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短編 「8時のサンタ」

Category : 8時のサンタ
短編です。クリスマスネタです。
有名なクリスマスソングを使わせてもらってます。
律x澪でまだ二人は幼馴染で親友の関係です。
読んでやるぜーという方は下記よりどうぞ。

- 8時のサンタ -

軽音部の皆に話せば意外に思われるかもしれないが、子供の頃サンタの
存在を小学校5年生まで信じていたのは澪ではなく私の方だ。

部活終了後、歩いて家に帰る途中。
空を見上げると灰色の厚い雲に覆われて日差しもなく、風は突き刺すように寒い。
首にマフラーをぐるぐる巻きにしてちょっと猫背になる季節。
「律、今度のクリスマスパーティーのプレゼントいつ買いに行く?」
私と同じようにマフラーを首に巻いた澪が白い息を吐きながらそう聞いてきた。
「うーん、日曜日でいいんじゃね」
澪空いてる?と聞くと、空いてるとの答え。
「たまにはまともなプレゼント買えよ、律」
「びっくり箱だってそれなりにおもしろいと思うけどな」
少なくと海苔が入った缶よりはさ。和のセンスはよくわからない。
「おもしろさなんていらないんだよ」
「えー」
そんな話をしながら歩く間にも風は冷たい音をたてて私達の間を通り過ぎる。
「今日は寒いな」
澪が肩に背負ったベースをちょっとかけなおしてそう呟いた。

「今年のパーティーではサンタの格好でもするか、澪?」
「…いきなり何言ってんだ?」
「澪がサンタでー、私がトナカイ」
「却下」
「なんでー、なら反対でもいいけど」
「さらに却下」
「ノリ悪いぞー」
「悪くていい」
まあ、どうせ無理だろうと思ってたけど。何だよ、昔はやってくれたのにさ。
「…そういえば」
澪が不意にそう言って何かを思い出したように少し笑った。
「なんだよ」
「律はずーと信じてたもんな、サンタが来るって」
「なんのことかわかりませーん」
「とぼけるなよ」
そう。私はずーとサンタがいると思ってたんだよ。お前が言うまではなー!
「あの時は律の夢を壊して悪かったなあ」
そう言う澪の顔は半笑いだ。
「いーえー」
「いやいや、あの時は…」
「そーいえばー!」
昔の話をさせまいと話題を強引に変える私。
「なんだよ」
「知ってるか、澪。サンタってほんとうにいるんだぞ」
「…律。まだそんな」
ちょっと哀れむような顔をして私を見る澪。
「違う。本当にえーと、どこだっけ?北欧だっけ?『サンタクロース協会』てのが
あって、そこでサンタクロースの資格が取れるって」
「資格?」
「そう。日本人でも一人いるって前にTVでやってた」
なんかサンタになる条件がすごい難しかったような…。
体重が120kg以上とか、他にもいろいろ。
「…120kg以上」
「年中ダイエッターの澪しゃんには信じられない体重だろうけどー」
「誰が年中ダイエッターだ」
「とにかくサンタはいるんだ」
ふんすと唯の真似して胸を貼る私。
「そのサンタさんに家に来てもらいたいのか、律?」
「…いや、ちょっと勘弁かも」
見知らぬ赤い服を着た120kg以上の大男が家に強引に入ってきたら通報ものだよ。
「まあ、サンタがいた方が夢があっていいけどさ」
「さすが、澪しゃん。乙女ですなあ」
「なにいってんだか、ほらさっさと帰るぞ」
それでなくても寒いんだから。いつもは背筋を伸ばしてきりっとしてる澪だけど
今日は少し肩をすぼめて冷たい風に耐えているようだ。
「澪」
「何?」
「ほら」
突然私はそう言って、両手の手袋を外して澪の前に差し出す。
「何、その手袋」
「だって澪、手袋してないじゃん」
こんなに寒いのに澪は手袋をしていなかった。無理もない。昨日や一昨日はまだ
暖かかった。今日になって急に冷え込んだのだ。私だって朝、母さんに渡して
もらわなければつけてこなかっただろう。
「律、寒いだろ」
「私はポケットにいつも入れてるからな」
澪はベースも持ってるしな。
強引に澪に手袋を渡して「ほれ」とつけるように促す。
「あ、ありがと」
澪が手袋をつけてまた二人で歩き出す。
「澪」
「ん?」
「別にサンタクロース教会からサンタさんに来てもらわなくてもいいよ」
「うん?」
「昔みたいに澪が来てくれたらさー」
「…」
私がちょっと笑ってそう言うと澪は思い出したのか、ハッとなった後少し頬を紅くした。

小学校5年生の頃。
クリスマスを楽しみにしていた私は澪の家でプレゼントの話をしていた。
「澪ちゃん、何が欲しいかサンタさんにもう手紙書いた?」
「え、手紙?」
「うん」
「パパにはもう聞かれたから言ったよ」
「え?」
当時の私は澪の言葉に私は少し驚いた。
「お父さんに言っても駄目だよ。サンタさんにお手紙書かないと」
「え、りっちゃん、サンタさんにお手紙書いてるの?」
「うん!」
うーん、あの頃は堂々と肯定してしまった。あの時ちょっとくらい勘を
働かせて否定すればよかったのに…。
「りっちゃん、サンタさんはいないよ」
「え?」
「プレゼントを持ってきてくれるのはパパかママだよ」
「ええ!?」
私は驚いた。だっていつもいつのまにか枕元にプレゼントが置いてあったから。
いつだって聡と一緒に起きてサンタを待っていようと言っていたのだけど、
いつの間にか眠ってしまって朝起きたらプレゼントが置いてあった。
「サンタすげー」と思っていたなんと幼く純真な私よ。てか、はよ気付け!

