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追憶の紋章 【13】 -あとがき-

Category : 追憶の紋章【13】
たくさんの人の協力を得て、二人は無事に王都を脱出しました。
もちろんまだ追手は迫ってきますので、気は抜けませんが。

王宮正門前では、ロマンチストな勇者たちがいまだ絶賛奮闘中。
王宮内ではムギちゃんがいろいろと頑張っていたりします。

後ろに居るミオちゃんを気遣いつつ、懸命に馬を走らせながら。
仲間たちと共に奮戦しているだろう伯爵の血圧がとても心配なリッちゃんです。

それではまた次のお話で。ではー。

「追憶の紋章 【13】 王都脱出」を読んで頂きありがとうございました。
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テーマ : 二次創作:小説
ジャンル : 小説・文学

追憶の紋章 【13】 王都脱出 -10-

Category : 追憶の紋章【13】
「ま、それも全てあんたの功績の一つよ。さあ、そろそろ行った、行った」
「行こう、リッちゃん、お姫様」
ユイが手綱を引いて、私たちを促した。
「…サワコさん、お元気で」
「あんたもね。姫君もお幸せに」
「ありがとうございます…」
「二人の身に神の恩寵があらんことを…」
サワコさんはそう言うと、短い神官の祈りの言葉を私たちに捧げてくれた。

「アハハ。なんかサワコさんの神官らしい姿、始めて見たような」
「失礼ね。私くらい優秀な神官いないわよ」
そうですね…と私は一度はそう同意しながらも。
祝宴の最中に酒に酔っていろんな人に絡み酒をしていた、神官としてはあるまじき姿のサワコさんの様子を見ている私としては、少々同意しかねる訳で…。

「とにかく。後の事は気にせず頑張って逃げ切って、二人一緒にどっかでよろしくやってなさい」
「…わかりました。じゃあ」
「はいはい。それじゃあ魔法使いのお二人さん、二人の事頼むわね」
「ラジャー」
「まかせて下さい」
「じゃ、私は戻るわね」
サワコさんは軽く手を振って、私たちから離れていく。

「あの!」
ミオが離れていくサワコさんの後ろに声を掛けた。
「はい?なんですか、姫君」
「ムギに…ムギに私は大丈夫だからって。そう伝えておいてください」
「…承知致しました。王女殿下」
彼女はにっこりと笑ってそう言うと、馬を走らせて行ってしまった。
王都に戻る彼女の姿を、私は不安な気持ちで見つめていた。
ムギに何か考えがあるのかもしれないが、本当に大丈夫なのだろうか…。

「行きましょう、リツさん」
「…うん」
また馬を走らせる前に、ミオには私の後ろへと乗る位置を変わってもらう。
「さーて、これからは走りまくりだよー」
ユイはそう言うと、再び馬を走らせた。
私は軽く頭を振ると、一度後ろを振り返りミオを見た。
彼女を安心させるように軽く笑った後、すぐに馬を走らせユイたちの後についていく。

心残りは尽きないが。
私がどれだけサワコさんや伯爵、さらに私たちを逃がしてくれた討伐隊の仲間の身を心配したとしても、今の私にはどうすることも出来ない。

私やミオは、もう生まれ育った王都を離れ、外へと旅立ってしまったのだから。

今はただ、彼らの好意を無にせぬように、ひたすら馬を走らせるだけだ。
私のお腹に手を回すミオの手に時折触れながら、私は心からそう思うのだった。

To be continued…

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追憶の紋章 【13】 王都脱出 -09-

Category : 追憶の紋章【13】
前を走るサワコさんや、いつのまにか私の隣に来ていたユイとアズサが乗る馬と共に。
私はミオを腕に抱えた状態で馬に乗せ、深夜の市街地を脇目もふらず走り続けた。

なんとか王宮からは出られたが、王都の城壁の門を抜けなくては意味がない。
そう懸念していた私だったが、そこは思ったよりすんなりと抜けだすことが出来た。
城壁を守備する兵士たちは、すでにアズサの魔法で眠らされていたからだ。
「…こんなに魔法が効いてる処って始めて見たわね」
神官の治療魔法を使えるサワコさんでも、眠りこける兵士たちを見て少し驚いているようだった。僅かに開いた門をサワコさん、私、ユイたちの順に潜り抜ける。
城壁の外は荒涼とした夜の空気の中。
遠くには黒い影のような山並みが広がり、僅かに人家の明かりが見えるだけだ。

