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追憶の紋章【17】 -あとがき-

Category : 追憶の紋章【17】
ムギちゃーん、お疲れ様でしたー、と。
今はゆっくりとサワコさんのお家で休憩しててください。

今回は伯爵の過去もちょっぴり触れてみました。
王の前ではすっかりとぼていた伯爵ですが。
リツちゃんに少しだけ自分の過去を重ねていたのは事実です。
それはまだ伯爵がまだ「伯爵」という貴族の称号を受ける前。
まだ己の剣の腕だけが頼りの、彼が若い騎士だった頃の淡く切ないお話。

もちろん今の伯爵に、他の誰かがその事を聞いてきたとしても。
「そんなカビの這えたような昔話、もう覚えとらんわい!」
と、笑って答えるだけでしょうけど。

んで、リッちゃんとミオちゃんですが。
ユイちゃんを信じていまだ「迷いの森」を彷徨う二人。
しかしようやく、なにやら森に変化が起こったようです。

さて次回からはエピローグ的な?お話に入っていきます。
そのままラストまで一直線。あともうちょい。
それではまた次のお話で。ではー。

「追憶の紋章 【17】 貴女の側で羽を休めて」を読んで頂きありがとうございました。
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ジャンル : 小説・文学

追憶の紋章 【17】 貴女の側で羽を休めて -11-

Category : 追憶の紋章【17】
あ、と思わず私は声を上げてしまった。ここは…。
「リツ…」
「うん。どうやらまた戻ったみたいだ、最初の場所に…」
私は馬を止めて、しばらく呆然とあたりを見渡した。
森の奥へと馬を進めていったはずなのに。
私たちはまたもや、森に入ってすぐの場所に戻ってきてしまった。

「…どうするの、リツ?」
心配そうなミオの声を聞いて、私は少し考えた。
もう一度森の奥へと行ってみるか、それとも…この「迷いの森」を出ていくか。
だが僅かな迷いを、私はすぐに振り払った。
「もう一度森の中へ行ってみるけど、いいかな」
私は信じている。必ず「森の賢者」が私たちの前に姿を現すと。
それは私と契約した魔法使いが…ユイが私にそう言ったからだ。

「リツが信じるなら、私も信じるよ」
ミオはニッコリと笑ってそう言ってくれた。
私がユイを信じているように、ミオが私を信じてくれているのが嬉しかった。
「ありがとう…」
私はミオにそう言うと、馬の鼻面を森の奥へと向けて手綱を引いた。
幸い雨はもう止んでいた。日が暮れるまでにまだ時間がある。

馬を進めながら、私はふと思いついて懐からユイの手紙を取り出した。
手に持ったそれを高々と上げて、私は森へ向けて叫んだ。
「私はリツ!この森に住む賢者に会いに来た。これは魔法使いユイからの手紙だ!」
静かな森に向けて私は二、三度私は叫んだが、なんの変化も見られなかった。

駄目か…と私が落胆した瞬間。
さわさわと風もないのに、木々が揺れ始めたような音が鳴り始めた。

- ユイ、ユイ…。 「忘却の賢者」
- 物忘れのユイ。トリ頭の魔法使い。

いきなり声が耳に直接聞こえてきた。だが周りには誰もいない。
まるで木々が葉を揺らして、それで声を出しているようなそんな感じだ。
しかし、トリ頭って…。なんかさりげなくひどいこと言われてるぞ、ユイ。
私がそう思っていると、手に持っていた手紙がフイと風にさらわれ森の中へと消えていった。
それと同時に森の奥から風が吹いてきた。何かくる?