「りっちゃん、サンタさんを信じてたんだ・・・」
その時の澪のちょっぴりおかしそうな顔は忘れないぜ。
その後私はときたら「絶対いるよ!」と断固として自説を曲げず「いないよ!」と
ちょっと頑固なところがある澪ももちろん否定してそのまま少しだけ言い合いになった。
「いる!」
「いない!」
今考えても子供っぽい喧嘩だなあ。しまいには泣き出してしまったのだから。
澪ではなく私が。

「りっちゃん…」
「い、いるもん…」
しかしなんで泣いたんだろう?そこまでサンタがいない事が悲しかったのか私は。
泣いた私をみて澪はびっくりしていた。そりゃそうだろう。普段男子と喧嘩して
怪我をしたって泣いた事などない私だ。澪も泣き出してなぜか謝ってくれた。
しばらくすると私も泣き止んでその日は家に帰った。
仕事から帰ってきたお父さんに「サンタさんはいないの?プレゼントはお父さんが
持ってきてくれたの?」と聞いたら「そんなことはない」と大げさに否定して
くれたけど子供心にも、はい、わかりましたーてな感じで。
でもその時はそんなに悲しくなかったかな。あれ、なんでだ?
澪が否定したときは泣いたのに…。
「子供の頃の話だろ」
「いやいや、今でも全然問題ないですよ。紅い服と紅いとんがり帽子を被って
家に来てくれても」
「律!」
…今思えばきっと私は澪と一緒にサンタクロースを待っていたかったんだと思う。

真実を知ってしまうと私はすんなり納得し、その後はさして悲しくもなんとも
なくなっていたのだが(我ながらさっぱりしてるなあ)、澪は私が泣いた事にかなり
申し訳ないと思っていたらしい。
クリスマスの夜。自分の持っているありったけの紅い服を着て、頭にはさっきまで
きっとお菓子が詰まっていたのだろう三角形の紅い袋をとんがり帽子のように被って
私の家にやってきたのだ。
「ごめんね、りっちゃん」
そう言ってプレゼントを渡してくれた。
一応あれはサンタの格好をしてきてくれたつもりなんだろうけど…。
最初は意味がわからなかった。
「あれで白い髭でもつけてくれてたらすぐに理解したかも、なんだけど」
「もう絶対しないから…」

「サンタさんの代わりに」そう言った澪は少し照れていた。
私は嬉しかった。サンタクロースがいないってもうその時はすっかりわかって納得
していたけれど、いつも眠っている間にやってきて姿を見せてくれないサンタより
澪のサンタクロースの方がずっといい。
「ありがとう、サンタさん!」
そう素直に澪にお礼を言ったのを覚えてる。

「まあ別にサンタの格好はしてくれなくていいけどさ」
…クリスマスの日に澪が来てくれたら嬉しいよ。心の中だけでそう呟く。
ふと唐突に私は昔聞いたひとつのクリスマスソングを思い出した。

- 今夜、8時になればサンタがうちにやってくる。

その人だけの限定サンタクロース。そんな歌だっけ。違ったかな?
私のサンタは…。
「澪がいい」
「へ?」
「…なんでもないよ。それよりイブの日はうちに来ない?ケーキ食べようぜ」
「んー、まあいいけど。そんなに食べないぞ」
冬は太りやすいからなと顔を曇らせる澪。
やっぱり体重気にしてる年中ダイエッターじゃん。
まあ、確かに次の日には唯の家で部のパーティーがあってまた食べる事になるから
わからなくもないけど。
「できれば8時にきてよ」
「はあ、なんで?」
「…いや、冗談。いつでもいいよ」
「変なの。とりあえずプレゼントの買出しは今度の日曜日な」
「OK」
澪にそう返事をしながらも、私は昔聞いたその曲を思い出して頭の中で歌う。

- 遠い街へとサンタがつれて行ったきり。

もし澪が連れて行ってくれるならどこへでもついていくけどな。
…それともいつか誰かが澪を遠い街へ連れて行くんだろうか。
隣のお姉さんじゃない、私の幼馴染を…。
「律?」
「今行く」
いつかもし本当にそうなっても、どうか今はまだ私のサンタでいて欲しい。

「…雪降りそうだ」
「本当だな。ほら律、早く帰ろう」
私の手袋を着けた澪の手が伸びてきて私の手を握った。
「帰ろう、律」
「…うん」
心臓の音が急にリアルに耳に聞こえてくるような気がする。その音が手をとおして
澪に聞こえていないだろうか、なんて心配になる。
「…律」
「ん?」
「イブの日は8時に律の家に行けばいいのか?」
急に澪がそう聞いてきた。
「い、いや別に」
「…いいよ、8時だな」
そう言って澪は笑った。
澪はあの歌知ってるんだろうか?気付いたのかな。…まさかね。
そう思いつつも私は何も言わず、そのまま家まで二人して手を繋いで帰った。
クリスマスまであともう少し。

-恋人がサンタクロース
-背の高いサンタクロース 私の家に来る

イブの日、8時になれば澪がうちにやってくる。

end

この曲好きです。
サンタという名の背の高い男に隣に住んでいたおしゃれなお姉さんが
拉致されたという曲ですね。違いますか。ええ、わかってます。

短編「8時のサンタ」を読んで頂きありがとうございました。
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テーマ : 二次創作:小説
ジャンル : 小説・文学

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書き人知らず知らず

Author:書き人知らず知らず
ようこそお越しいただきました。
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ジャンルは『けいおん!』律澪
律澪はジャスティス。
いい言葉ですね。

百合的要素を含みますので嫌いな方や都合の悪い方は見ないことをお勧めします。

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当サイトはまんがタイムきらら原作、アニメ「けいおん!」中心の非公式サイトです。
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