城壁の外にある小さな村のはずれまで、サワコさんは私たちを見送ってくれた。
「きっと追手がまだまだしぶとくやってくるから、なるべく早くここから離れなさいよ」
そう言って彼女は数日分の食料と地図、それから薬草等が入った袋を渡してくれた。
「わかりました。…それにしてもサワコさん。どうして私たちを逃がすのを手伝ったりしたんです」
他の皆もそうだ。あれでは反逆罪として罪を問われても仕方がない…。
「なぜそんな真似を…」
私の為に皆が重い罪に問われるなんて、そんな事は堪えられなかった。

「別にあんたの為だけじゃあないわよ。ま、しょうがないんじゃない」
今まで危険な事から逃げまくってたくせに偉そうにしてる連中に、いろいろ鬱憤がたまっていたってのもあるでしょうし。
サワコはしみじみとした口調でそう言うと、一つ軽い溜息を吐いた。
「すべての貴族がそうとは言わないけどさ。…まあ、とにかくそんなに気にすること無いわよ。今回の事は全員自分の意思で動いているんだから」
「…」
「心配ないわよ。それにちゃんとそっちの方は、ムギと一緒にいろいろ考えているから」
「ムギと?」
私とサワコさんの会話を黙って聞いていたミオが、親友の名を聞いて声を上げた。

「あんた達の事は、ムギから頼まれてるから」
「サワコさんはムギと知り合いだったのか…」
「まあね。討伐軍に参加したのも、ムギの依頼があったっていうのも理由の一つだし」
あんたのお守りを頼まれてた訳よ。
サワコさんはにやりと笑って、私の肩を軽く叩いた。
「ムギには世話になりっぱなしだ…」
伯爵も。私を助けてくれた皆も。

今までずっと一人で戦ってきた。…そう私は傲慢にも思っていた。

でもそれは違っていた。ただ私が気付かなかっただけなんだ。
私にはいろんな協力者が周りにいてくれたのだ、知らない内に。
不思議な感覚が私の胸を包んだ。よくわらかない何か暖かい物が、私の全身を包んでいってくれるような、そんな感じだ。

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追憶の紋章 【13】 王都脱出 -08-

Category : 追憶の紋章【13】
正門を抜けるとリツは一度馬首を翻し、後ろを振り返った。
「伯爵…」
「全てはお前の努力の結果じゃ。なんら恥じることはない」
そう話す伯爵の声は、とても穏やかだった。

「王はドラゴンを倒した者には、思いのままの恩賞を与えると約束した。なのにお前が願いを言う前に…ドラゴンを倒した者の願いを聞く前に、姫の縁談を勝手に決めるなど間違っておるわ」
話ながら、チラリと伯爵は前に目を向けた。
王宮内から、またたくさんの馬蹄が聞こえてくる。
「もう話などしている時間はない、これを持って早く行け」
伯爵がホイっと掛け声を一つ上げながら、こちらに放り投げられたのは小さな革の袋。
たぶん中にはお金が入っているのだろう。

「さあてと」
リツに革袋を投げると、すぐに伯爵は私たちに背を向けた。
門の周辺には、私たちを捕らえようとする騎士や兵士たちと、反対に私たちを逃がそうとする騎士や兵士たちが、剣や槍を持って争っていた。
伯爵はそんな周囲の様子を馬車の上から見ると、ワハハとまた笑い出した。
「身分違いの二人の仲を応援せんとする、馬鹿なロマンティストの勇者たちよ!」
ここまで来たらとことんロマンを極めようぞ!濃と一緒にこの門を死守するのじゃ!
そしてこれも年齢を感じさせない、大きなよく響き渡る声で高らかにそう言い放った。

オー!!
伯爵の朗々とした声に応えた近衛騎士や兵士は、それぞれ剣や槍を持ち盾を持って集まり門前を固めた。門前に集結したのはただの騎士や兵士じゃない、恐ろしいドラゴンにもけっして怯まず戦い勝利を物にした真の勇者たちだ。
そんな彼らと戦うのを、一般の兵士たちがためらうのも無理はない。
じりじりと睨み合う両陣営。

「…さあ、もう行け」
そんな膠着した状況の中、剣を持ち甲冑を着込んだ伯爵の表情は、子供のように楽しそうだった。ただリツを見つめるその瞳は、とても優しく穏やかで、まるで実の娘を見ているような…そんな風に私には見えた。

