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追憶の紋章 【9】 -あとがき-

Category : 追憶の紋章【9】
二人の願いは空しく葬り去られ、王は非情な手段に出て参りました。
それには王宮内の権力争いや、ドラゴン退治における裏側があるのですが。

とにかく英雄としての立場から、一転捕われの身となったリッちゃん。
もちろんこのまま黙っているつもりはありません。
ムギちゃんや、ユイちゃんもいろいろと動き出します。

それはまた次のお話で。ではー。

「追憶の紋章 【9】 王との対話」を読んで頂きありがとうございました。
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テーマ : 二次創作:小説
ジャンル : 小説・文学

追憶の紋章 【9】 王との対話 -11-

Category : 追憶の紋章【9】
「ムギ、私は、私は!」
私のせいで皆バラバラになってしまった。
「施設には私より小さい子だって一杯いたのに…」
そう言ってミオちゃんはポロポロと涙を零した。

「ミオちゃんのせいじゃないわ。それだけは絶対に違うわ」
「違うよ、私のせいだよ。…今、リツが捕まったのだって、きっと私のせいなんだ」
王女の自分に無理をして会いに来てくれた、私の優しい幼馴染で愛しい人。
ドラゴン退治なんて危険な真似をさせる事になったのも、王にあらぬ嫌疑をかけられ部屋に監禁されているのも全て。
「私が、私…」
ミオちゃんはとうとう泣き始めた。

「落ち着いてミオちゃん。リッちゃんは閉じ込められているとはいえ丁重に扱われているわ。乱暴にはされていないから」
「ど、どうしてこんな事に、せっかく無事に帰ってきてくれたのに」
両手で顔を覆う彼女の体を、私は軽く抱き締める。
「大丈夫。すぐに会えるわ。私もなんとか手を打ってみるから」
「…ム、ギ」
「だから泣かないで。リッちゃんからミオちゃんが泣かないように、よく見ておいてって頼まれているのよ、私」
そう言って私は泣き虫な王女に笑いかけた。彼女がかなりの泣き虫さんだという事を知っているのは、王宮の中では私とリッちゃんくらいだろう。

「…グス、わかった」
ようやく落ち着きをみせる彼女の背中を優しくさすりながら、私は今後の事を考えていた。
ドラゴンを倒し英雄として帰還した「赤枝の騎士」を、すぐにどうこうするとは思えないけれど。
そう思いつつも、事態は決して安心できるものではない事も、私は充分に理解していた。

「…こんな時に彼女たちに再会したのは、まさしく運命の采配ね」
「え、ムギ、何か言った?」
「いえ、なんでもないわ。大丈夫、心配しないで。ミオちゃん」
「…」
彼女を励ましながら、私は頭の中で今後の対策を考えていた。
リッちゃんを救うには、今王宮内に居る新たな協力者の力を借りなければ、と思いながら。

To be continued…

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追憶の紋章 【9】 王との対話 -10-

Category : 追憶の紋章【9】
ミオちゃんの話を全て聞いた私は、状況がかなりまずい事を理解した。
思わず眉間に皺を寄せて考えてしまう。
「陛下に、リッちゃんの事がばれてしまったわね…」
それにしても隣国の王子の許へ行けとは、また急な。
しかし王が急にミオちゃんの縁談を急がせた理由は、私には大体推測できていた。

「ムギ、…お父様は私に嘘を吐いていた」
「え?」
「私が育ったあの施設…」
私が幼い頃を過したあの施設は、これまで以上に支援するから昔の事は忘れろ。
…そう初めて会った時に父は言っていたのに。
「嘘だった!施設はもう無くなって、皆バラバラになっていたなんて!」
「…」
顔を俯かせ体を震わせる彼女に、私はなんと言って声を掛ければいいかわからなかった。
とうとうばれてしまった…その思いが私の表情に出てしまったのかもしれない。
ハッと気付いた時には、ミオちゃんが私の方を訝しげに見ていた。

「ムギ、まさか…」
「ミオちゃん」
「まさか知ってたの?施設の事…」
「…ごめんなさい」
確かに私はもうその事を知っていた。
彼女と会ったばかりの頃だ。一度だけでもいいから街に行きたいと願う彼女の力になれないかと、考えていたある日。
なかなかその機会を得られなかった私は、とりあえず彼女の言っていた施設に赴き、今どんな様子をそれとなく見てみようと思い、休みの日にこっそりと街へ出て施設に向かった。

だがもうそこには何もなかった。更地となった施設跡が静かに残っているだけだった。
その事実を知った私は、その後実は彼女を街へ連れて行く機会が何度かあったにも関わらず、その度に私は彼女に誤魔化し嘘を吐いたのだ。
「ごめんなさい。どうしても言えなかったの…」
彼女が街に出て、施設のあった場所に行くことがあれば、真実を知って彼女がどれ程悲しむか。私はそれを恐れた。

「…いいよ」
ミオちゃんは嘘を吐いていた私に対して、責めるような言葉は少しも言わなかった。
それが私には辛かった。もっと怒ってくれて、責めてくれてもよかったのに。
「…本当にごめんなさい」
「本当にいいんだ。ムギが私の事を思って黙ってたってことくらい、わかるよ」
「ミオちゃん」
「きっとリツも、もう知ってるんだろうね…」
「…」
確かにリッちゃんも施設の事は知っていた。そしてそれはけっしてミオに話ないで欲しいと、私は頼まれていたのだ。

