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追憶の紋章 【16】 -あとがき-

Category : 追憶の紋章【16】
リッちゃんとミオちゃんが森を彷徨う間。
ムギちゃんはまだ王様とお話中でした。

…ふう。にしてもようやくムギちゃんの過去が書けました。
もうちょい短くまとめるつもりだったのにー。
思った以上に長くなって、我ながらちょっと反省。

それはまた次のお話で。ではー。

「追憶の紋章 【16】 過去との決別」を読んで頂きありがとうございました。
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テーマ : 二次創作:小説
ジャンル : 小説・文学

追憶の紋章 【16】 過去との決別 -11-

Category : 追憶の紋章【16】
「陛下、貴方の愛する王子も」
「王子が、…どうした」
「幼いあの王子にまで、呪いを引き継がせたいのですか?」
「…」
王子の名を聞くと、険しい顔つきになっていた王が少し表情を緩ませた。

「そして王女もです。王家の女性たちは、常に石の管理を余儀なくされてきたのです」
ドラゴンの呪いを抑えるために。その為に体内に石を隠し持った王家の女性たち。
「それは王女たちの体に良い訳はありません」
石を体内に隠し持っていた女性は、実は常に魔力を放出している状態だ。
それが彼女たちの体に負担を掛けてしまう。

「師は祈りの乙女が徐々に減っていったのも、それが理由の一つだろうと推測されていました」
「…なんだと」
「陛下、強い意志で呪いを振り払ってください。百五十年前のカビが生えてもおかしくない呪いなんて、もう終わらせましょう」
そう言いながら、私は王の様子を見詰める。
右手で胸のあたりを抑える王の息は苦しそうだった。
石を前にして、陛下の内心ではいろんな葛藤が渦巻いているに違いない。

「そ、それは…だ、駄目、いや…しかし、石は…」
「陛下、しっかりしなされ!」
苦しそうな王に向かって、伯爵はあの正門前で上げたのと同じくらい大きな声でそう言った。
「何ですかその様は!貴方はそのような情けない姿をされるような方ではない!」
「は、伯よ、…師よ」
「…さあ、陛下」
百年以上も過ぎてから生まれ故郷に戻ってきた、神聖なる祈りの乙女にそれを…。
そう言う伯爵の手は、陛下の肩に優しく触れている。
しばらく部屋の中は沈黙に包まれた。

「………………そちに、そちに返す」
静寂を振り払うように王は苦しい息の中、振り絞るような声でとうとうそう言ってくれた。
「陛下…」
「…返す、返すわ!何だ、そんな物!真の王たる余に必要ないわ!」
陛下がそう言った途端、青い輝石は一度強い光を放つと、すぐにその光は消えていった。
陛下は先程までの気分の悪さが、嘘のように無くなったようで胸ももう抑えていなかった。

私は青い石をもう一度よく見直してみる。
魔力をあまり持たぬリッちゃんですら見えた黒い影。それはもう少しも見えなかった。
先程は強く輝いたこの「青い輝石」も、今はほんの少し青みがかった只の石のように見える。

今この時、ドラゴンの呪いは完全に解けたのだ。

To be continued…

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追憶の紋章 【16】 過去との決別 -10-

Category : 追憶の紋章【16】
「彼はかなり悩んだようですが、最終的には自分の孫娘に石の管理を託しました」
神官長の神官魔法も加え、その後は魔力を持って産まれた王家の女性たちによって、石は綿々と受け継がれていきました。
「…王女殿下も、遠きながらも我が一族の血を受け継ぐ女性です」
ミオちゃんも祈りの乙女になる資格を持つ女性。

「陛下、貴方がドラゴンを操ろうとしたのも、ドラゴンからの呪縛がまだ消え去っていない証拠です」
「な、何と…?」
「もう呪いは断ち切りましょう」
「…断ち切る」
「この石も祈りの乙女なんて存在も、もう要らないんです…」

初代の王から、悲しい呪いを受け継いだ正統なる王よ。
どうか私にこの石を返すと言って下さい。

私はそう言うと、陛下の前に石を持った手を差し出した。

「さあ、陛下。私に石を返すと…」
「うう…」
青い輝石を目の辺りにしてから、王の様子はおかしかった。
体を震わせ、目を血走らせている。
「陛下?」
そんな王の様子を見て不思議に思った伯爵が、陛下に近寄ろうとした。
「ち、近づくな!」
王は大声そう叫ぶと、息を切らせながら私を睨みつける。
「そ、それをこちらに渡せ」
「返す、と言って下さい、陛下」
「それは、我が王家の秘宝、王家の人間が管理する物だ!」
「…いいえ、陛下」
これは本来なら百五十年前、彼が私にあの森で返していなければいけなかった物です。

もし約束通り。
石を彼から返してもらっていたら、私はどうなっていたのだろう。
人間を捨て、「魔女」になることもなかったのだろうか…。

「これ以上この石を持っていれば、呪いは永遠に続きます」
私はそんな思いを振り払い、血走った目をする王に静かに話しかける。
私の話を聞きながらも、王はひどく苦しそうだった。

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追憶の紋章 【16】 過去との決別 -09-

Category : 追憶の紋章【16】
私と彼がひそかに会っていた事を知る人は、師を別にすれば誰もいなかった。
私と師以外の他の誰にもそれは知られることはなく、日々は過ぎていった。