「…リツ」
何かの気配を感じて脅える様子を見せるミオ。
「しっかりつかまっていろよ、ミオ」
私はそんな彼女を安心させようと、左手で自分の胸に方に抱き寄せた。
すでに右手は剣の柄を握り、いつでも剣が抜けるようにしている。

…何があってもミオは、彼女だけは守る。

森の奥から吹きつける風に身をかがめながら。
私は内心で強くそう思いつつ、視線をまっすぐ森の奥へと向けた。

To be continued…

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追憶の紋章 【17】 貴女の側で羽を休めて -10-

Category : 追憶の紋章【17】
「じゃあ、人間に戻る訳だ」
「…それはどうしましょう」
でも本当はほんのちょっと、「魔女」である自分に未練のある私。
そのせいかサワコさんに曖昧な答えを返してしまった。
「うーん、どっちがいいのかなあ。永遠の若さを保つ…てのも捨てがたいよねえ」
腕を組んで真剣な表情をしながらそう言うサワコさんに、私はなんだか笑ってしまう。

彼女は私が通っていた神学校の、穏やかで包容力あったあの学長の子孫だ。
「青い輝石」の真実を知る、特別な家系に産まれた彼女。
容貌も性格も、あまり御先祖様には似てないけれど。
深い学識と、大きな包容力を持ち合わせている処が、何となく私に過去を思い出させる。

神官となるために勉強しながら、のんびりと楽しく過ごした学校生活。
そこで知り合ったお爺さんと、…黒髪の騎士。
彼は結局思い出した過去の為に、心を痛めながら亡くなってしまった。

けっして貴方のせいではなかったのに。

老いた彼が私のことを思い出して苦しんだのかと思うと、心からそう言ってあげたかった。
彼に青い石を渡したのは私だ。師と契約を交わしたのも私。全ては私の責任です。
自責の念で苦しむ彼にそう言ってあげたかった。…今となっては何もかも遅いけれど。
私は彼の最後を知ったのは、随分後の事だから。

「ま、しばらくゆっくり考えたら」
少し過去に心を飛ばしていた私は、サワコさんの声によって戻ってきた。
「そうですね、そろそろこの国を出て…」
「えー、もう出て行くの?つまんなーい!大体いろいろ協力した私に、なんの礼もないわけー」
牢屋に入ったなんて、貴重な体験だけどさー。美容にはよくなかったしー。
そう言ってぶちぶちと文句を言うサワコさん。

「…そ、そうですね、すいません」
「悪いと思っているなら、しばらくここにいなさいよ」
なんか貴女が居たら、もっと面白いことありそうだしさー。
フフフと笑ってそう言う彼女に、私もつられて笑った。

今までずっと羽を広げて世界中を飛び回っていた私だけど。
故郷に戻り、一仕事を終えた今。
ここで、この人の側でしばらく羽を休めて考えてみましょうか。
戻らぬ過去を悔やむのは止めて、これからどうするのかを…。

私はそんな風に思いながら、午後の一時を美味しい紅茶と楽しい会話で過ごしていた。

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追憶の紋章 【17】 貴女の側で羽を休めて -09-

Category : 追憶の紋章【17】
「へー、そう。じゃあまあ、二人の事はそれでいいとして」
…で、ムギはこれからどうするの?
私の話を満足した様子で聞き終えた後、サワコさんがそう言った。
「私、ですか…」
サワコさんにそう聞かれて、私は少し迷った。

「本来なら石を、師の許へと返しに行かなければいけません」
「ん?でもお師匠さんて、もう亡くなったんでしょう」
「ええ。ですが師の意思を受け継ぐ人に、取り戻した石を渡す手筈になっているんです」
「へー。で、それを返したらどうかなるの?」
確かにそれによって、古い魔法の契約は果たされるだろう。
だが契約した魔法使いが亡くなった今、それに何か意味があるのかと言いたげなサワコさん。
でも実は結構深い意味がある。

「…石を返す際に、私が望めば私は人間に戻れます」
「え?」
「永劫の時から離れ、限られた時間の中で生きるように」
エルフの秘術を受ける前の、それが最後の契約内容。
師はいつも私を魔女にしてしまったことを悔いていたようだったけど。
私自身は、魔女になったことに決して後悔などはしていない。
お陰で私は子供の頃からの願い通り、たくさんの世界を見て回れたのだから。