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追憶の紋章 【9】 王との対話 -09-

Category : 追憶の紋章【9】
「お父様、施設を、私の育った施設をどうしたのです」
「…」
「ここに来たばかりの頃、私に施設に居た事は忘れろと貴方は言いました。そのかわりこれまで以上に支援すると」
それは、それは嘘だったの…。
私の非難に満ちた目に、父は少し目を逸らした。

「…お前の過去がバレるのは、けっして良いことではないからだ」
「お父様!」
「確かにあの施設はなくした。だが園長や、他にもあそこで働いていた者には、充分な報酬を渡して別の場所で働くように手配した」
「そんな…」
「もちろん中に居た子供たちも、別のちゃんとした施設へ移したし、そちらに援助もしておいた。だから心配はいらぬ」
これもお前の過去を知る者を、なるべく王都から離しておくためだ。
父は多少言いにくそうではあったが、そう私に説明した。
「なのに、お前の過去を誰よりも知っている者が、近衛騎士になって王宮に入ってくるとは!」
迂闊だった、と父は苦々しそうに呟いた。

「…リ、彼女を、赤枝の騎士をどうしたんです、お父様」
父のその口ぶりに、私は不安な気持ちが押し寄せる。
「…余はどうもしておらん。あやつが余の提示した恩賞が気に食わぬと文句を言い寄った。それだけではない、余を傷つけようとしたのだ」
「え!?」
そんな事ありえない!リツがそんな事するなんて…、咄嗟に私はそう思った。
しかし父は私のそんな思いに構わず、すでに兵に捕えさせ部屋の一室閉じ込めている、と私に告げた。

「ドラゴンを倒して増長しおったのだ」
「そんなはずありえません!何かの間違いです!」
「なぜそんなにはっきりとそう言える。…やはりあの者は、お前の幼い頃からの知り合いだからか?」
私は黙ってしまった。
でももうどれだけ私が否定したとしても、父には見抜かれているのだろう。
それにしてもリツが父を傷つけようとしたなんて、到底私には信じられない。

「よいか、姫よ。あの者が本当にお前の過去を知る、あの施設に居た者だとしても、もうお前にはなんら関わりのない者だ」
「関わりがない…」
「もう昔を思い出すのはやめよ。お前はこの国只一人の王女であり、いずれは隣の国と我が国を結ぶ二つの国の女王になる大事な身だ」
そう言うと、父は急に椅子から立ち上がった。
「王子は姉君の事が大好きだ。お前も王子の事は大事にしておるだろう」
年の離れた小さな王子の事は、私も大好きだ。私のただ一人の弟。

「いずれ我が王子が余の後を継ぎ、王となった暁にはお前は隣国からでも、姉弟揃ってこの国のために尽くして欲しい」
それが余の願いだ。
「隣国の王子の許へ行け、姫よ。…もう一切あの者には関わるな」

それがあの者のためでもある。

最後にそれだけ言うと、父は私を残して部屋を出て行った。

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追憶の紋章 【9】 王との対話 -08-

Category : 追憶の紋章【9】
「…お父様は」
「ん?」
「それが一番私の幸せだと思われるのですか」
「…それ以外に、何か別に望む事があるのか、姫よ」
「私は、私たちは…」
私は一度そこで口を閉じた。
僅かに震える体と声を必死になって止め、顔を上げると目をキッと父の正面へと向ける。

「…私が育った施設は決して裕福ではなかったけれど、皆それに負けずに耐えて頑張って、一生懸命生きてきました」
皆で一緒に一生懸命、園長先生の教えを守って頑張って暮らしていた日々。
「中には意地の悪い子も居て、私もよく意地悪されたりした事もありましたが…」
そんな私をいつも助けてくれたリツ。
でもリツ以外にも、こっそり後から私を慰さめてくれた優しい子もいた。

「私の母違いの、あの幼い王子よりずっと小さい子たちでも、私によく懐いてくれて一緒にパンを作ったり部屋を掃除したり。毎日皆でできる限りのことをしようと頑張っていました」
王宮に強引に連れてこられてからずっと、これまで耐えていた何かが私の中で爆発したかのように、口からするすると言葉が溢れる。

「たとえ貧しくても、私達は私達の意志で生きていました。苦しくても、誰かに決められた幸せを押し付けられるような真似はされたことはありません」
私は父の目を見てはっきりとそう言った。
「…」
「私の幸せは、私が決めては駄目なのですか?…お父様」
父はしばらく無言で私を見つめていたが、不意に大きな溜息を一つ吐くと目を細め、何かを疑うような眼で私を見てきた。

「お前はあの者と会っていたのか」
「…え?」
「ドラゴンを倒した、赤枝の紋章を持つあの騎士の事だ」
思いもかけなかった父の言葉に、私は思わず表情を固くする。
「…どうやらそうみたいだな」
先程まで温和な表情をしていた父の顔が、見る見る渋くなっていく。
「同じ事を」
「え?」
「あの騎士も、お前と同じような事を言っておった」
「…」
リツが?どうして、父といつ話を…。

「あやつはお前と同じ施設に居た者だな」
状況がまだよくわからないけれど、父にそれを知られるのがマズイことだけは、なんとなくわかっていた。
「お父様、わ、私にはなんの事だか…」
「嘘を吐くな。もうわかっておる。…それにしてもあの施設に居た者が、まさか騎士になって王宮に出入りしていたとはな」

これではあの施設を潰した意味がない。

「え…」
苦々しい表情を浮かべながら、ボソリと呟いたその言葉に、私はハッとして父を見詰める。
父は私が見ているのに気付き、一瞬「しまった」という顔をした。

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Author:書き人知らず知らず
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