伯爵や門前を固めて戦う彼らの行動に、少し呆然となっていたリツだったけれど。
「…お世話になりました」
伯爵に向けて一度頭深く下げ、短くそう言ったリツの声は少し震えていた。
「行くわよ」
神官騎士のサワコさんの声を聞いて、リツは馬首をまた翻した。
後ろから戦う兵士たちの猛る声を遠くに聞きながら、リツは必死に馬を走らせる。
私はリツの背中に手を回し、彼女の胸に頬を寄せながらほんの少しだけ、どんどん遠くなっていく王宮を振り返った。

王女と判明した後、有無をも言わさず連れてこられ「これからはこの国の姫として生きよ」と、初めて会った父にそう言われてからこの年になるまで私が過した城。
辛いことばかりだったような気もするけれど。
ムギと出会えたりことや、弟が出来たことは嬉しかった。
父も…あの人はあの人なりに、私のことを考えてくれてはいたのだと思う、でも…。

「さようなら」
私は少しずつ遠くなっていく城を見ながら一言そう呟くと、またリツの体にギュとしがみついた。

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追憶の紋章 【13】 王都脱出 -07-

Category : 追憶の紋章【13】
リツにしがみつきながら前を見た私は、いつのまにか開かれていた正門に少し驚いた。
いつもは閉じられているのに。誰が開けたのだろう。

「門が閉まる前に早く!」
リツが「ユイ」と呼んだ彼女がそう叫びながら、四方から私たちに迫る兵士たちに向けて何か呟いた。すると急に兵士たちは、私たちを追いかけるのを止めた。
呆とした顔をしてふらふらとさまようように歩く兵士と、手綱を握ったままぼんやりとした様子で馬に乗る騎士たち。
「忘却の魔法…?」
彼らの様子を見て、私はすぐに理解した。
魔法の勉強も少しはしていた私だけど、こんなにも大勢を一瞬で魔法にかけてしまうなんて。
彼女は一体…。

「早く!」
魔法使いの少女の声に促され、私は正面にまた目を向ける。
正門には先程の兵士たちと同様に、呆然と立ちつくむ門兵たちが居たが、彼らは急に正気を取り戻したように頭を数度振ると、馬を走らせて向かってくる私たちを見て、慌てて門を閉めようと動き出した。
「ああ、さすがに魔法の時間切れー」
さっきまで門兵たちは、魔法にでもかかっていたのだろうか?
目の前で開いていた正門が、今にも閉じられようとしていく。
「ちっ」
リツは馬の腹を蹴り、正門めがけて必死に馬を前に進める。

大きな鉄の門が少しずつ閉まっていく中。
焦る私たちの耳に、門の向こう側から地面を削るような大きな車輪の音が聞こえてきたかと思うと、もの凄い速さで一台の馬車が走ってくるのが見えた。
馬車は今にも閉まろうとする左右の鉄門の間に、ぶつかる勢いで強引に入ってきた。
危険を察して逃げる門兵たち。
だがすぐに戻ってくると、いきなり突入してきた馬車に向かって槍を向ける。
しかし槍を持つ彼らなど物ともせず、馬車の中から颯爽とした感じで出てきた初老の男性は、素早い動きで槍をかわすと、門兵の一人に蹴りを入れて倒した。

「は、伯爵!?」
「おおー、リツよ、とうとうやりおったのう!」
馬車から降りた男性は、笑顔満面で驚きの表情を見せるリツにそう言うと、別の門兵の槍をかわし、持っていた剣を斬るというより叩くと言った感じで使い相手を気絶させる。
「ど、どうしてここへ!?」
「決まっとるだろう、こんなおもしろそうな事に参加せんでどうする!」
ワハハと笑いながら突然現れ、リツに伯爵と呼ばれたその人は。
年齢を感じさせない身軽な動きで、倒れた門兵から槍を奪うと馬車の御者台に上がった。

「…伯爵」
「お前を拾った時からの、ワシはちょっとこんな展開を期待しておったよ」
まだ驚いている様子のリツに、伯爵はひどく満足気な様子だった。

お前はいつでも、ワシの期待以上のことをしてくれるのぉ。

そう言って伯爵は、ニッと笑った。

「ほれ、早よう行け!」
伯爵に急かすようにそう言われたリツは馬の腹に軽く蹴りを入れると、神官騎士の後に続いて伯爵が立つ場所の横を静かに通りすぎていく。

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書き人知らず知らず

Author:書き人知らず知らず
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ジャンルは『けいおん!』律澪
律澪はジャスティス。
いい言葉ですね。

百合的要素を含みますので嫌いな方や都合の悪い方は見ないことをお勧めします。

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