…これは後になってわかったことだけれど。
彼は私を殺そうとした事を、王になったばかりの頃は覚えていなかったようだ。
だが晩年になって、彼は突然に忘れ去っていた過去を思い出した。
自分を守るために祈りを捧げた女性を、自分自身の手で殺してしまったことを。

ドラゴンの呪いのせいで、忘れていたのか。
それはわからないが、突然思い出してしまった過去に彼は心をひどく痛めた。
自責の念に駆られた彼は、心労からそのまま倒れた。
もう老年といっていい年になっていた彼の体に、それは大きな負担だったようだ。

彼はずっと王宮の地下に、王家が管理する他の宝物と共に隠しておいた青い石の存在も思い出した。あれに呪いが掛かっていることはすでに理解していた彼だったが、どうしても呪いの効力が消えない。あの石を見るたびに、これは誰にも取られてはいけないと思うのだ。
たとえ王妃や、血を分けた子供たちでも。そう思うと彼は恐怖した。
また自分は呪いに負けて、大切な人を殺してしまうのではないかと。

青い石の処分に悩んだ彼は、当時最も信頼していた女性の神官長に、己の過去の罪を全て話した。その神官長とは、私が通っていた神学校の元学長だった。
数十年前に突然病気療養と称して居なくなり、ほどなく治療の甲斐なく亡くなった。
そう思われていた私が、実は殺されていたとは。
今の王家が出来てからは、王の相談役として長年勤めていた神官長。
彼女は、真実を聞かされてひどく驚いたそうだ。

「…それが事実なら、やはりここは古の通り。石の管理は『祈りの乙女』の資格を持つ者がするべきでしょう」
神官長はそう言うと、現時点で祈りの乙女に値すると思われた女性の名前を挙げた。
それは彼の孫娘だ。

彼は王になった後で迎えた王妃との間で、一男一女を設けた。
ちなみに二代目の王となる彼の息子の妻、つまり王妃は私の兄の子であった。
私の姪にあたる女性だ。
姪である彼女が生んだ娘は、私と同様に子供の頃から不思議な力を見せていた。
師が私に言ったとおり、私の一族は代々祈りの乙女を輩出していた家なのだ。

私の姪が二代目の王の王妃になった事。
さらに私の兄が、彼と共にドラゴンと戦った戦友だった事。
私の一族が王国内で、帝国時代と同じように貴族の中でも位の高い「公爵」の称号を得た理由がそれだった。だから私が王家に連なる公爵家の縁である…と言うのは別に嘘じゃない。
まあ、百五十年前の縁だけど。

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追憶の紋章 【16】 過去との決別 -08-

Category : 追憶の紋章【16】
帝国時代の終わりに。
原因はわからぬままに深い眠りに付いたドラゴンたち。
だがその内の一頭が、長い時を得て再び目覚めた。

その身には過去、人間に意思を奪われ酷使された記憶が、強烈な憎しみとして残っていた。
再び目覚めたが、またもや騎士と乙女を繋ぐ青い石に敗北したドラゴンは、最後の力を振り絞って己の血に呪いをかけた。

- その青き石を誰にも渡してはならない。
- その石がお前の手から無くなれば、お前は破滅する。
- その石を狙う者は、お前にとって敵だ。
- 敵は殺せ!

「…ドラゴンの血を浴びた彼ですが、体のどこかに傷を負った訳ではありませんでした」
血を洗い流し、公国へと帰ってきた彼を誰もおかしいとは思わなかった。
彼自身でさえ、自分に呪いがかけられていることなど気付きもしていない。

「彼は戻ってすぐに、いつもの場所で私を待ってくれていました」
私に青い石を返す約束を、彼はちゃんと果たそうとした…けれど。
「森の奥へと来た私の姿を見た途端、彼の体内に隠れていた呪いは発動しました」

- こいつはお前の石を奪いに来た者だ。
- その石を渡せばお前は破滅だ。
- それでいいのか?嫌ならば戦え。剣を抜け。
- その女を殺せ!

「二度までも人に敗れたドラゴンは、自分を倒した騎士である彼のみならず、魔力を持って己を力を封じていた乙女も憎かったんです…」
呪いによって錯乱した彼は私が近づいた瞬間剣を抜き、私の胸に突き刺したのだ。

「…私はしばらく師の弟子であり、今では私の姉弟子である家に滞在し、剣で刺された体の治療に専念しました」
その間に私は師から、彼にかかった呪いの話と、その後の南の地方の情勢を詳しく聞いた。
ドラゴンを倒した彼は皆から薦められるままに、王となったことも。
王となっても彼は驕ることなく、王国のために誠実に政務をこなした。
そんな彼に忠誠を誓ったそれぞれの諸侯や、新しい国の民となった人々も安心し信頼するようになっていった。

姉弟子の家で治療を受けていた私は、契約通り師の弟子となった。
弟子となった時点で、私は過去の自分と決別することにした。
私は病気になり遠くで治療を受けていたが、治療の甲斐なく亡くなった。
…そう、両親には告げられた。

私の死を悲しむ父や母には本当に申し訳なかったけれど。
それはまるっきり嘘という訳ではない。彼に刺された傷はかなり致命傷だった。

私はあの時、本来ならもう死んでいたのだ。

師の治癒魔法と、エルフである姉弟子の秘術を用いて命を取り留めたときから。
私はもうすでに普通の人間ではなくなっていた。

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Author:書き人知らず知らず
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