの?
そんなことは私が知りたいくらいなんです。…どうか誰か教えて下さい。

どうして私は幼馴染の親友を好きになってしまったんですか?

好きにならなければ良かったのに。
そうすれば手を繋ぐだけでこんなにも苦しい思いしなくてすむのに。
たとえそれがまったく納得がいかない答えだったとしても。
私は誰でもいいから何かの答えを聞いてみたい。
どうして私は律を好きになってしまったのか。どうか誰か私に答えて。

律の手のぬくもりを手袋越しに感じながら、私は心からそう願った。

end

誕生日なのに。澪ちゃんの誕生日なのに。
切ない系を書いてしまった。
でも律ちゃんと二人でお祝いなのでそれは楽しんでね。

短編「誰か私に答えて」を読んで頂きありがとうございました。
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テーマ : 二次創作:小説
ジャンル : 小説・文学

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