…そうだ。
きっと私はあの時、夢中になって読んでいた物語の一つに、うっかり入ってしまったんだ。
不思議な物語の世界の中を、私は長年に渡って夢中になって駆け巡った。
最初は師と、後は一人で。

「焦ることはない。いつか労せずして石は貴女の元に戻る。必ずその時が来る」
いつか必ず石を取り戻さないといけない。
師と長い旅をしながら、私は時折そう思い、それについて考えを巡らせていた。
だがそんな私に、師は穏やかな笑顔を見せながらいつもそう言っていた。

もう師は亡くなってしまったけれど、その時は確かに来た。
ミオちゃんがリッちゃんに渡した青い輝石。
リッちゃんからそれを預かったユイちゃんが、アズサちゃんに託した。
そしてアズサちゃんから、私は石を受け取った。
師の言った通り、石そのものは何の労力もかけず私の手の中へと戻ってきた。
もちろん石だけ取り戻せても、意味はない事を私は知っていたけれど。
だけど本当の意味でも、私はとうとう石を取り戻したのだ。

…そろそろ、私は本の世界から抜け出さないといけない。
目的を果たした今、私自身の手で静かに最後のページを閉じてしまわないと。
今こそ師と…いや、お爺さんと交わした契約を終わらせましょう。

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追憶の紋章 【17】 貴女の側で羽を休めて -08-

Category : 追憶の紋章【17】
…王と伯爵と私の三人で話した夜から、数日程たった頃。
私は王宮を出て、王都の中にある貴族の邸を訪ねていた。

「いらっしゃい、ムギ」
「こんにちわ、サワコさん」
私が訪れた場所は、男爵のお邸。神官騎士でもあるサワコさんのご実家。
「ここに来たのは久しぶりじゃない、ムギ」
「そうですね」
貴族の邸と言っても、ここはそれほど広くはない。
ただ住んでいる人の趣味の良さを示すように、居心地がとてもよい場所。

サワコさんの私室に案内された私は、執事さんから温かい紅茶を一つ頂く。
「さて、と。王宮内ではようやくなんとか事は収まった…てな感じ?」
「ええ」
私が頷くと、サワコさんは満足そうな表情を浮かべた。

***

王は私と伯爵に約束してくれた通り。
魔法士たちの罪を問い、ドワーフたちから奪った宝石類を全て吐き出させた。
私はそれらをドワーフやオークの一族へと送り返しておいた。
王宮を騒がせ「反逆者」の烙印を押された騎士たちも、皆軽い処分で済んだ。
大臣たちからの異論も多かったけれど、王は断固とした態度で彼らの処分を決定した。

伯爵は王子の家庭教師となり、さらに王弟の第二子息である彼も大臣の職に就いた。
伯爵と大臣となった殿下二人で、今後幼い王子をサポートして行くことになるだろう。
しかし騎士たちには寛大な処分を下した王だが、リッちゃん…「赤枝の騎士」と姫への追手の隊を送る事を止めることはなかった。

「これだけは、もう王がどうとかこうとうかの問題ではない!父親としての問題だー!」
十年間探し続けて、ようやく会えた娘。
やむをえず隣国へと手放すことさえ、王は本当は嫌でたまらなかったらしい。
だが「王妃」となるならまだあの娘も幸せだろう、とそれは我慢できた。
しかし英雄とはいえ一介の騎士が、あっさりと自分の目の前からかっさらっていってしまった。
それに対してもはや王としてではなく、父親としての怒りを爆発させる王を目の当たりにすると私も伯爵も、もうこれ以上何も言えなかった。

リッちゃんの身を心配する伯爵には、私の仲間がついていると伝えて安心してもらった。
アズサちゃんから二人を「迷いの森」へと向かわせた事は聞いている。
今後は「森の賢者」が、二人を助けてくれるだろう。

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書き人知らず知らず

Author:書き人知らず知らず
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ジャンルは『けいおん!』律澪
律澪はジャスティス。
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